ネイチャーエンジニア いきものブログ

虫・鳥などの動植物の魅力や知識など、自然観察をもっと楽しむための情報を発信します。


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虫や鳥の名前の識別に役立つ生物分類の知識。分類階級と活用方法を紹介

生き物の話で出てくる「種」とか「目」って何?

虫や野鳥の名前の識別って難しいし時間がかかる…。もっといいやり方ないかなあ?

 

こんな疑問にお答えします。

 

ネイチャーエンジニアの亀田です。

 

生き物の識別・名前の特定は難しいものですよね。

 

僕は生き物をテーマにした情報を発信していて、今まで3,000種類以上の動植物に出会ってきました。

 

しかし今だに初めて出会う生き物は多く、名前を調べる際は今でも苦労しています。

 

でも、以前よりはるかに調べるのが早くなりました。

 

それは、生物分類についての知識と経験が蓄えられたからです。

 

この知識を活用することで、名前の識別がグッとラクになります

 

以下の記事で、虫の名前を調べるツールやテクニックをお伝えしました。

>> 見つけた虫を識別したい!虫の名前を調べる3つの方法

 

上記で紹介したツールたちは、生物分類の知識と組み合わせることで、もっと効率的に使うことができるのです。

 

なお、この知識を実践するには、多くの生き物を見る経験が必要です。

 

しかし、苦労して身につけた経験と知識は、その後の喜びと効率化を産み、きっと人生を豊かにしてくれますよ

 

というわけで今回は、

 

  • 生き物の分類の知識(階級)の解説
  • 分類の知識を生き物の名前の識別に活用する方法

 

を紹介します。

 

 

 


■ 目次

 
分類学における「階級」とは?

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生き物の分類の仕方には色々な方法があるのですが、「リンネ式階層分類」によるでグループ分けがよく使われます。

 

この分類法では、生き物を階層状にグループ分けするやり方です。

 

階層は以下のようになっています。(上の方が大きなグループ)

 

界 - 門 - 綱 - 目 - 科 - 属 - 種

 

例えば、昆虫は「昆虫綱」という階級に属します。

 

昆虫綱には、下位階級である「バッタ目」「チョウ目」といった階級が複数含まれます。

 

図にするとこのような感じ。

生物分類の階層

 

昆虫類の分類については、下記の記事でも紹介しています↓

>> 昆虫の種類を知りたい!昆虫の分類ごとの特徴や魅力と代表種を紹介

 

例としてカブトムシの階級は、こうなります。

カブトムシ

門:節足動物門
綱:昆虫綱
目:甲虫目
科:コガネムシ科
種:カブトムシ

 

カメムシやチョウなども同じように階級がついています。

 

昆虫以外の生き物も階級分けされています。

 

スズメの場合はこうです。

スズメ

門:脊索動物門
綱:鳥綱
目:スズメ目
科:スズメ科
種:スズメ

 

動物だけでなく、植物にも階級がついています。

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門:被子植物門
目:シソ目
科:オオバコ科
種:オオイヌノフグリ

 

ちなみに、階級分けの基準やルールは、動物の種類によって異なります

 

昆虫類のルールと、鳥類のルールが違うのはもちろんですが、同じ階級内でも異なったりします。

 

例えば、昆虫の中でも、

 

  • 成虫のはねの形態
  • 幼虫の形態
  • 成虫になる際のさなぎの割れ方

 

など、様々。

 

さらには、国内と海外での分類ルールが違ったり、国内でもルールが改定されたりします。

 

DNA鑑定など、新しい技術が生まれて識別方法が変わってくるためです。

 

とっても複雑ですね…

 

とはいえ細かなルールを覚えたりする必要はなく、とりあえずは手持ちの図鑑のルールに従いましょう

 

生き物の名前を調べる目的であれば、国内の一般的な分類を使うだけで十分役立ちます。


生き物の名前って何?【「種」の定義】

この記事は「生き物の名前」を調べやすくするために書いてますが、そもそも「生き物の名前」とは何でしょうか?

 

分類学上、多くの場合は「種名を特定する」ということです。

 

ここで「多くの場合」と言ったのは、後述する「亜種」を含む場合もあるからです。(亜種については後述します)

 

ところが、この「種の定義」が実は難しかったりします。

 

種の定義には、色々な説があります。

 

  • 形態学的分類:見た目で分類
  • 生物学的分類:自然下で生殖可能な子孫を残せるかどうかで分類
  • 系統学的分類:遺伝子で分類

 

と、このようにいろんなルールがあり、ややこしい話です。

 

科学の発展などにより、これからも変化・複雑化していくと思われます。

 

生物の教科書では「生物学的分類」で説明されていますので、これが最も一般的だと思われます。

 

でも「自然下で生殖可能な子孫を残せるかどうか」という定義、ピンとこなくないですか?

