木に変わった虫がいる!
この虫って、どんな虫?
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、ヨコヅナサシガメ。
サシガメは、他の昆虫を食べる「肉食性のカメムシの仲間」です。
そんなヨコヅナサシガメは、大きな姿に長い口吻、スマートだけど奇妙な体型、腹のふちは白黒の縞模様と、インパクトの強い姿。
さらに姿だけでなく、習性についても個性に溢れた虫なのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、ヨコヅナサシガメの特徴と魅力を紹介します。
ヨコヅナサシガメは国内最大級のサシガメ
ヨコヅナサシガメの大きさは16〜24mm。
これは国内のサシガメの中では最大級の大きさです。
名前にも「横綱」という立派な言葉が付いていますが、これは腹のふちが、「力士の化粧まわし」に見えることから。
白黒の化粧回しをつけるヨコヅナサシガメ
大きな体と特徴のある姿が相まって、とても目に付きやすい虫です。
サシガメは肉食性のカメムシであり、その鋭い口吻で獲物を突き刺して体液を吸います。
ヨコヅナサシガメは大きな体を持つだけに、その口吻も強力。
ヨコヅナサシガメの鋭い口吻
危険を感じるとその鋭い口吻で人を刺すこともあるので、ガシッと掴んで彼らを驚かしたりしないようにしましょう。
またヨコヅナサシガメは、もともと中国や東南アジアに生息する、外来種の昆虫。
日本では1930年頃から九州で見られ、1990年代から関東でも見られるようになったようです。
ヨコヅナサシガメはサクラやエノキなどの樹木でよく見られ、今は公園など身近な場所でも普通に見つかります。
僕が探索する範囲内では、一番出会う機会が多いサシガメと感じるほどです。
樹木で集団越冬する幼虫たち
ヨコヅナサシガメは成虫の姿よりも、幼虫の姿の方が見る機会が多いでしょう。
というのも、彼らは身近な樹木の「幹の隙間」「樹洞」のような場所で集団越冬するから。
大きな虫の少ない冬に木の幹にいる彼らは、よく目に付きます。
また集団幼虫に出会った時のインパクトも大きいです。
樹洞で集団越冬するヨコヅナサシガメの幼虫たち
ちなみにヨコヅナサシガメは、化粧まわしのある成虫の姿も特徴的ですが、幼虫の姿もなかなか個性的。
成虫でも脚の一部に赤色がありますが、幼虫は赤色の範囲が広いのが特徴的です。
ヨコヅナサシガメの幼虫
ヨコヅナサシガメは歴戦の武士
ヨコヅナサシガメと出会った時に、よく感心することがあります。
それをセリフで言うと、こんな感じ。
「こやつ…できる!」
そう、ヨコヅナサシガメはその動きから「達人感」を感じるのです。
ヨコヅナサシガメは危険を感じると、後ずさりするような行動を取るのですが、その動きが実に”歴戦の武士”っぽい。
例えば写真を撮ろうとこちらがアクションを取ると、以下のような反応をします。
↓
後ずさりして一定の間合いを取りつつ、障害物の裏に隠れようとする
↓
顔はこちらに向けたまま、間合いをキープしつつ自身の体を回転させる
↓
間合いを一気に詰められると絶妙なタイミングで地面に落ちる
この間合い取りのうまさと、身のこなしには、脱帽です。
幼虫だとやはり動きが緩慢で、成虫と出会った方が動きが洗練されている感じがするので、やはり"経験値"によってあの動きを体得するのでしょうか。
あの動きを見ると、「確かに生き残っていけそうだな」と感じるものです。
ヨコヅナサシガメの成虫に出会ったら、ぜひその熟練の動きを観察してみてください!
ヨコヅナサシガメと同じ分類に属する虫たち
ヨコヅナサシガメはカメムシ目サシガメ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[カメムシ目]
半翅目(カメムシ目)の昆虫まとめ|ストローのような口吻を持つ虫たち
▼
[サシガメ科]
サシガメの種類と魅力|シャープな姿の肉食性カメムシたち
おわりに:ヨコヅナサシガメを観察してみよう!
ヨコヅナサシガメは、そう姿だけでなく、行動や仕草も面白い昆虫。
サクラやブナ類、エノキなどの樹木の上でよく見つかるので、ぜひ探して観察してみてください!
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■ トゲアリ
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