ネイチャーエンジニアの亀田です。
子供が虫を乱暴に扱ってすぐ殺しちゃう…。
どう対処すればいいのかしら?
子供と接していると、こういう場面に出くわしますよね。
僕は小学校で「生物観察クラブ」という課外活動の講師をしています。
このクラブでは、主に虫や植物の魅力を紹介したり、観察体験をします。
今年のクラスには低学年〜高学年までいて、男女半々くらいです。
この記事では、僕が経験した事例をお伝えします。
- 虫を殺してしまった時にする対応と、それにより子供が成長した例
- 虫と触れ合うことによって得られるもの
- あなたが虫が苦手な場合の対処法
子供の教育に正解はないと思いますが、参考になれば嬉しいです。
- 虫を殺してしまう子への対応
- 例1. 虫を殺してしまった子とそれを見ていた子の例
- 例2. 虫に興味がなかった子が虫を守るようになった例
- 子供が生き物の命に触れると学べるもの
- 子供に虫に触れさせる時に気になる点と攻略法
- おわりに
虫を殺してしまう子への対応
僕は学校で観察をする時に、生き物の触り方や扱いついて細かいルールは決めていません。
低〜中学年の男の子は、特に虫に興味津々です。
虫を捕まえるのは、小学生男子にとってステータスで、大物の虫を捕まえると自慢できます。
なので、虫を捕まえること自体に夢中になって、虫を乱暴に扱ったり、つぶして殺してしまうことがあります。
結果虫が死んでしまっても、「虫を捕まえる」のが目的ですからあまり気にしてないんですね。
虫が死んでしまった時、僕はその子に「生き物のことを考えて優しくさわってあげようね」と伝えるようにしています。
スルーすると、虫の死というきっかけから、命について考えるチャンスが失われます。
逆に、「殺しちゃダメだろ!」だと、ただ先生が怖いから命令に従うことになって思考停止してします。
実は僕の心の中では、虫が死んでしまった事実はとても悲しいです。
「もっと優しく丁寧に扱ってほしい」と強く思うこともあります。
ですが、教えている子たちが虫の死から何かを感じて、その子が、周りの友達とか、将来の子供に、ここで学んだ命の大切さを伝える。
それによって、命を大切にする輪がもっと広がってくれる、と考えているのです。
それを続けても相変わらずの子もいますが、変化の生まれた子たちもいました。
その例を2つ紹介します。
例1. 虫を殺してしまった子とそれを見ていた子の例
ある日、大きなアゲハチョウをゲットしたことがありました。
せっかく捕まえたなら、他の子に見せてあげたら?
うん、そうする!
でも、みんなに見せ終わったら逃がしてあげようね。
でも、その子はアゲハチョウを手放したくなくて、「もう少し連れて行く!」とその後もしばらく乱暴にアゲハチョウを連れ回してしまいました。
逃がした時には、アゲハチョウはぐったりしてほぼ動けなくなっていて、しばらくしたら死んでしまうのは確実でした。
それを見ていた別の男の子がこう言いました。
「先生、アゲハチョウ大丈夫かなあ?もう1回見に行っていい?」
と、アゲハチョウを放したところに様子を見に行ったのです。
その後も、心配して何度も何度も、様子を見に行っていました。
実はその子、普段もの静かな子で、全く積極的な子ではありませんでした。
ですが、この日はアゲハチョウを何度も見に行くだけでなく、虫に関する質問もたくさんしてくれました。
僕は「アゲハチョウを逃すところまでしっかり誘導するべきだったかな…」とかなり後悔していました。
しかし、この男の子の行動があったことで、
アゲハチョウの弱っていく姿を見て、何かを感じてくれた子がいた
と、救われたのでした。
例2. 虫に興味がなかった子が虫を守るようになった例
ある女の子の話です。
クラブに入った当初は、正直あまり目立つような子ではなく、生き物の話も「ふーん」となんとなく聞いているような印象でした。
ただ、僕の話している様子などはよく見ているようでした。
それから半年ほど経って、何があったのか、とても積極的に生き物の話を聞くようになりました。
さっきの虫の名前、もう一回教えて!
忘れないように、メモするんだー!
そんな風に、自分で工夫して勉強するようになりました。
それからしばらく経って、男の子が生き物を乱暴に扱っているのを見たりすると、
そうやって触ったらかわいそうでしょ?
優しくさわってあげようよ!