 

これについて、具体例を挙げつつ補足します。

 

1. 生殖能力のない動物は種として認められない
自然下では生殖行為をしなくても、人工的に別種の生き物の子供を産ませることができるものもいます。

 

例えば、「ヒョウの父親」と「ライオンの母親」を掛け合わせて、「レオポン」という雑種を産ませることができます。

 

しかし、レオポンには「生殖能力」がありません。

 

つまり、レオポンは将来に子孫を残していくことができないのです。

 

なので生物学的分類では、レオポンは「」としては認められないのです。


2. 生殖可能な雑種「品種」
逆に、人工的な交雑でも生殖能力を持つものもいます。

 

例えば、「マガモ」と「カルガモ」は自然下では交雑しないのですが、人工的に交雑できます。

 

アイガモ」「アヒル」などと呼ばれますが、これらは生殖機能を持ちます。

 

アイガモ

アイガモ

このように人工的に作り出した種は「品種」と呼ばれます。

 

これらの種はしばしば野生化して問題になります。

 

人工的な生き物が野生化して、自然の生き物と交雑すると遺伝子が撹乱されてしまうからです。

 

これはペット飼育についても同様の問題を抱えています。

 

人間が手を加えたものは責任を持って管理しないといけません。 


3. 単為生殖する生き物

単為生殖」とは、オス・メスの交配なしで子孫を残すことができる繁殖方法です。

 

遺伝子が混ざらないので、いわゆる「クローン」ということになります。

 

例えば、ミツバチはオス・メスの交配のある「有性生殖」と、「単為生殖」を使い分けます。

 

ミツバチ

セイヨウミツバチ

ミツバチの有性生殖ではメスが生まれます。

 

それに対して、卵に受精をさせないで産むことができます。

 

これが単為生殖で、これで生まれるのはオスです。

 

もう1つ、単為生殖する生き物の例は、アブラムシ。

 

アブラムシはメスしかおらず、クローンで世代をつなぎます。

 

このように、オス・メスの交配なしで子孫を残すことができる生物もいて、種の定義を難しくしています

 

アブラムシは個体ごとに子孫を残すため、全て別種にするのか?という問題になり、例外的なケースになっています。


4. 種の下位階級「亜種」
同じ種ではあるのですが、地理的な隔絶をして長い期間が経つことで外見が変化する生き物がいます。

 

このように同じ種でも、生息する地域により大きな外見変化があるものを「亜種」と呼びます。

 

例えば、「アマミコゲラ」はコゲラの亜種。

 

アマミコゲラ

アマミコゲラ

奄美諸島に繁殖するコゲラで、本州のコゲラよりも全体的に黒っぽくなっています。

 

ちなみに、本州のコゲラは、

 

種名:コゲラ
亜種名:コゲラ

 

と種名と亜種名が同じです。

 

このように種のベースとなる亜種を「原亜種」と呼びます。


分類の知識を生き物の名前の識別に活用する方法

分類の知識が生き物の名前の識別に役立つ理由は、

 

生き物の絞り込みが効率化できるから

 

です。

 

例えば、名前の知らないバッタを見つけて、図鑑で名前を調べるとします。

 

その場合、分類を意識していなくても、バッタのグループ内から探すはずです。

 

チョウのグループなども含めて1ページずつめくることはしないですよね?

 

なぜなら、バッタというグループにいることが分かっているので、グループ内だけを調べた方が効率的だからです。

 

この効率化の効果は、仮に図鑑に10グループあったとしたら、10倍の早さで調べられるということになります。

 

このように、普段から分類の知識は活用しているのです。

 

でも、一般以上の分類の知識を得ることで、さらに効率をあげることが出来ます。

 

前述した分類の階級で言うと、一般的に知られている知識は「」まででしょう。

 

」まで知っている人は、一般より詳しいレベル。

 

この「」まで知っていれば、普通よりもかなり効率的に調べられるのです。

 

ちなみに、基本的な階級以外にも、「亜目」「上科」などさらに細かい副階級がつくこともあります。

 

どんな副階級が付けられるかは、動物の種類によって異なります。

 

これらは一般的な図鑑では記述されていませんが、キーワード検索やWebサイトでの検索で役立ちます。

 

全て覚えておくことは不要です。

 

主要な副階級だけ覚えておくでも十分に役立ちますよ。


脱線しましたが、「科」の情報を活用した具体例を3つほどあげます。

 

