あ、黄色いチョウがいるよ!
このチョウは、どんなチョウなのかな?
こんな疑問にお答えします。
写真の虫は、キタキチョウ。
キタキチョウは「雌雄」や「季節」で姿が変化する蝶で、出会う場面により異なる姿を見させてくれます。
また幼虫やさなぎも観察しやすく、色々な観点での自然観察を楽しませてくれる蝶なのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、キタキチョウの特徴と魅力を紹介します。
キタキチョウはほぼ黄色一色のチョウ
キタキチョウは「チョウ目シロチョウ科」というグループに属する昆虫。
「北黄蝶」の名の通り、そのはねはほぼ黄色一色であり、最も身近かつ代表的な黄色い蝶と言えるでしょう。
ほぼ黄色一色のはねを持つキタキチョウ
ところで、キタキチョウはかつて「キチョウ」という一種として扱われていました。
しかし生息地によりキチョウの食草の違いがあることから詳細な研究がされ、研究発表以降は南西諸島に分布する「キチョウ(ミナミキチョウ)」と本州〜南西諸島に分布する「キタキチョウ」の2種に分けられました。
さらに南西諸島には「タイワンキチョウ」という類似種もいますので、この地域でキチョウの仲間を識別するのは非常に難しいです。
上記の通り、外見の観察では種ごとの差が見えづらいわけですが、そんな時は"行動の違い"にも注目して観察してみることをオススメします。
南西諸島のキチョウ同士は外見は似ていても食草には違いがあるようで、先述した研究もそこに注目したことで新たな発見につながりました。
このように、いきものは多面的な観点から観察することにより、新たな一面や魅力に気付けることがあります。
僕もまた南西諸島に行った際には、キチョウたちの行動に注目して観察してみようと思います!
キタキチョウは雌雄や季節で姿が変化
オスとメスの違い
キタキチョウはほぼ黄色一色のかわいいチョウですが、実は「雌雄」「季節」によって微妙に姿が変化します。
普段キタキチョウに出会った時、「鮮やかな黄色のはねを持つもの」「薄めの黄色のはねを持つもの」がいると感じたことはありませんか?
実はキタキチョウはオスとメスではねの色味が違い、”オスの方がより鮮やかな黄色”である傾向があります。
キタキチョウ オス
キタキチョウ メス
野外で見ていると、結構はっきりと鮮やかさの違いが感じられるんですよね。
慣れると色味の違いで概ねオスとメスを識別できるようになりますが、正確に識別するには「はねの脈の形」も合わせて確認する必要があります。
季節による変化
キタキチョウは季節によっても姿が変わります。
その変化する点というのは、「表ばね(はねを開いた時に見える面)の黒い部分の広さ」です。
キタキチョウは1年の間に5回前後発生しますが、季節が進むほど黒い部分が狭くなるのです。
例えば、夏に発生するものよりも、秋に発生するものの方が黒い部分が狭くなり、より黄色一色になっていきます。
このように、キタキチョウを観察する際は、「雌雄や季節による姿の違い」にも注目してみてください!
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キタキチョウの幼虫とさなぎ
キタキチョウの幼虫は、モンシロチョウの幼虫によく似た姿をしています。
キタキチョウの幼虫
モンシロチョウの幼虫
外見的な違いとしては、モンシロチョウの幼虫の側面には黄色い点が並びますが、キタキチョウの幼虫には「側面の白い線」が目立ちます。
ただ外見以外にも注目すると、モンシロチョウの幼虫とは大きな違いがあります。
それは「食草」。
モンシロチョウの幼虫はアブラナ科の植物を食べますが、キタキチョウはマメ科の植物を食べます。
そのため、キタキチョウは「ネムノキ」や「ハギ類」の葉の上で見つかることが多いのです。(上の写真もネムノキの上にいます)
ちなみに幼虫の姿はモンシロチョウに似ていますが、さなぎになると両者の姿は全然異なります。
キタキチョウのさなぎは、以下のようにスタイリッシュな感じ。
キタキチョウのさなぎ
多くの虫では、どこか見つかりづらい場所に隠れてさなぎになるものが多いのですが、キタキチョウは食草の上でそのままさなぎになるため、さなぎ観察がしやすい種です。
なのでもし幼虫を見つけた時は、その場所に通って観察を続ければ、写真のようなかっこいいさなぎの姿も見る事ができるはずです!
キタキチョウと同じ分類に属する虫たち
キタキチョウはチョウ目シロチョウ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち
▼
[シロチョウ科]
花との組み合わせで写真映えする蝶たち!シロチョウの種類と魅力
おわりに:キタキチョウを観察してみよう!
キタキチョウは、”外見以外の観点での観察も重要で面白い”、という、いきもの観察の基本を思い出させてくれる蝶です。
しかも身近な場所でみられる虫!
もし彼らに出会えたら、ぜひ今回紹介したポイントを踏まえてじっくりと観察してみてください!
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