と、僕が伝えるまでもなく、その子が発信してくれるようになったのです。
きっと先ほどの女の子は、生き物に興味を持って好きになったことで、
生き物に対して自然に優しい気持ちが持てるようになった
のだと思います。
子供が生き物の命に触れると学べるもの
子供が生き物と触れ合うことで
「命を考えられる心」
が生まれます。
「優しさ」や「思いやりの気持ち」とも言えるかもしれません。
他者のことを思いやるのに一番影響を与えるのは「命」だからです。
生き物の命は、
- 生き物が孵化する瞬間
- 生き物が食べられる瞬間
- 虫が羽化する瞬間
- 生き物が死ぬ瞬間
これらの瞬間が、子供にショックと刺激を与えます。
ゲームも、スポーツも、読書も、これらに出会わすことはできません。
僕自身も子供の頃、虫の死がきっかけで成長したことがありました。
雨が降った後に、出てきたカタツムリをたくさん捕まえてきました。
カタツムリは水が好きだろうと、カタツムリが入った虫ケースにたくさんの水を入れたんですね。
すると、当然ながらカタツムリはみんな溺れ死んでしまいました。
子供の頃の僕は、たくさんのカタツムリの死骸を見て、ショックを受けました。
そして、「生き物のことをよく知らなちゃ、苦しめてしまうんだ」と学んだ記憶があります。
この成長の機会を与えるためにできる、大人たちの役割は、
- 命と触れ合うきっかけを増やす
- 考えることを促す
ことです。
1. 命と触れ合うきっかけを増やす
家の中だけで過ごしていたら、生き物と出会うきっかけはほぼなくなります。
できる限り、いろんな場所の色んな生き物と出会って刺激を得ましょう!
2. 考えることを促す
子供に生き物に触れてもらう時、注意すべきことがあります。
それは、「大人の偏見」を子供に押し付けないことです。
- 虫は汚い
- 虫は気持ち悪い
- 逆に、この虫の方がカッコいい、など偏りのある推薦
大人にとってはクワガタの方がカッコ良くても、子供にとってはダンゴムシの方がカッコよく見えるかもしれません。
カメムシが好きな子もいれば、ハエが好きな子がいる。
固定概念にとらわれず、色んな考え方をできた方が、自由に成長します。
それに、子供それぞれが自分の考えで話ができると、より楽しいと思いませんか?
子供に虫に触れさせる時に気になる点と攻略法
自由に子供に虫を触れさせてあげたいけど、気にかかることもあります。
特に気になるであろう2点。
- 子供の安全面
- 親が虫が苦手
について、攻略法をお伝えします。
子供の安全面
子供を自由に屋外で遊ばせる時、気になるのは「毒のある生き物」ではないでしょうか?
実のところ、毒のある生き物は攻撃したり驚かさなければ、ほとんど危険のある生物はいません。
ですが、子供の場合は無邪気につかんだり、生き物をいじめてしまい、反撃をくらう場合があります。
そうして噛まれたり刺された時の対処法、知っていますか?
仮にそうなった場合の対処法を、親や大人が知っておきましょう。
毒のある虫や注意点が書いてある本を用意するのがオススメです。
虫に刺された時などにすぐに調べることができるし、事前に楽しみながら勉強しておくことができます。
オススメ本を2つ紹介します。
1. 危ない生き物図鑑
山、水、水辺で注意する生き物と、注意の仕方を教えてくれています。
2. イモムシハンドブック
身近なイモムシには触って大丈夫なものと毒のあるものがありますが、あまりイモムシ情報が載っている図鑑はありません。
この図鑑では、その貴重なイモムシ情報を勉強することができます。
親が虫が苦手
子供が虫を飼いたいって言ってる…。
家の中で虫を逃すかもしれないと考えると、ムリー!
子供に虫に触れさせたあげたい気持ちはあるけど、ってお悩みの方いるのではないでしょうか?
その場合、
ゲームの中の飼育で満足してもらう
のも手ですよ!
ゲームは「楽しく学ぶことができるツール」になるので、遊ぶゲームを選んだり活用の仕方次第で勉強にも活かせます!
自分のアプリの宣伝になってしまうのですが、以下のアプリが飼育ができて虫の勉強もするのにオススメです。
実際に、親御さんから「家の中では飼えないけど、ゲームの中なら許せる」という感想をいただいたこともあります。
■ 虫探しロールプレイングゲーム「むしマスター!3」
おわりに
- 虫の命に触れることによって、子供は成長する
- 虫に触れることによって「リアルな命」を感じられる
- 虫に触る時の注意点を知っておこう
- 虫が苦手ならゲームを活用するのも手
という話をしてきました。
身近な場所にも魅力的な生き物はたくさんおり、虫のような小さな命から学べることがたくさんあります。
あなたもまずは身近な場所で、魅力的な虫たちの観察をしてみませんか?
以下の記事では昆虫観察の始め方や、観察に役立つ道具を紹介していますので、ぜひご覧ください!
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