植物の受粉って何?
虫が受粉を助けるってどういうこと?
こんな疑問にお答えします。
植物を含む生き物たちにとって、いかに子孫を残すかは非常に重要な話です。
子孫を作るためには種(タネ)が必要であり、植物が種(タネ)を作るには、その前に「受粉」をする必要があります。
しかし植物は動物と違って、自ら移動することはできません。
そのため彼ら植物は、その種類ごとに様々な受粉の戦略があるのです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な植物にも出会ってきました。
そんな僕が、今回は植物の受粉方法を紹介します。
植物が受粉をする理由
受粉とは、「花粉が胚珠またはめしべにつくこと」を言います。
実は植物にも、動物のように雌雄(オス・メス)があり、受粉後に卵細胞と精細胞が結合して子孫が出来るのです。
なので植物は子孫を作るには、まずは受粉を成功させなければならないのです。
先述した通り受粉は雌雄両方の遺伝子を掛け合わせて子孫を作る方法。
掛け合わせにより子孫の遺伝子に多様性ができることで、環境変化の際などに生き残りやすくなるんですね。
この「受粉」の仕方ですが、実は花によって様々な工夫をしています。
動けない植物ならではの様々な戦略があって面白いのです!
受粉の種類【花粉媒介者の色々】
受粉の仕方には様々なものがありますが、その大事な要素に「花粉媒介者」があります。
花粉媒介者とは、「花粉を誰が運ぶか」ということ。
その花粉媒介者によって、大きく種類が4つに分かれます。
・水媒花:水に花粉を運んでもらう花
・動物媒花:動物に花粉を運んでもらう花
・同花受粉:自分自身で受粉する花
風媒花
風媒花は「風に花粉を運んでもらう花」のこと。
花粉で最も知名度が高いのは「スギ花粉」かと思いますが、スギは風によって花粉が運ばれる風媒花です。
その他にも花粉症に影響するものは、ヒノキやイネ科の植物のように、風を主な媒介者とするものが多いです。
クヌギ
エノコログサ
風媒花の花自体は、小型で正直地味な姿のものが多い。
動物に見つけてもらわなくても良いので、目立つ花は必要ないのでしょう。
代わりに細長かったり、風に揺られやすいような姿をしているものが多いです。
水媒花
水媒花は「水の流れに花粉を運んでもらう花」のこと。
この方法で花粉を運ぶ花は、水辺で咲く花たちです。
また水中で受粉するものと、水面で受粉するものがいます。
ちょっと写真はないのですが、水媒花にはマツモやセキショウモなどがあります。
動物媒花
動物媒花は「動物に花粉を運んでもらう花」のこと。
植物は自分で自由に動けないので、動物に花粉を運んでもらうという戦略を取っているのです。
多くの動物媒花では、花粉を運んでもらう動物への報酬として、花の蜜というご褒美を与えます。
そういう持ちつ持たれつの関係で、動物と植物は共生しているのですね。
ちなみに動物媒花の中でも、どんな動物が運ぶかによってさらに細かく分解されます。
虫媒花
様々な虫が受粉を手伝いますが、その中でも代表的な媒介者の虫がハチ。
ミツバチは人間にとってもハチミツを集めてくれるありがたい虫ですが、花たちにとっても大切なパートナーなのです。
花を訪れるセイヨウミツバチ
虫媒花の例としては、例えば以下のキツネノマゴ。
キツネノマゴ
夏に咲いて、やはりたくさんのハチたちが蜜を集めに訪れます。
ちなみに花粉を運ぶのはハチだけでなく、アブやハナムグリなどの甲虫類、チョウ類なども花粉媒介者になります。
以下の秋に咲くキバナコスモスには、チョウ類もたくさんやって来る花です。
キバナコスモス
鳥媒花
鳥にも花粉を運ぶのを手伝ってくれるものがいます。
代表的な花粉を媒介する鳥は、メジロ。
メジロ
メジロは筆のような、花の蜜をなめるのに適した舌を持っていて、花の蜜が大好き。
上の写真のように、梅や桜の花にもメジロはよく集まります。
桜や梅にやってくるメジロの絵は季節感があり、この時期は野鳥写真家がよくメジロ+花を撮影しています。
鳥媒花の花には以下のようなものがあります。
サザンカ
ザクロ
これらは花が大型で、鳥が止まれるようなしっかりした枝があるのが特徴的です。
同花受粉
花の中には、同花受粉という、自分自身で受粉してしまうものもいます。
以下のアメリカフウロはその一種で、雄しべが雌しべの柱頭に接しています。
アメリカフウロ
おわりに
植物には様々な受粉方法があって、それぞれ花の作りなどにも特徴がありました。
受粉については、他の生き物たちとの関わりもとっても面白い!
虫や鳥などとの関係性を知っていくと、どんどん楽しみが広がっていきますよ!
花を観察する時は、花粉の運び方や受粉の仕方についても観察してみてくださいね!
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