鶴って綺麗な鳥だけど、本物は見たことない…。
鶴って実物はどんな鳥なの?
こんな疑問にお答えします。
ツル(鶴)は日本人の多くが知っている、大変知名度の高い鳥。
しかしこんなに知名度があるのに、実物は簡単に見ることのできない鳥です。
僕は全国で自然観察をする中で、何種類かのツルの実物を見てきました。
実物の彼らは、想像通り、いや想像を超えるほど優雅で美しい、とっても魅力的な鳥たちでした!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、ツル科の野鳥の特徴と魅力を紹介します。
ツル(鶴)科の野鳥の魅力
ツル(鶴)科の野鳥は、ツル目ツル科というグループに含まれる鳥たち。
僕が思う、ツル科の野鳥の魅力は大きく2つ。
2. 国民的な知名度【様々なことわざや民話のモチーフになっている】
1. 優雅で美しい大型の鳥たち
ツルは非常に大きな鳥です。
以前紹介した、日本最大のアオサギは大型で迫力のある鳥で、90cm程度もの大きさを誇る鳥でした。
大型な身近なサギ・アオサギ
しかしながら、ツルたちはさらに大きい。
日本最大のツル、タンチョウは145cmにもなるのです。
サギよりもはるかに大きな体のツル(タンチョウ)
ツルはただ大きいだけでなく、そのスラッとしたシルエットは実に優雅で美しい。
飛翔する姿も、迫力と優雅さを備えていて、見応えがあります。
マナヅルの飛翔
ちなみに、ツルたちの鳴き声は「グルー」「クェーッ」と、姿に反して意外と優雅ではありません笑
ただ、その大きな体から発せられる声量と迫力は凄まじく、遠くにいてもその存在感を強く感じます。
僕は彼らのねぐら立ち(ねぐらから一斉に飛び立つシーン)を見ましたが、その迫力たるや圧巻でした。
2. 国民的な知名度【様々なことわざや民話のモチーフになっている】
ツルはほとんどの日本人が知る、日本ではとっても知名度の高い鳥です。
ツルの実物は見たことはなくても、ことわざや民話など、身近な場面で触れる機会が多いからだと僕は思います。
僕も実物(野生)を見たのは大人になってからですが、ツルのことは子供の頃から知っていました。
例えば、以下のようなものたち。
・民話: 「鶴の恩返し」など
・身近な道具: つるはし(=「ツルのくちばし」が語源)
ちなみにツルは英語で「crane(クレーン)」と言います。
クレーン車は長い手のようなものを持つ作業者ですが、こちらもツルの長〜い首がモチーフとなっているのですね。
長い首を持つツル(マナヅル)
身近では見られない鳥なのに、なぜこんなに身の回りにツルに関連した言葉があるのか?
実はツルはかつて全国各地で見られていた鳥でした。
しかしながら、明治時代以降、乱獲により激減。
今では主にタンチョウは北海道、他のツルは九州の一部でしか見られなくなってしまいました。
ツルに関する言葉がこれだけ様々に存在するということは、以前は本当に各地で普通に見られるくらい身近な存在だったのかもしれません。
ちなみに鹿児島県の出水平野は多くのマナヅル、ナベヅルが越冬のために飛来する場所です。
そのため、出水市ではツルの保護に熱心に取り組んでいます。
僕が出水市を訪れた際、ツルの生態や環境について知るため「出水市ツル博物館 クレインパークいずみ」を訪れました。
クレインパークいずみ
こちらでは出水市のツルの生態や歴史、保護活動に関する展示がされていて、僕が伺った際に係員・学芸員の方に詳細にお話を伺うことができました。(ありがとうございました!)
僕がクレインパークいずみを訪れて伺ったお話については、以下の記事で紹介しています↓
ツル(鶴)科の野鳥の種類
タンチョウ
ツルというとこの姿をイメージされるのではないでしょうか。
真っ白な姿に赤い頭が実に美しい、日本最大のツルです。
「鶴の恩返し」のモチーフにもなっているツルです。
北海道東部で繁殖します。
ナベヅル
なんと世界のナベヅルの90%ほどが鹿児島県出水市で越冬。
白と濃いグレーのツートンカラーのツルです。
ナベヅルの名前も、鍋底のような濃いグレー色が由来。
黒く見える頭には、小さな赤い斑があります。
クロヅル
出水市に飛来しますが、飛来数が少なく、見つけるのが難しいです。
名前の通り、首から顔にかけて黒いのが特徴的。
マナヅル
漢字で書くと「真鶴」。
真の鶴と書くため、「ツルといえばマナヅル」というような、ツルの代表的な存在だったのかもしれません。
実際本物に出会うと、体上部から下部にかけてのグレーのグラデーションがとっても美しい!
真鶴の名はダテじゃない、そんな美しさを持つツルです。
おわりに:ツルの優雅な姿をいつか見てみよう!
ツルは知名度は高いながらも、残念ながら現時点では身近な鳥ではなくなっているのかもしれません。
今はツルの保護活動が行われており、色々な課題があるとは思いますが、いずれまた各地で見られる鳥になることを願います。
今でも北海道や鹿児島ではツルたちの美しい姿を見ることができるので、一度は足をのばして彼らの姿を見にいってみてください!
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