渡り鳥って聞くけど、どんな鳥たちなのかよくわかってないかも…。
わかりやすく教えてほしい!
こんな疑問にお答えします。
「渡り」とは、季節によって長距離移動をする習性のことで、野鳥ならではの習性です。
というのも、"空を飛んで長距離移動できるのは、基本的には鳥しかいない"のです。(一部、渡りをする蝶などいます)
野鳥を楽しむにあたり、渡りを理解していることはとても重要です。
なぜなら、渡りを知っていると、季節ごとに出会える野鳥の違いや変化に気付けるようになるからです。
その結果、日本の四季の移り変わりを感じられるようになり、僕たちの日常生活もより楽しくなるのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、渡り鳥や冬鳥、夏鳥といった言葉の意味を紹介します。
※動画版はこちら▼
渡り鳥とは
渡りの知識は野鳥観察において重要
野鳥観察をする上で、「渡り」の習性は、鳥を深く知るための重要なキーワードです。
なぜなら、日本で見られる野鳥の半分以上が渡りをするから。
日本で見られる野鳥は"季節に応じて変化"しますが、これは渡りの習性が関係しているのです。
例えば、美しい青い鳥である「オオルリ」は、夏に日本を訪れる渡り鳥です。
オオルリ
渡りのことを知っていると、このような魅力的な鳥たちのことがよく分かり、観察にも役立つのです!
渡り鳥の意味
では、「渡り」とは何かというと、季節によって長距離移動をする習性のことです。
なので、
となります。
例えば、日本からインドネシアのジャワ島まで渡る場合、往復で2万2000キロも移動することになります。
人間がこの距離を時速4キロの速さで休まず歩いた場合、なんと15年掛かる計算になります。
とんでもない距離ですよね!
しかも、この距離を人間よりも小さな体で飛んで渡るのだから、驚きです。
渡り鳥はさらに細分化されている
また、渡り鳥にはさらに細分化された呼び方があります。
- 夏にやってくる = 夏鳥
- 冬にやってくる = 冬鳥
- 日本を通過する = 旅鳥
ちなみに、「夏鳥」「冬鳥」などは、その地点基準での飛来時期によって決まります。
例えば、アオジという鳥がいます。
アオジ
アオジは夏は山地や北海道など日本北部で暮らし、冬は低地や日本の南部に移動します。
つまり、アオジは関東の平地では「冬鳥」ですが、北海道では「夏鳥」。
このように、同じ種であっても、見られる場所によって「冬鳥」なのか「夏鳥」なのかは変化するのですね。
渡り鳥の種類【夏鳥、冬鳥、留鳥など】
夏鳥とは
夏に見られる鳥のことです。
日本の夏鳥は、冬の寒い時期は東南アジアなどの南の国で過ごし、春〜初夏の時期になると日本にやってきて繁殖活動をします。
なので夏鳥は、繁殖活動に伴う行動を観察できるのが大きな魅力の1つです。
例えば、求愛やなわばりアピールのために歌うような鳴き声の「さえずり」を聞かせてくれるのは、この夏鳥たちです。
冬鳥とは
冬に見られる鳥のことです。
日本の冬鳥は、夏の暑い時期はロシアのシベリアなどで過ごし、晩秋〜冬の時期になると日本にやってきて越冬をします。
冬鳥が見られる時期は樹木の葉が落ちるので、樹上で暮らす野鳥たちも観察しやすい季節。
そのため、実はバードウォッチングに最適な季節でもあります。
旅鳥とは
繁殖も越冬もせず、その地点を通過する鳥のことです。
日本では春と秋、南北への移動途中に見られます。
旅鳥は出会う時期により、姿が違うのも面白いです。
春に出会った時は「夏羽」、秋に出会った時は「冬羽」の姿が見られるのです。
秋にはその年に生まれた「幼鳥」も見られるかもしれません。
旅鳥には、シギ・チドリ類がいます。
留鳥とは
渡りをしない鳥のことです。
渡りをしないので、1年を通して観察することができます。
留鳥はその土地に根付いた進化を遂げるものもあり、離島など閉ざされた空間ではその土地固有の特徴を持った「亜種」となっていることも多いです。
漂鳥とは
渡り鳥と留鳥の中間的な行動を取る鳥です。
夏は山地で冬は平地、または国内での移動といった、長距離ではないものの季節に応じて移動をするのです。
同じ種でも、個体や地域によって移動したりしなかったりするので、図鑑などでは留鳥・漂鳥などと書かれていることがあります。
漂鳥には「夏には山でしか出会えない鳥が、冬には平地で出会える」というような嬉しさがあります。
野鳥が渡りをする理由
ところで、野鳥たちはなぜ「渡り」をするのでしょうか?
渡りは、大変な労力を使う上に、大きなリスクも伴います。
- 渡りの途中で嵐に襲われるかもしれない
- 渡りで疲弊している所に天敵が襲ってくるかもしれない
- 渡った先が昨年と同じように過ごしやすい場所という保証はない
渡りによって、失ってしまう命もたくさんあるのです。
このような危険を冒してまで渡りをする理由については、多くの研究がされてきましたが、現在有力な説として「エネルギー効率」があるようです。
鳥類は渡りによって長距離を移動しますが、その理由もエネルギー効率で説明できるかもしれません。つまり、その場に留まるよりも渡った方がエネルギー効率がいいかもしれないということです。
渡り鳥には、アトリなど、年によって飛来数が大きく増減する鳥たちがいます。
アトリ
その年の繁殖地などでのえさの得られやすさが関わっていたりするのでしょうね。
いずれにしても、毎年決死の覚悟で日本へやってきてくれる渡り鳥たちを、優しく迎え入れてあげたいものです。
おわりに:渡りを知って野鳥との出会いを楽しもう!
渡りを知ると、季節ごとの様々な野鳥たちとの出会いが楽しくなります。
また、地域によって季節の鳥が違うのも面白いところで、例えば関東では冬鳥なのが、北海道では夏に繁殖する姿を見られたりするんですね。
これは日本が縦に長い国であり、北部と南部で気候帯が違うという、日本ならではの特徴があるからこそなのです。
このように、野鳥観察をすることで日常がより楽しくなり、とっても豊かに過ごせるようなるので、オススメですよ!
野鳥観察の始め方については、以下で紹介していますのでご覧ください。
また、野鳥観察の楽しさを体験できるように、アプリ(ゲーム)配信も行っていますので、こちらもぜひ遊んでみてください!
■ 環境育成&野鳥観察ゲーム「鳥パラダイス」
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