あ、ツバメがいるよ!
そういえば、ツバメの巣って人通りの多いところにあったりするけど、何でなんだろう?
こんな疑問にお答えします。
ツバメは、紺色の羽を持つ、美しい鳥。
ツバメは人が生活する場所に巣を作って活動するという習性を持ちます。
かつての日本では、お互いが近くにいることは人とツバメ相互にとってメリットがあり、パートナーのような関係性だったのです。
しかし、昔から人と共生してきたツバメとの関係も、人間生活の変化によって変わりつつあります。
今回はツバメの紹介と合わせて、ツバメたちの現状と、共生の道についても紹介したいと思います!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、ツバメの特徴と魅力を紹介します。
※動画版はこちら▼
ツバメの特徴と魅力
赤・青・白のカラーリング
ツバメは「スズメ目ツバメ科」というグループに属する鳥。
ツバメ科を代表する、最も身近な種です。
ツバメは、その青い羽が美しい鳥。
青い羽を持つツバメ
羽以外にも体下面は白で喉元と額は赤色と、「赤・青・白」の組み合わせはツバメを連想させるカラーリングですよね!
細長い「燕尾」
またツバメは「燕尾」と呼ばれる、細長い尾羽も特徴的。
電線に止まっている様子を見ても、後ろに長く伸びた羽があるのが分かります。
ツバメの燕尾
オスはこの燕尾が「長ければ長いほどモテる」のだとか。
ツバメの燕尾とモテ度の関係に関する研究については、以下で分かりやすく紹介されています。
人が空を飛んでいるツバメを観察する時も、燕尾が長いとより"ツバメ感のある良いシルエット"に感じます。
その燕尾には、ツバメだけでなく人をも惹きつける魅力があるのですね!
鳴き声も個性的
一般的には、ツバメが鳴いているイメージはあまり強くないように思いますが、実は鳴き声も個性的です。
動物の鳴き声を人の言葉に当てはめて聞くことを「聞きなし」と言いますが、ツバメの聞きなしは以下のような感じです。
随分とユニークな鳴き方ですよね。
実際聞いてみると、早口でペチャクチャと喋るような、独特の鳴き方をします。
※鳴き声は動画版で聞くことができます▼
春頃になると、この不思議な鳴き声が聞こえるようになります。
毎年、家にいてこの鳴き声が外から聞こえてくると「今年もツバメが帰ってきてくれたなあ」と嬉しい気分になるのです。
ツバメと人間の関係
ツバメは縁起の良い鳥
ツバメは春になると、南の国から長い距離を飛んで日本へ渡ってきます。
日本に渡ってきたツバメは、人家の軒下や玄関、商店のシャッター内、駅の構内など、人が多く出入りする場所で営巣。
人にとって身近な野鳥でした。
人工物に営巣するツバメ
ところで、なぜ彼らはわざわざ人の近くで営巣するのでしょうか。
それは、人が近くにいることで"カラスやスズメなどに卵やひなが奪われる可能性が減る"というメリットがあるため。
ツバメにとって、人間は「巣やヒナを守ってくれる存在」なのです。
一方で、人にとってもツバメの飛来は喜ばしいものでした。
なぜなら、かつては多くの日本人が農業を営んでおり、ツバメは作物に害をなす虫を餌として食べてくれる「益鳥」だったからです。
巣を作るために田んぼや川から泥を運ぶツバメ
このように、人間とツバメはパートナー関係を築いていたこともあり、日本人から「縁起の良い鳥」として受け入れられてきたのです。
人間生活の変化による個体数の減少
僕は全国各地で自然観察をしていますが、郊外ではたくさんのツバメが見られたりします。
ツバメが多く見られる場所の近くには、綺麗な川が流れていたり、農地が多くあるような所が多いです。
川や農地があるところに多いツバメ
しかし都市部では、このような環境がある場所は多くありません。
人間の生活は以前から変化し、周辺環境も合わせて変わったのです。
実はこの人間生活の変化の影響を受け、ツバメは減少しているようです。
日本野鳥の会の「ツバメの現状」というページによると、
→ツバメのエサとなる虫が少なくなっている
・西洋風家屋の増加
→巣を作る環境が減ってしまった
などの影響が考えられているようです。
別でWebやSNSから得た情報では、人の集まる場所では「糞害」などのために、ツバメの巣が壊されたり撤去されたりすることもあるとのこと。
パートナーであるはずの人間から攻撃されてしまうという状態になっていて、ツバメの立場を考えるとなんとも切ない気持ちになります。
特に農家でない方が多い都市部では、先ほどの糞害のような、デメリットのあるケースの方が多いのかもしれません。
ツバメとの共生の道
一方で、"ツバメとの共生を模索する人たち"もいます。
その1つが、全国のツバメの調査・観察をしているNPO法人のバードリサーチさん。
例えば、お店の入口にツバメが巣を作ってしまった場合、「お客様にフンが落ちる可能性もあるから、巣を撤去せざるを得ない…」ということもあるかもしれません。
それを解決する一つの道具が「人工巣」です。
ツバメは巣を再利用する習性があるため、人工巣を設置することでツバメが巣を作る場所の誘導が可能になります。
そこで、バードリサーチさんはツバメの人工巣やフン受けの販売・提供をしています。
また、販売だけでなく以下のページから「フン受けを作る型紙」「ツバメの子育てに配慮を求めるポスター」がダウンロードできるようになっています。
※サイトのメニューから、活動内容や利用事例も見ることができます
長い距離を自力で飛んで、日本にやってきてくれたツバメたち。
そんな彼らに「今年もお疲れ様」と言って1シーズンの間、宿を用意してあげられたら素敵だなと思います。
もしツバメの巣の扱いに困っている方は、ぜひこれらをツバメとの共生にお役立てください!
ちなみに、人工巣・フン受けのことは、僕がTwitterで相互フォローしているMamiさんの投稿をきっかけに知ることができました。
Mamiさんは多摩市の「ツバメの観察記録」に市民として参加。
その後バードリサーチさんのツバメの観察記録に協力したことをきっかけに、店舗などにフン受けを配る活動もされていました。
↓はMamiさんのブログ。ツバメをはじめとした、野鳥への愛がたくさん感じられる投稿ばかりです!
ツバメに関連する鳥たち
ツバメと同じ分類に属する鳥たち
ツバメはスズメ目ツバメ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。
[スズメ目]
スズメ目の野鳥まとめ|美しい声を持つ鳥類最大のグループ
▼
[ツバメ科]
ツバメ科の野鳥の種類と魅力|夏にやってくる幸運の使者たち
おわりに:ツバメを観察して季節を感じよう!
僕は野鳥観察を始めてから、今まで何とも思わず歩いていた通勤路が、「鳥に出会えるワクワクする道」に変わりました。
同じように、彼らを観察することで「発見」「癒し」をもらえるというプラスの効果もあるはず。
遊んでいるのか、重なり合うツバメの幼鳥たち
人間の生活はかつてとは変化してしまっていますが、これからも彼らとの共生できる道はないか、考えていきたいものですね。
近くにツバメがやってきているようであれば、ぜひ彼らを優しく観察してみてください!
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