鳥を探しに行きたいけど、どういう場所に行けばいいのかわからない…
野鳥がいるという場所に行ったけど、思ったように出会えなかった。
こんな悩みを解決します。
出会える野鳥の種類は、場所によって全く異なり、同じ場所でも季節が違うとまた変化します。
そう、自然がある場所になんとなく行くだけでは、思ったようには野鳥に出会えないのです。
狙った野鳥を観察する為には、野鳥がどういう環境を好むのかを知ることが大切なのです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
というわけで、今回は野鳥が好む環境を紹介します。
野鳥が好む環境
森
森といっても、標高や森の中の樹種による違いがありますが、ここでは低地の広葉樹林とします。
森には木の実を食べる鳥、森に住む虫たちを食べる鳥が暮らしています。
そのため、木の上で生活している鳥たちが多く観察できます。
森ならではの鳥としては、キツツキがいますね。
木の幹をつついて鳴らす音が手がかりとなるでしょう。
■ この環境で見られる代表的な鳥
キツツキ類、フクロウ類、カラ類、ヒタキ類、エナガ、森林性のタカ類(オオタカ、ツミなど)、カケスなど
■ 野鳥撮影に関して
森は暗くいし鳥が枝に被ることが多いので、撮影の難易度が上がります。
特に夏の森は葉が生い茂っていてさらに撮影が難しいです。
観察しやすい開けた場所で野鳥が来るのを待つ作戦が有効です。
■ 観察する季節に関して
春〜初夏の鳥のさえずりが聞ける時期が良いです。
葉が茂って鳥が鳴かなくなる真夏の時期は鳥を見つけるのが難しくなります。
冬は森の奥よりも林縁で木の実をついばむ鳥(アオジ、シロハラ、ルリビタキなど)が観察しやすいです。
湿原・草原
湿原や草原では、背の高い草が広く生い茂り、ヨシ原を形成するような環境です。
このヨシ原を中心に暮らす野鳥たちに出会えます。
ヨシの上でさえずるオオヨシキリだったり、ヨシの中に潜んで暮らすクイナがたまに姿をのぞかせるところを観察できるでしょう。
視界が拓けているので、狩りをする猛禽類も観察できる可能性のある環境です。
■ この環境で見られる代表的な鳥
キジ、クイナ類、サギ類、カモ類、ヨシキリ類、ヒバリ、ヒタキ類、アトリ類(カワラヒワ、ベニマシコなど)、ホオジロ類、草原性のタカ類(チュウヒ、ノスリなど)など
■ 野鳥撮影に関して
見晴らしが良いので、撮影は比較的しやすいです。
また、初夏は花と鳥を一緒に撮影する「花鳥風月」的な撮影の楽しみ方もできます。
野鳥はヨシ原に隠れて暮らしているので、いかにヨシに邪魔にされずに撮影できるかがポイントとなります。
ただ、湿原という環境上、気温が上がると水蒸気が発生して撮影しづらくなるので、午前中の早い時間に出かけるのがオススメです。
■ 観察する季節に関して
1年中楽しめる場所です。
冬は、カモやベニマシコ、モズ、クイナ、冬鳥の猛禽類などが見られます。
低木があるところでは、アリスイというキツツキの仲間も見られることがあります。
夏はヨシキリ類やキジがあちこちで鳴く姿が見られ、渡りの時期にはノビタキやシギ類が見られるでしょう。
干潟
干潟では、貝や蟹を食べるために集まった鳥たちが見られます。
渡り鳥であるシギ・チドリ類を観察するならこの環境は外せません。
観察は潮の干満に左右されるので、潮見表は要チェックです!