1. ヤニサシガメを調べる

ヤニサシガメ

この虫は「カメムシ目サシガメ科」の昆虫です。

 

一般的なカメムシとはちょっと異なる姿をしていますが、サシガメを知っている人にとっては、すぐに「サシガメ科」であると判断できる外見的特徴を持っています。

 

この虫を知識別に検索する場合を見て行きます。

 

・昆虫の知識がほとんどない場合
カメムシの仲間ということも想像できないので、図鑑を1ページずつ全部検索することになります。

 

検索効率は1倍です。

 

・「カメムシ目」ということまで特定できた場合

カメムシ目に絞り込んで検索できます。

 

10の「目」があるとすると、検索効率は10倍です。

 

・「サシガメ科」ということまで特定できた場合

カメムシ目サシガメ科に絞り込んで検索できます。

 

10の「科」があるとすると、検索効率は10 x 10 = 100倍です。

 

このように、100倍にまで効率化することができてしまうんです。


2. コスズメを調べる

コスズメ

マンションの光に導かれてやってきた、「チョウ目スズメガ科」の昆虫です。

 

見た目から蛾であることは想像できると思います。

 

でも、蛾ってバリエーション豊かで、とても「科」の数が多いんですよ。

 

僕がよく使う以下のポケット図鑑では28の科が掲載されていました。

 

ということは、蛾の科を特定できると28倍の検索効率になるんです。


3. 海外や離島の生き物

海外や離島の生き物は情報が手に入りづらく、図鑑などはなかなか売っていません。

 

なのでWebでキーワードを使って画像検索することが多いです。

 

その場合、何のキーワードで探すかが重要です。

 

以下はこの間ボルネオ島に行った時に見つけた「ハジロマユヒタキ」。

ハジロマユヒタキ

関連: マレーシア ボルネオ島 キナバル山・コタキナバル周辺の野鳥

 

見た目がキビタキに似ていて、「ヒタキ科」の仲間だということが分かります。

 

この時、科が分からなければ、キーワードは

 

「borneo bird」

 

とかで検索するしかなく、目的の鳥が出てくるにはどれだけ画面スクロールすれば良いのか、途方に暮れます

 

でも、科が分かっているとキーワードが変わります。

 

ヒタキ科の英語は「Chats and Flycatchers」なので、

 

「borneo Chats and Flycatchers」

 

で検索できます。

 

すると、スクロールしなくても目的の鳥が出てきました

 

このように、特に情報の少ない状況での絞り込みに、分類の知識はとっても有効です。


分類の知識を蓄えるには経験が必要

じゃあ、今回のこの記事で分類の概念を知ったから、すぐに効率的な検索ができるかというと、やはり未知の生き物は最初は手探りで調べることになるでしょう。

(すでに知識があるものについては効率化できます)

 

なぜなら、科レベルの特徴をまだよく知らないからです。

 

しかし、この概念を知った上で、上のような経験を重ねると、「目」や「科」レベルの知識が蓄えられます。

 

この概念を知る前は「名前」を見るだけだったのが、今後はその生き物の「目」や「科」にも注目するようになるからです。

 

覚えていくまでは時間も掛かるし、大変かもしれません。

 

でも、1つずつ見知らぬグループの生き物に出会っていく喜びもあるものです。

 

こんな風に発見の喜びを感じながら経験を蓄積するのが良いやり方ですね。

 

そしてその未来には、識別経験を積んだ1つ上の自分がいるはずですよ!

 

※ そこまで努力せずに調べたいという方は、便利なWebサイトや図鑑をとにかく駆使する方法も1つの手です。

 

ツールはこちらで紹介しています(知識があった方がより有効に活用できます。  )↓

>> 見つけた虫を識別したい!虫の名前を調べる3つの方法


おわりに

  • 生物分類の階級
  • 生物の種の定義
  • 分類の知識を生き物の名前の識別に活用する方法
  • 分類の知識を蓄えるには「経験」が大事

 

についてお伝えしました。

 

見つけた生き物の分類についても一緒に学んでいくと、生き物をさらに知ることができてより楽しくなりますよ!

 

お勉強として考えるのではなく、楽しみながら知識を身につけて行きましょう

 

別の記事で、生き物の魅力についても紹介していますのでぜひどうぞ。

 

いろんな虫の魅力はこちら↓

>> 「かわいい・きれい・かっこいい」虫を知ろう!魅力的な昆虫まとめ

 

いろんな野鳥の魅力はこちら↓

>> 身近にも海外にも面白い野鳥はたくさんいる!野鳥の魅力紹介まとめ

 

では、また。