ネイチャーエンジニア いきものブログ

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トノサマバッタは驚異のジャンプ力を持つバッタ!人々が恐れた相変異と飛蝗とは

トノサマバッタ

あ、カッコいいバッタ!
このバッタはどんな虫なの?

こんな疑問にお答えします。


写真のバッタは、トノサマバッタ


見た目もカッコよく、「トノサマ」となんだかカッコいい名前なので、僕は子供の頃から大好きな虫の1種でした。


そしてこのトノサマバッタ、殿様の名前は伊達ではなく、実はすごい能力を持つバッタです。


高いジャンプ力のほか、人々を恐れさせるほどの強力な変身能力を持つ昆虫なのです。


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。


そんな虫好きの僕が、トノサマバッタの特徴と魅力を紹介します。




 

トノサマバッタのすごい能力

驚異のジャンプ力

トノサマバッタは「バッタ目バッタ科」というグループに属する昆虫です。


バランスの取れた体型に力強い脚と、その姿からは、風格のあるオーラが出ています。


風格のあるトノサマバッタ
トノサマバッタ


体のサイズもバッタの中で最大級とまではいかないものの、大きいものは60mm以上もあり、実に迫力があります。


ところでバッタの持つ代表的な能力といえば、"ジャンプ力"。


実はトノサマバッタはこのジャンプ力において、他のバッタとは一線を画す存在です。


つまり、非常に高い飛翔能力を持つのです。


その距離はというと…


なんと、50m以上!


神奈川県のNPOでは毎年、「大バッタ飛ばし大会」というのをやっているようですが、2017年度の大会では130mも飛んだバッタがいたようです。


例えば、身近なバッタであるショウリョウバッタの飛距離は10m程度。


ショウリョウバッタ
ショウリョウバッタ オス


その他にも、例えばツチイナゴの飛翔力は20m程度。


50mを超えるような大ジャンプをするのは、トノサマバッタくらいなのです。


このように、トノサマバッタの飛距離は一般的なバッタとは、まさに格が違うのです。

驚異の変身能力(相変異)

トノサマバッタには、もう1つすごい能力があります。


それは「相変異」。


相変異とは、トノサマバッタの「」が変化することを言います。


相には、「孤独相」と「群生相」の2つがあります。


・孤独相: 体は緑色。はねは短くて脚が長い
・群生相: 体全体が褐色。はねが長くて脚が短い


群生相はより飛翔に適した姿であり、孤独相よりも高い飛翔力を持ちます。


さらにすごいのが、相変異では姿だけでなく、「性格までもが変化する」こと。


群生相になったものは、より獰猛な性格になると言います。


ちなみにこの相は連続的に変化するようで、どちらの相か2者択一になるものではないようです。


以下は黒みが強いので、群生相に近いタイプかもしれません。


黒みの強いトノサマバッタ
トノサマバッタ 褐色型


ただ、基本的に普段僕らが見ているトノサマバッタは孤独相で、群生相のものが発生するのは稀なようです。


なお、相の変化は幼虫時代の環境によるとのこと。

・バッタの密度が低い → 孤独相になる
・バッタの密度が高い → 群生相になる


このように、トノサマバッタは生息環境によって変身するという、とても面白い能力を持っているのです!




トノサマバッタの飛蝗(蝗害)

飛蝗と相変異

トノサマバッタは、時に人に大きな被害を与え、恐れられることがあります


人々に恐れられることがあるトノサマバッタ
トノサマバッタ


それには、トノサマバッタの「相変異」の能力が関係しています。


トノサマバッタは群生相になるとはねの長さが伸び、ただでさえ高い飛行能力はさらに高まります


こうなると100mレベルの飛翔でなく、信じがたい事に、海を超えるような長距離移動ができるようになるとのこと。


また、群生相の発生条件は「生活密度が高い」でした。


これはつまり、バッタが大発生した状態であることを指します。


どこからか大群でやってきた彼らは、辺りの植物を食い尽くします


どれくらい大群かというと、「空を覆うように」といった表現がされるほどです。


そして彼らはその場所の植物を食べ尽くしたらまた移動し、次の場所でも食べ尽くすのを繰り返す−−−。


このようにバッタが大量発生して集団移動することを「飛蝗(ひこう)」と言い、それによる被害を「蝗害(こうがい)」と呼びます。


それが発生すると、その土地の農作物は災害レベルの大きな被害を受けるのです。


以下の環境農林水産総合研究所の資料にも、トノサマバッタの大量発生による被害の話が記載されています↓(PDFファイル)


現在の蝗害

このように、バッタの大量発生は人々の生活に大きな被害を与える災害なのですが、実はこの話は昔話などではありません。


実は、"海外では今も起きている災害"なのです。


トノサマバッタと同様の習性を持つ「サバクトビバッタ」の数百億単位の数が飛来して植物を食べ尽くし、東アフリカや中東などで大きな被害をもたらしているのです。


このように1匹1匹は小さな虫でも、集団で一致団結して行動すれば、人にとっても大変な脅威となりえます。


虫たちの凄まじい力を侮ってはならないのです。


※トノサマバッタの生存戦略からの学びについては、著書「弱虫の生きざま」でも紹介しています↓


トノサマバッタと同じ分類に属する虫たち

トノサマバッタ

トノサマバッタはバッタ目バッタ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。


[バッタ目]
直翅目(バッタ目)の昆虫まとめ|脚(あし)が強く発達した虫たち

[バッタ科]


おわりに:すごい能力を持つトノサマバッタをもっと楽しもう!

ここまで紹介した通り、トノサマバッタは姿がかっこいいだけでなく、人を恐れさせるほどのすごい能力を持つバッタです。


なおトノサマバッタは、ススキやオギが生えているような、背の高い草がある場所を好みます。


そのような環境に行った時は、ぜひトノサマバッタのかっこいい姿と、その高い飛翔力を観察してみてください!


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むしマスター!3

 


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