あ、シジミチョウだ!
この虫ってどんな特徴があるの?
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、ヤマトシジミ。
ヤマトシジミは都会でも見られ、その小さくてかわいらしいはねが魅力的なチョウです。
しかしヤマトシジミは、ただかわいらしいだけでなく、過酷な「都会」という環境で生き抜く"たくましいチョウ"でもあります。
ヤマトシジミの厳しい都会生活は、"ある植物"が支えているのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、ヤマトシジミの特徴と魅力を紹介します。
※動画版はこちら▼
ヤマトシジミのシジミ貝のようなかわいらしいはね
シジミ貝のようなはね
ヤマトシジミは「チョウ目シジミチョウ科」に属するチョウです。
このシジミチョウの「シジミ」というのは、シジミ貝が由来です。
その理由は、"はねの形がシジミ貝の形に似ている"ため。
シジミ貝のようなはねを持つヤマトシジミ
小さくて可愛らしい姿のチョウですよね。
丸みのある小さなはねは、確かに"シジミ貝っぽさ"があります。
鮮やかな表ばね
ヤマトシジミは多く見られる上に、一見派手さはないので、普段あまり注目されることはありません。
しかしながら、彼らは実に鮮やかな姿を隠し持っています。
その姿とは、はねを開いた時に見える「表ばね」。
ヤマトシジミがはねを開いた時の姿
すごく鮮やかなブルーですよね!
実はシジミチョウの仲間は、輝くはねを持つ種が多い。
ヤマトシジミも同様に、キラキラと光るはねを持つチョウなのです。
ただ、ヤマトシジミの場合、輝くのはオスだけ。
メスは以下のように、輝くはねは持ちません。
ヤマトシジミ(メス)がはねを開いた時の姿
虫たちにはオスとメスで姿が大きく異なるものもたくさんいます。
このようなオスとメスの姿の違いを観察するのも、面白いですよ!
ヤマトシジミの都会生活のパートナーはカタバミ
ヤマトシジミは、特に都市部に住む人にとって、最も身近なシジミチョウだと思います。
なぜなら、都市部の街中では生き物の数は少ないですが、このヤマトシジミは"都会でも生き抜くことができる"からです。
都会の街中は乾燥していてえさとなる植物も少なく、基本的に生き物にとってはとても生きづらい環境です。
しかし、そんな厳しい環境でもヤマトシジミが都会でたくさん見られるのには、理由があります。
それは、ヤマトシジミの食草がカタバミであること。
カタバミはこちらの以下のような、小さな黄色の花を咲かせます。
カタバミ
葉の形もハート型で、たいへんかわいらしい植物です。
ヤマトシジミの幼虫は、このカタバミの葉を食べて育ちます。
カタバミの葉を食べるヤマトシジミの幼虫
つまり、カタバミが都会で繁栄することによって、それを食べるヤマトシジミも都会で活躍することができるのです。
カタバミが都会で繁栄を可能にしている秘密は、主に以下のようなものがあります。
・繁殖力が高い
・強力なライバルが少ない上、草刈りなどで人間がライバルをやっつけてくれる
このように、カタバミはともにとても小さくかわいらしい姿ですが、実はとってもたくましい植物なのですね。
ちなみに、ヤマトシジミの幼虫はこのカタバミの葉を探すと見つかることがありますが、幼虫を見つけるのは結構苦労します。
なぜなら、その姿はとても小さく、しかもカタバミの葉の裏など見つかりづらいところに隠れていることが多いから。
彼らを見つけ出すには、幼虫が葉を食べた痕跡を確認して、その小さなカタバミの葉っぱをひたすらめくり続ける必要があります。
長時間かがんで幼虫を探していると、腰が痛くなってしまうことがありますが、そうしてようやく出会えた喜びは、ひとしおですよ!
ヤマトシジミと同じ分類に属する虫たち
ヤマトシジミはチョウ目シジミチョウ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[チョウ目]
▼
[シジミチョウ科]
シジミチョウの種類と魅力|シジミ貝のようなはねを持つかわいい蝶たち
おわりに:都会でヤマトシジミを探してみよう!
ヤマトシジミは都市部でも見ることのできる、希少な昆虫です。
その可愛らしくもたくましい姿とともに、近くにあるはずのカタバミとの関係も合わせて観察してみてください!
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