ネイチャーエンジニア いきものブログ

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変温動物と恒温動物の違い【生物と体温の関係。生物はなぜ冬眠するのか?】

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変温動物と恒温動物の違いは何?

冬になると、熊や蛇が冬眠するのはなんで?

こんな疑問にお答えします。

 

中学生くらいの時に生物の授業で

 

  • 変温動物
  • 恒温動物

 

という言葉を覚えたことはないでしょうか?

 

ざっくり特徴を比較すると以下の表のようになります。

変温動物と恒温動物の違い

当時僕は「そういうもんか」と思いながら暗記だけしており、正直あまり深く興味は湧きませんでした

 

しかし今、色々な生き物を観察していたら「生物の体温変化って面白い!」ということに気付きました。

 

なぜなら、体温はその生物の行動や習性にも大きく影響しているからです。

 

僕はネイチャーエンジニアの亀田です。

 

年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な生き物に出会ってきました。 

 

そんな生き物好きの僕が、生物の体温について紹介します。

 

 

変温動物と恒温動物の違い

冒頭でも見せた表ですが、変温動物と恒温動物には以下のような違いがあります。

変温動物と恒温動物の違い

ここでは、

 

  • 寒い環境への適応
  • 食糧不足への適応


という観点で比較していますが、なぜここに違いが出てくるのか解説していきます。

 

変温動物が暖かい地域にしか生息していない理由

変温動物は、周りの環境の温度(=気温、水温)に応じて体温が変化します。

  • 寒い環境にいる → 体温が下がる
  • 暖かい環境にいる → 体温が上がる


といったふうに変化するんですね。

 

では、

 

そもそも「体温」はなんで必要なの?

 

と思いませんか?

(学校の授業で習ったかもしれませんが、僕はこの辺り記憶がありません)

 

それは、動物が活動するにはエネルギー(=熱)が必要だからです。

 

エネルギーがなくなった動物は、体が動かせなくなり、最終的には「凍死」します

 

この理由から、外部の温度に熱を依存する変温動物は、寒い環境では生きられないんですね。

 

そのため、例えば南極などの寒い場所には変温動物はいません。

 

日本の場合も、冬は変温動物はほとんど活動できません

 

では冬の間、カエルやヘビなどの変温動物はどうしているかというと、「冬眠」などの行動で冬を乗り越えます。(後述します)

 

恒温動物が食料がないと生きられない理由

恒温動物は、自分の体の中で熱を生み出すことができます

 

そのため、周りの環境が寒くても活動をすることができるのです。

 

極寒の地域でも生活している人々もいますよね。

 

というわけで、恒温動物の方が気温的な環境変化には強いのです。

 

しかし代わりにデメリットもあり、食糧不足には弱いです。

 

なぜなら、恒温動物の体温は「食糧から生み出している(代謝)」ためです。

 

なので食糧不足に陥ると、体温を生み出すことができません。

 

すると体温が保てずに活動できなくなってしまうのです。

 

対して、例えば変温動物のワニは、数年断食しても生きられるそうです。(期間は種類によります)

 

ワニは獲物を仕留めるのは、基本「待ち伏せ」。

 

活動量が低く、消費エネルギーが少ないのも長期間の断食が可能な要因になっています。

 

変温動物の体温が関連する行動

ひなたぼっこ

変温動物がひなたぼっこをしている姿を見たことはありませんか?

 

カメはよく公園の池で、ひなたぼっこしています。

カメ ひなたぼっこ

 

また、チョウがはねを開いて休んでいるのも、実はひなたぼっこです。

チョウ ひなたぼっこ

 

これは「今日は天気が良くて気持ち良いから日を浴びよう」と、趣味的な理由でやっているのではありません。

 

ひなたぼっこは、「太陽の光の熱を体の体温として吸収する」という、変温動物にとって重要な行動なのです。

 

さらに、チョウやガのはねの鱗粉には、太陽光を吸収しやすい構造になっています。

 

このことからも、彼らにとって太陽光がどれだけ大切かがが分かります。

 

この仕組みは、効率的な太陽電池の開発にも使われているそうです。

参考: すごい自然のショールーム --- りん粉で光を集めて暖かいチョウ

 

冬眠

日本には四季があり、冬は変温動物にとって厳しい季節です。

 

それを乗り越える方法の1つに「冬眠」があります。

 

冬眠とは、活動を最低限にすることで、使用するエネルギーを極力抑えつつ冬を越すことです。

 

ちなみに、冬にたまに暖かい日があった時、間違えて冬眠から起きてしまうと致命的。

 

なので、野生動物はなるだけ気温変化の少ない場所で冬眠しています

 

ヘビやカメ、昆虫などが冬眠します。

 

え、でも、クマも冬眠するよね?

