あ、草の上に大きな虫がいるよ!
この虫は、どんな虫?
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、クビキリギス。
とんがり頭が特徴的な、キリギリス科に属する昆虫です。
それにしても、何だか気になるのは、その名前。
この名前を漢字で書くと「首切螽斯」となり、なんとも不気味です…
この不気味な名前は、クビキリギスの”ある習性”が由来になっているのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、クビキリギスの特徴と魅力を紹介します。
クビキリギスは頭がとがったキリギリス
クビキリギスは「バッタ目キリギリス科」というグループに属する昆虫です。
全長は5cm程度と、キリギリス類の中では比較的大型で存在感があります。
そしてクビキリギスの外見で目立つのが、「とがった頭」。
とがった頭を持つクビキリギス
他のキリギリスの仲間にも頭が尖るものがいますが、クビキリギスの頭は一際とがっています。
キリギリス類には似た姿のものが多いですが、このとんがり頭は、類似種との識別ポイントになるのです。
ちなみに、バッタ類には緑色のものと褐色のものがいることが多いですが、クビキリギスも同様に褐色型がいます。
褐色型のクビキリギス
僕は見たことがありませんが、さらに赤色タイプなどもいるようです。
クビキリギスは、"個体ごとの色変化"にも注目です!
クビキリギスの名前の由来は顎(アゴ)
クビキリギスの注目したい特徴に、「顎(アゴ)」があります。
実はクビキリギスのアゴ周りをよく見てみると、赤く染まっています。
クビキリギスのアゴ
アゴが黄色っぽくなっているキリギリスの仲間はいますが、赤いアゴを持つのはクビキリギスならでは、なのです。
この赤いアゴから、クビキリギスは「チスイ(血吸い)バッタ」と呼ばれることもあります。
ただし、これは見た目の話だけで、実際に吸血する習性はありません。
クビキリギスの特徴的なアゴですが、外見だけでなく機能面にも特徴があり、それこそが名前の由来にもなっています。
というのも、実はクビキリギスのアゴは超強力。
もし噛み付かれると、なかなか離してくれません。
引き離そうとして強く引っ張ると、体が引きちぎれても、首だけは残っているほどだとか。
このような強力なアゴの力が由来で、「クビキリギス(首切螽斯)」となったようです。
実際もし指などに噛みつかれると、大人でも流血するほどの強さがあるようです。(※クビキリギスの方から積極的に噛み付いてくることはないので、ご安心ください)
僕も以前ウスバカミキリに噛み付かれて流血したことがありますが、虫のアゴって想像以上に強いんですよね。
クビキリギスはカミキリムシと違ってアゴが目立たないので、噛み付かれてしまうとショックが大きそうです。
昆虫の体はとても小さいですが、彼らが持つ力はなかなかに侮れないものです。
クビキリギスと同じ分類に属する虫たち
クビキリギスはバッタ目キリギリス科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[バッタ目]
直翅目(バッタ目)の昆虫まとめ|脚(あし)が強く発達した虫たち
▼
[キリギリス科]
おわりに:クビキリギスを観察してみよう!
クビキリギスは、一際とがった頭と強力なアゴを持つ、ユニークなキリギリス類です。
草地などに生息し、公園などでも見られる身近な昆虫です。
また、クビキリギスは秋に成虫となり、そのまま成虫で越冬するタイプなので、なんと真冬に見られることもあります。
真冬にバッタ類が見られるというのも、また斬新ですよね。
このように、クビキリギスは観察ポイントのたくさんある虫なので、ぜひ探してじっくりと観察してみてください!
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