ネイチャーエンジニア いきものブログ

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ウミウ|海に生息する鵜!鵜飼漁にも利用される鳥

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ウミウ

あ、テトラポッドに黒い鳥がいるよ!

この鳥はどんな鳥なのかな?

こんな疑問にお答えします。


写真の鳥は、ウミウ


ウミウは名前の通り海に生息する鵜(ウ)で、海岸の岩礁やテトラポッドの上などで見られます。


水中での狩りが得意な鳥で、伝統的な漁法「鵜飼漁」に利用される鳥でもあるのです!


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。


そんな鳥好きの僕が、ウミウの特徴と魅力を紹介します。




 

ウミウは海岸で見られる代表的な海鳥

海に生息する鵜

ウミウは「カツオドリ目ウ科」というグループに属する鳥。


全長80cmほどのスマートな体型をした鳥です。


テトラポッドのウミウ
ウミウ


全身黒っぽいですが、顔の一部と足の付け根は白くて目立ちますね。(幼鳥では、あご〜腹も白っぽいです)


身近な鵜(ウ)といえば、他にカワウがいます。


カワウ
カワウ 繁殖羽


ウミウとよく似た姿をしていますよね。(見分け方については後ほど紹介)


姿は似ていますが両者の生息地は異なり、カワウは主に内陸の川や湖などに生息しますが、ウミウは「」に生息。


ウミウは海岸の岩礁やテトラポッドの上などで群れで休んでいる姿がよく見られます。


岩礁のウミウの群れ(一部ヒメウも混ざってます)
ウミウ ヒメウ


ウミウは海岸で見られやすい鳥であり、最も代表的な海鳥の一種なのです!




ウミウとカワウの違い

ウミウとカワウの姿は非常によく似ています


識別ポイントを知らなければ、ほとんどの人が同じ種だと思ってしまうはず。


ではその識別ポイントはというと、「」。


ウミウ(上)とカワウ(下)の顔
ウミウ

カワウ


ウミウは「口元の黄色い部分の先が尖る」のですが、カワウは丸みを帯びています。


また、「頬の白い部分はウミウの方が広い」です。


後者は幼鳥だとはっきりしないことがあるため、複数個体がいる場合は成鳥をチェックした方が良いと思います。


ちなみに、ウミウは北日本と日本海側では「留鳥(渡をしない鳥)」ですが、太平洋側では「冬鳥」です。


そのため太平洋側では繁殖期の夏に姿を見られることは基本的にありません。(=幼鳥の姿を見ることも多い)



なので、僕のように関東で生活しているような方は「見つけた環境」と「黄色い部分」から判断することが多いかもしれませんね。


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ウミウは水中の狩りに特化した鳥

ウミウが狩りが得意な理由

ウミウもカワウ同様に遊泳能力が高く、”狩りが上手な鳥”です。


その理由は、カモなどの水鳥が使う「」を利用しないことにあります。


カモなどの水鳥は油を出す能力があり、羽毛にこの油をつけます。


この油分をつけると、以下のようなメリットがあります。

・水上で浮かびやすくなる
・羽の耐久性が高まる
・水がしみこまなくなるため防寒性が高い


しかしウミウたちはこの油を出す機能が弱く、油による恩恵を得られません


その証拠が、岩礁の上などでよく羽を広げる行動です。


これは海の中で入って羽が濡れたため、羽を広げて乾かしているのですね。


羽を広げて乾かすウミウ
ウミウ


しかし逆に考えると、油がないということは潜水がしやすく、それは水中で狩りをするのに適していると言えます。


実際、ウミウたちの水中での動きは驚くほどの速さです。


つまり、ウミウたちは浮力や防寒性よりも、狩りに特化した鳥だと言えるのです!

ウミウと鵜飼漁

鵜はその狩りの能力から、伝統的な漁法「鵜飼漁」に利用される鳥でもあります。


鵜飼漁とは、ウが大きい魚を飲み込めないようにのどに紐を巻いて、捕獲した魚のうちの一部を人間がいただくという漁法。


日本の鵜飼漁で活躍していた鳥こそが、ウミウなのです。(中国ではカワウ)


この鵜飼は少なくなってしまっているようですが、観光的に鵜飼を見学できるところもあります。


特に「長良川の鵜飼」は有名なようです。

www.ukai-gifucity.jp


ちなみに鵜飼いにとって鵜は大事なパートナーであり、鵜が年老いて漁から引退した後も、家族や子供のように一緒に暮らすとのこと。


上記サイトでも、以下のように書かれていました。

鵜匠は常に、鵜のことを大切に思って行動します。「鵜匠にとって鵜の存在とは何か」と聞くと、鵜匠たちは「家族」「兄弟」「子ども」「孫」「相棒」などと答えます。共に生活し、一生懸命漁をする毎日を積み重ねていく中で、鵜匠と鵜との間には絆が生まれます。


年老いて漁ができなくなり、鵜飼を引退した鵜も、引き続き鵜匠の家で暮らします。毎年、鵜飼シーズンが終わると、鵜に感謝と弔いの気持ちを示して、亡くなった鵜の供養が行われています。


日本の伝統やかつての暮らしについて調べていると、今よりも自然に近い位置で生活していたからだと思いますが、上記のような自然や動植物に対する尊敬や感謝の念をよく感じます。


今は昔と比べて自然を感じにくい生活スタイルになっていますが、実は今も変わらず自然の恵みによって生かされていることは変わりません。


この日本の豊かな自然を意識し、大切にしていく気持ちは忘れてはダメだなあ、といつも思わされるものです。

おわりに:ウミウを観察してみよう!

ウミウは、身近な海鳥の一種です。


海鳥というと船に乗らないと見られないものも多いのですが、ウミウは岸からでも観察できる嬉しい鳥。


海岸に行くことがあれば、ぜひ彼らの姿や行動をじっくりと観察してみてください!


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