 

という疑問が。

 

その通り、クマも冬眠します。

 

冬眠中は体温を下げ、しっかりと「活動しない体」にした上で冬眠します。

 

ところが、冬眠する理由は変温動物とは異なります

 

クマが冬眠する理由は、「食糧がないから」です。

 

変温動物と違って、寒さで直接的に体温が下がることはありませんが、冬は体温を生み出す食糧がなくなります。

 

その時に、普段通りのエネルギーを消費していると、冬の間にエネルギーが尽きてしまうのです。

 

そのため、冬眠でできるだけエネルギーを消費しない「省エネモード」になるのです。

 

ちなみに、虫たちは種類ごとに卵や幼虫など、越冬する姿が異なります

 

こちらについては以下の記事で詳しく紹介しています↓

 

恒温動物の体温が関連する行動

汗をかく

汗をかいて、水分を出すことで体温を下げます

 

これによって、高温の環境でも活動をすることができます

 

でも実は汗をかく動物はあまりおらず、ヒト、ウマなどに限られます。

 

では、それ以外の動物はどうしているかというと、「呼吸」で体温調節をします。

 

が夏場によく口をあけて「ハアハア」とやっていますよね?

 

ウチの実家の犬も夏になるとよくやっています。

 

あれは、運動してハアハアしているのではなく、人が汗をかくのと同じ、体温調節のための行動なのです。

 

そのほか、ゾウ大きな耳を体温調節に使います

 

ゾウの耳にはたくさんの血管が集中しています。

 

耳をパタパタして耳の血管を冷やし、体温調節をします。

 

鳥肌

鳥肌は、皮膚の毛穴を強く閉じることで熱を逃がさないようにする仕組みです。

 

ヒトの場合、過去の名残でこの行動を取るものの、体毛が少なくなってしまっているので実はあまり効果がないようです。

 

鳥も冬になると、はねに空気を取り込むことで、丸くてふっくらした姿になります。

 

これをやっている姿のスズメを「寒雀」なんて言いますね。

スズメ 寒雀

 

鳥肌は、これに近い行動なのです。

 

例外的な「変温動物」「恒温動物」

生き物には、ほとんどのことに「例外」があります。

 

「変温動物」「恒温動物」の話も例外ではありません。

 

ナマケモノ

ナマケモノは、哺乳類なのに変温動物な生物です。

 

行動もワニのように、ゆっくりと省エネモードな動きをします。

 

アキアカネ

アキアカネは、昆虫なのに一定の体温を保ちます

アキアカネ

 

活動中は、外気温の10〜15度高い体温

 

このため、他の昆虫よりも寒い時期に活動できるんですね。

 

なお、暑い日に逆立ちする姿を見ますが、それは体温が上昇しすぎないようにするためとのことです。

 

「恒温動物」「変温動物」という言葉は今は一般的でない?

今まで紹介してきた「恒温動物」「変温動物」という言葉は、最近はあまり一般的でなくなってきているとのこと。

 

化学の発展により動物のことがより分かるようになり、この区分で2分化しづらくなくなってきたようです。


例えば、ハチドリは摂取した糖分を数十分でエネルギーに変換できる、効率的な代謝能力を持っています

 

そのため、必要以上にエネルギーを体に蓄える必要がありません。

 

このおかげで、「昼の活動中は恒温動物、夜の休止中は変温動物」的な特徴を持ちます。

 

このような例外ケースが増えてしまったのですね。

 

今は、

  • 内温性:体温が代謝熱によって生み出される
  • 外温性:体温が周りの温度で変化する
  • 異温性:体の部位や生理状態によって体温が変化する

 

という言葉が使われるようです。

 

変温動物・恒温動物を上の定義にすると、

  • 変温動物=外温性を持つ動物
  • 恒温動物=内温性を使って、自律的に体温を維持している動物

 

と言い換えられることになります。

 

調査が進むことで、いろいろなケースが出てくるので、さらに未来はまた新たな定義ができているかもしれませんね。

 

おわりに:本物の変温動物と恒温動物を観察してみよう!

生き物のどんな行動や性質にも、例外はつきものです。

 

というのも、ルールや定義は人間の都合でしたものだからです。

 

今回の件でも、「変温動物」「恒温動物」に2分化はしづらくなってしまいました。

 

科学が発展する度に定義が変更されて、過去の知識が正しくなくなったり変更されたりします。

 

しかし、言い換えればまだまだ未知の話や見直すべき事実が眠っているということですね。

 

ぜひ、「もう知っている生き物だから」とせずに、リアルな生き物たちをよく観察してみましょう。

 

もしかしたら、まだ発見されていないことが見つかるかもしれませんよ!

 

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