あ、ヤモリ見つけたよ!
そういえば、ヤモリは「家を守る」ってホント?
こんな疑問に答えます。
写真のヤモリは、ニホンヤモリ。
有鱗目ヤモリ科というグループに属する、爬虫類の仲間です。
小さくて、かわいらしい生き物です。
日本に生息するヤモリにも色々と種類がありますが、ニホンヤモリは本州で最も身近なヤモリでしょう。
住んでいる場所によっては、自宅でも出会うことができます。
ちなみにヤモリと言えば「家を守る」とも言われる生き物。
なぜそう言われるのかについても、解説します。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な生き物に出会ってきました。
そんな生き物好きの僕が、ニホンヤモリの特徴と魅力について紹介します。
ニホンヤモリは最も身近なヤモリ
ニホンヤモリは、小さな姿に大きな頭で寸胴なバランスと、かわいらしさあふれる爬虫類です。
かわいらしいニホンヤモリ
ニホンヤモリは、本州・四国・九州・対馬などに生息。
おそらく本州に住む人にとって最も身近なヤモリでしょう。
というのも、自動販売機や家の壁などの人工物にいるところに出会えることが多いからです。
さらに住んでいる場所によっては自宅で彼らに出会えることもあり、僕が住むマンションでもたまに見かけます。
このように、わざわざ自然の中に出向くまでもなく、普通に暮らす環境でも出会えるのですね。
ちなみに、ニホンヤモリは身近な生き物で、いかにも日本在来の生き物のような名前をしていますが、実は中国からやってきた「外来種」と言われています。
名前は生き物の中身や生態を知る上でヒントになることも多いですが、逆に混乱や勘違いを生むきっかけになることもあるのですね。
またヤモリにはイモリ、トカゲ、カナヘビなど似た両生類・爬虫類がいて、混乱している人も多いかもしれません。
それらの見分け方は以下で紹介していますので、ぜひご覧ください。
ニホンヤモリの体色変化
ニホンヤモリは人工物だけでなく、もちろん自然の中でも出会えます。
僕は自然観察で森によく行きますが、暖かい季節は樹上や手すりなどでよく発見します。
森の中で出会ったニホンヤモリ
ところで上の写真、家の壁にいたものとはずいぶん雰囲気が変わって見えませんか?
実はニホンヤモリは「体色変化」することができます。
カメレオンのように、"背景に合わせて自身の体を保護色に変えることができる"のです。
両生類や爬虫類はこのように体の色を変化させられる能力を持つものが多く、発見した場所によってイメージが変わるのも面白いところ。
色々な場所で彼らを探して観察してみるのも、楽しいですよ!
ヤモリが家を守ると言われる理由とは?
ヤモリは漢字で書くと「家守」。
この名の通り、ヤモリは"家を守る縁起の良い動物"とされています。
では、彼らは具体的にどうやって家を守るのでしょうか?
それは、「家に発生する虫を食べる」こと。
ハエやガ、ゴキブリ、シロアリなどは人間に嫌われがちな虫たちですが、ヤモリはこれらの虫を食べるのです。
ヤモリが虫たちを食べる姿は、夜に「野外の灯火」などで見ることができます。
灯火には虫が引き寄せられますが、そこにはヤモリがいることも。
自動販売機でもヤモリがよく見られますが、自動販売機も発光するもの(灯火)です。
自動販売機でも見られるヤモリ
彼らが自動販売機に集まってくるのは、光に寄ってくる虫たちを食べるためだったのですね。
このような習性を持つ上、ヤモリ自身には毒も害もありません。
そのため、彼らは古くから「人間にとってありがたい生き物」として扱われてきたのですね。
ヤモリの指はすごい!(ファンデルワールス力)
ヤモリは、家の壁や自動販売機など垂直で引っ掛かりどころのない壁面をすいすいと移動できます。
この能力があるからこそ「家守」の役割を担えるとも言えるわけですが、このようなことができるのはなぜでしょうか?
その秘密は「指」にあります。
ヤモリの指
壁を登れる指というと、カエルのような「吸盤のある指」をイメージするかと思います。
ところが実は、ヤモリの指には吸盤はありません。
ではヤモリは代わりに指の何を使っているかというと、それは「毛」!
ヤモリは指の毛を巧みに調整して”ファンデルワールス力”という力を産み出し、壁を自在に移動することができるのです。
ファンデルワールス力は科学者たちが長く研究してきたものであり、そのすごい仕組みについてナショナルジオグラフィックの記事で紹介されています。
ヤモリの足指には非常に多くの微小な剛毛(seta)が生えており、さらに剛毛は枝分かれして無数の小さなヘラ状構造(spatula)の接着点になっている。この驚異的な生体構造を利用して、上述の力が生み出される。
上記は本当に一部を抜粋しただけなので、ぜひ記事本文も読んでみてください。
身近な生き物であるヤモリは、すごい能力の使い手なのですね。
ヤモリに出会ったら、ぜひその「指」を観察してみてください!
おわりに:ニホンヤモリを観察しよう!
ニホンヤモリは、最も身近なヤモリ。
身近だけど、様々な魅力が詰まったとても面白い生き物です。
彼らは夏が一番よく観察できますが、秋の終盤までと意外と長い期間見られるので、ぜひ探してみてください!
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