赤とんぼっていうと、アキアカネとか聞いたことがあるけど…。
他にはどんな種類がいるのかな?
こんな疑問に答えます。
夏の終わり〜秋にかけて見られる虫に、「赤とんぼ」がいます。
秋を代表する虫でもあるので、俳句で秋の季語にもなっています。
ところで赤とんぼって、どんなトンボか知っていますか?
実は「赤とんぼ」と言うのは、特定の種類のトンボの名前を指しているのではありません。
赤とんぼという言葉は総称であり、様々な種類が含まれているのです。
そんな彼らを知って見分けることができれば、秋にトンボに出会うのがもっと楽しくなりますよ!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、赤とんぼの種類と魅力を紹介します。
赤とんぼとは
赤とんぼとは、どういうトンボを指す言葉なのでしょうか。
まず、赤とんぼという種がいるわけではないことは、先ほど触れました。
赤とんぼとは、専門的には以下のような定義があります。
それは「トンボ目トンボ科アカネ属」というグループに含まれるトンボのこと。
図鑑などでは、こちらの定義を元に赤とんぼの言葉が使われていることが多いです。
ただし、この定義だとちょっと紛らわしいこともあります。
なぜなら、アカネ属のトンボにも赤くないトンボも含まれていたり、逆に、アカネ属以外のトンボに赤いトンボがいるからです。
例えば、真っ赤だけどアカネ属ではないトンボだと、ショウジョウトンボがいます。
厳密には赤とんぼではない、ショウジョウトンボ
知らなければ、普通に赤とんぼと呼んでしまいますよね。
外見が赤いトンボがいても、厳密な定義においては、ちゃんと種類を知っていないと赤とんぼとは言い切れないのです。
また、ややこしいのは種類だけの問題ではありません。
赤とんぼは成熟することで赤くなる種類がいます。
それらのトンボたちは、初夏頃から活動していたりしますが、秋に近付くと真っ赤になります。
つまり、実は赤とんぼなのに赤くない期間があるのです。
マユタテアカネ 未成熟
また、真っ赤になるのはオスだけ。(メスも一部が赤くなるものもいます)
こうなってくると、もうわけが分からなくなってきますよね。
ちなみに実は赤とんぼには、広義には「赤い体を持つトンボの総称」を言うこともあり、日常生活で使う分にはこの意味で使っておかしなことはないと思います。
この広い定義だと、以下が赤とんぼになるでしょうか。
- 赤くなる種類のトンボである(アカネ属かどうかは関係ない)
- 成熟したトンボ
- オスのトンボ
この記事では、このシンプルな「体が赤くなるトンボ=赤とんぼ」と呼ぶことにします。
赤とんぼの種類(アカネ属)
ナツアカネ
代表的な赤とんぼの一種。
アキアカネが夏は山で過ごすのに対して、ナツアカネは夏も低地で過ごします。
オスは成熟すると顔面まで赤くなります。
アキアカネ
代表的な赤とんぼの一種。
夏は山に移動して過ごすという習性を持ちます。
秋になると平地に戻り、身近な場所で見られるようになることが名前の由来です。
マユタテアカネ
変な名前のトンボですが、この名前の由来は「顔に眉のような紋があること」。
しかし実は、他にも同じ特徴を持つものがいて、この特徴だけでは特定できません。
というわけでやっぱり「胸部の側面の模様」で見分けます。
マユタテアカネは、「目立った黒い帯がないこと」が特徴です。
また、オスの尾の先端は上方向に反っているのも識別ポイントになります。
ノシメトンボ
ノシメトンボもやはり「胸部の側面の模様」で見分けます。
特徴は「真ん中の黒条が太くて、端に達すること」です。
また、個体差がありますが体色が他の赤とんぼよりもくすんだ赤色になります。
見つけると、「弱ってんのかな?」と思って覗くことが多いですが、そんな時はこのノシメトンボの場合が多いです。
コノシメトンボ
またまた「胸部の側面の模様」で見分けます。
特徴は「黒条が逆U字型になること」です。
ノシメトンボよりサイズは少し小さいです。
似た印象の赤とんぼが多く、ちゃんと側面を見ないと見分けづらいトンボです。
ミヤマアカネ
この赤とんぼは、はねの模様で見分けることができます。
はねに帯がある他のトンボと違い、はねの帯模様の先端が透明になっていること。
実はコフキトンボという別種が似たような帯模様を持っているのですが、ミヤマアカネの方が帯が太いことで見分けられます。
この帯模様が目立つので比較的識別しやすいです。
赤とんぼの種類(アカネ属以外)
ウスバキトンボ
「キトンボ」の名の通り、他の赤とんぼと比べて体が黄色〜オレンジ色です。
何よりも一番の見分けポイントは「とまり方が違うこと」。
他のトンボは水平に止まりますが、このトンボは斜めにしがみつくようにとまります。
上の写真でもがっしりしがみついています。
ショウジョウトンボ
正式には赤とんぼとは呼ばないトンボですが、赤とんぼ以上に赤いトンボです。
顔まで真っ赤になるトンボは他にいません。
もはや、体から赤い色がはねに溢れ出してしまっているくらいです。
このトンボは初夏の頃あたりから、真っ赤な姿で飛び出しているので、気づきやすいと思います。
ちなみに、真っ赤になるのはオスで、メスは黄色っぽい色です。
メスの写真は↓
ショウジョウトンボ メス
ベニトンボ
おまけで一種類、南の島の赤とんぼを紹介します。
その名も「ベニトンボ」。
もう、赤いのを通り越して紫っぽくなっちゃってます。
炎も赤より青い方が温度が高いって言うし、赤とんぼを超えた赤とんぼなのでしょう。
僕は今のところ、このトンボよりも赤いトンボは見たことがありません。
赤とんぼと同じ分類に属する虫たち
赤とんぼはトンボ目に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[トンボ目]
おわりに:赤とんぼとの出会いを楽しもう!
今回紹介した通り、赤とんぼは身近な存在ながら、見分けはとても難しいです。
その一方で見分けられるようになると、同じ場所でもいろんな赤とんぼがいることに気付きます。
そうすると、赤とんぼに出会えた時、
「この赤とんぼは何トンボかな?」
と、トンボたちとの出会いがとても楽しくなるのですね。
赤とんぼたちの違いが分かると、秋がより楽しくなるので、ぜひ彼らに注目して観察してみてください!
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