川原で、大きな声で「ギョギョシ」って鳴いてる鳥がいる!
この鳥ってどんな鳥 ?
こんな疑問にお答えします。
写真の鳥は、オオヨシキリ。
オオヨシキリは日本には夏に飛来する「夏鳥」で、湿地や川原のヨシ原で見ることができます。
オオヨシキリの鳴き声は実に個性的で、その"鳴き声が由来の別名"があるほど。
しかもその別名は松尾芭蕉の歌などにも登場しており、その鳴き声は昔の人にとってもインパクトがあるものだったようです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、オオヨシキリの特徴と魅力を紹介します。
※動画版はこちら▼
オオヨシキリの特徴と魅力
頭部の羽毛を逆立てた姿
オオヨシキリは「スズメ目ヨシキリ科」というグループに属する鳥です。
全体的には褐色で地味な色合いの鳥ですが、頭部は羽毛を逆立てていることが多く、オオヨシキリの個性になっているように思います。
頭部の羽毛が逆立っているオオヨシキリ(逆立てていないものもいます)
全長は18cm。
オオヨシキリはヨシ原でよく見られますが、名前に「オオ」とつくだけあって、ヨシ原で見られる姿の似た鳥たちと比べると体は大きめです。
「ギョギョシ」の鳴き声
オオヨシキリの姿は決して派手ではありません。
ただ、姿の代わりにその「鳴き声」により、大きな存在感を放つ鳥です。
繁殖期にメスにアピールをしたり、なわばりを主張するために出す歌うような鳴き声を「さえずり」と言いますが、オオヨシキリのさえずりは実にユニークなのです。
※鳴き声は動画版で聞くことができます▼
姿では識別が難しい場合も、このさえずりを聞くことで一発でオオヨシキリであることが分かります。
ちなみに、時には騒々しいと感じるくらいにオオヨシキリが大きな声で歌うのには、れっきとした理由があります。
それは、オオヨシキリは「一夫多妻制のシステム」を用いていることに関係しています。
このようなシステムでは、オスはなわばりを広く確保する必要があり、大きな鳴き声でアピールしなければならないのですね。
生き物の行動は、このようなシステム左右されることも多く、それこそがその生き物の”個性”になったりします。
「その生き物の個性は何が背景になっているか?」に注目してみるのも、面白いですよ!
夏のヨシ原代表の鳥
オオヨシキリは「夏鳥」であり、夏の繁殖期になると、南国から日本に長距離移動して渡ってきます。
彼らが見られるのは、主に「湿地」「川原」などにあるヨシ原。
オオヨシキリはヨシの穂先でさえずります。
鳴いていない時はヨシの下の方に潜んでいて、全然見つけられないのですが、さえずる時にはヨシの上の方にスススッと登ってきて、一気にテンションMAXで歌い出します。
夏のヨシ原で鳴くオオヨシキリ
たくさんのオオヨシキリのステージとなる夏のヨシ原は、とてもにぎやかになります。
「仰々子」という別名
オオヨシキリには、「ギョギョシ」の鳴き方を由来とする「仰々子(ぎょうぎょうし)」という別名があります。
大げさといったことを意味する「仰々しい」という言葉がありますが、超端的に言うと「うるさいやつ」みたいな意味ですね。
この仰々子という言葉は俳句などの「夏の季語」になっていて、松尾芭蕉の歌などにも登場しています。
オオヨシキリ(※行々子 = 仰々子)の大きな鳴き声が、芭蕉の眠りを妨げる状況をうたったものです。
生き物に関する昔の人の歌や記録を見て、「今と同じ感じ方だなあ」とか「昔はこの風景をこのように捉えたのだなあ」など、時代を超えた繋がりを感じるのも面白いです。
オオヨシキリと同じ分類に属する鳥たち
オオヨシキリはスズメ目ヨシキリ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。
[スズメ目]
スズメ目の野鳥まとめ|美しい声を持つ鳥類最大のグループ
▼
[ヨシキリ科]
おわりに:オオヨシキリを観察してみよう!
オオヨシキリは「夏のヨシ原といえば」というくらい、存在感の強いにぎやかな鳥です。
僕は夏には彼らの声を聞かないとしっくりこなくて、毎年彼らの声を聞くと「今年も夏シーズンが来たなあ!」と気分が上がったりするものです。
もし近くに植物の茂った河川敷があれば、見られる可能性のある鳥なので、ぜひその鳴き声を聞いてみてください!
野鳥撮影を体験できるゲームアプリも配信中!こちらもぜひ、遊んでみてください↓
■ 鳥マスター!
かわいい鳥たちが登場する、野鳥撮影が体験できるゲーム。
他の鳥の紹介、鳥ゲーム・アプリ、野鳥観察、用語解説などに関する記事はこちらから↓