野鳥は干潮時に餌を食べにやってきますが、完全に干潮だと観察範囲が広すぎて野鳥が遠い場合があるので、陸ができる範囲が部分的で、撮影しやすい場所に野鳥が集まるような時間を狙うのがオススメです。
■ この環境で見られる代表的な鳥
カモメ類、サギ類、シギ・チドリ類、海洋性のカモ類、カイツブリ類、ミサゴなど
■ 野鳥撮影に関して
上で説明した通り、潮の干満に左右されるので、時間帯によって鳥との距離が変わりますので事前の準備が大事になります。
また、さえぎるものがない分、太陽光の影響を大きく受けます。
順光になる位置で撮影できるよう準備した方が美しい写真が撮影できるでしょう。
■ 観察する季節に関して
シギ・チドリが見られる、渡りの時期(春・秋)が旬です。
春の渡りの時期はちょうどサギ類が繁殖羽になっているので、それも同時に楽しめるでしょう。
夏は夏鳥のカモメ類(アジサシなど)が見られます。
冬はカモが面白いですが、こちらは干潟というより次で説明する海の沖ですね。
海
岸から海に住む野鳥を観察する場合を考えます。
ここでは、海の魚を食べる野鳥たちが見られます。
海ならではの面白さとして、主に渡りの時期、渡り途中の旅鳥が立ち寄ったり休んだりしているところに出会える可能性があります。
また、沖合を見ていると思わぬ海鳥がいたりして、宝探し的な楽しさがあります。
岩礁ではクロサギがいたりします。
干潟と合わせて、渡りの時期は気にしたい環境です。
■ この環境で見られる代表的な鳥
カモメ類、海洋性のカモ類、シギ・チドリ類、カイツブリ類、ミズナギドリ類、ウ類、ウミスズメ類、アビ類、サギ類、ミサゴなど
■ 野鳥撮影に関して
海での撮影は、何と言っても野鳥との距離が遠いです。
特に沖合の野鳥を撮影したいと思ったら、かなりの望遠レンズが必要になります。
それが用意できない場合は、漁港など比較的近い距離にいる鳥を狙って撮影することをオススメします。
■ 観察する季節に関して
夏以外がオススメです。
渡りの季節は、シギ・チドリ類や、移動中の海鳥に出会える可能性があります。
冬はカモ類が面白いです。
冬の海ならではのシノリガモやクロガモ、ビロードキンクロなどに出会える可能性がります。
池・湖・沼
池・湖・沼と一緒くたにしてしまいました。
規模が場所によって全然違いますが、カモ類が優雅に泳いでいられるくらいの大きさの面積がある環境をイメージしてください。
ということで、この環境では水面を泳いで生活する水鳥たちが見られます。
印旛沼ではまさにそういった野鳥が見られます。
■ この環境で見られる代表的な鳥
カモ類、サギ類、カワウ、バン、オオバン、カイツブリ類、など
■ 野鳥撮影に関して
大きな湖などでは、天敵から身を守るため大抵陸から遠いところで生活しますので、野鳥との距離が遠くなる傾向があります。
そうでない場合は、見晴らしも良いし、カモ類は動きもあまりないので撮影はしやすいと思います。
逆に、カモたちは昼間は寝ていることが多いので、起きて活動するまで待ちの時間が長くなることがあります。
■ 観察する季節に関して
冬がオススメです。
ハクチョウ、カモと冬ならではの野鳥をじっくりと撮影できる環境です。
繁殖地に戻る直前の2月後半になると、繁殖期の準備でカモの求愛行動を観察できることもあります。
この環境は、春になって冬鳥がいなくなると、一気に寂しくなってしまいます。
秋がやってくるのを気長に待ちましょう。
農耕地
自然にできた環境ではなく、人工的な環境ですが、こういう場所を好む野鳥がいます。
田んぼや畑にたくさんいる虫を食べるんですね。
なので、農家の方から見ると鳥は害虫を駆除してくれるパートナーであるわけです。
虫には悪いですが、こういう風に自然と手を取り合う関係性は素晴らしいですね。
印旛沼周辺には豊かな農作地帯があります。
■ この環境で見られる代表的な鳥
カモ類、サギ類、シギ・チドリ類、カラス類、ハヤブサ類、タカ類(ノスリ、トビ)、ツグミ、タヒバリ、スズメ類、ムクドリ、ハト類など
■ 野鳥撮影に関して
範囲が田んぼや畑の区画内なので、比較的距離は近いです。
広大な農耕地帯の場合はその限りではないですが。
問題は水田などでは、イネに隠れて野鳥の姿が確認しづらいことです。
野鳥が見える位置に出てくれるのを気長に待つしかないですね。
■ 観察する季節に関して
1年中楽しめます。
冬はツグミやタゲリ、ノスリなどが見ることができます。
北から渡ってくるミヤマガラスやコクマルガラスが見られることも。
夏は水の張られた水田でシギ類やサギ類を見ることができます。
おわりに
野鳥に出会うためには、野鳥のことをよく知る必要があります。
今回は野鳥が好む環境を紹介させていただきましたが、野鳥のことを知れば知るほどたくさんの出会いが生まれるんですね。
それぞれの野鳥が暮らす場所での生活を詳しく知りたい方は、以下の本がオススメです。
この本では各野鳥がどういう環境で生活していて、どういう行動を取っているのかをイラスト付きで分かりやすく解説してくれています。
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