むむ、あれは枯れ葉かと思ったらチョウみたい!
このチョウは、どんなチョウなのかな?
こんな疑問にお答えします。
写真の虫は、クロコノマチョウ。
パッと見地味な印象を受けますが、逆に言えば背景に馴染んでいるということ。
クロコノマチョウ観察では「枯れ葉への擬態」も、面白い注目点の1つなのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、クロコノマチョウの特徴と魅力を紹介します。
クロコノマチョウは枯れ葉そっくりなチョウ
クロコノマチョウは「チョウ目タテハチョウ科」というグループに属する昆虫。
茶色っぽい、「枯れ葉のようなはね」を持つ大型のチョウです。
枯れ葉のようなはねを持つクロコノマチョウ
パッと見、地味な印象の姿ですよね。
一方で、その地味さ(枯れ葉っぽさ)こそがクロコノマチョウの魅力でもあります。
クロコノマチョウは、ジャノメチョウの仲間です。
ジャノメチョウといえばはねの「蛇の目模様」が特徴ですが、クロコノマチョウは他のジャノメチョウと比べ、裏ばね(はねを閉じているときに見える面)の蛇の目模様は目立たないことが多いです。
クロコノマチョウの蛇の目模様は目立たない
まとめると、
・模様が見えづらい
・他のチョウと比べて、角ばった形のはね
これらの特徴が相まって、枯れ葉っぽく見えるのですね。
では、クロコノマチョウがどれくらい枯れ葉っぽいかというと、これくらいです!
どこにいるのか分かりましたか?
実は写真の真ん中に、クロコノマチョウが止まっていたのでした。
このように、クロコノマチョウが葉っぱの多くある場所でじっと止まっていると、その存在になかなか気付けません。
さらにクロコノマチョウは林内の日陰を好むチョウであり、背景に紛れて止まっている彼らを先に見つけるのはなかなか難しく、だからこそ見つけたと時の喜びもひとしおなのです。
このような「背景とセット」で観察したり、彼らの「擬態」を観察することこそ、クロコノマチョウ観察の大きな楽しみ方の1つなのです!
クロコノマチョウの幼虫
クロコノマチョウの幼虫は、ススキやヨシなどを食草とします。
そのため、食痕があるこれらの葉の裏を探すと、よく幼虫に出会えます。
クロコノマチョウの幼虫
正面から見ると、「うさ耳」のような突起がかわいらしいんですよね。
クロコノマチョウの幼虫
ところで、クロコノマチョウは孵化した場所からあまり移動しないからなのか、他のチョウと比べて幼虫が見つけやすいです。
しかも集団でまとまっているので、複数の成長段階の幼虫を一度に見られることもあります。
しかし今彼らがこれほど身近に見られるのも、環境変化によるものかもしれません。
というのも、クロコノマチョウはもともと暖地性のチョウで、主に南方に分布していました。
ところが、気候変動の影響かクロコノマチョウは近年分布を広げており、2000年までは関東ではほとんど定着していなかったようですが、今では関東地方でも普通に姿を見ることができます。
このような気候変動が与える生き物への影響も、合わせて注意していきたいですね。
クロコノマチョウと同じ分類に属する虫たち
クロコノマチョウはチョウ目タテハチョウ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち
▼
[タテハチョウ科]
タテハチョウの種類と魅力|表ばねと裏ばねのギャップが面白い蝶たち
おわりに:クロコノマチョウを観察してみよう!
クロコノマチョウは、枯れ葉のような姿が特徴的なチョウです。
ちなみにクロコノマチョウの茶色っぽい色味は、実は個体によってさまざまな変異があります。
もし彼らに出会えたら、ぜひ”様々な枯れ葉に似た姿”を観察してみてくださいね!
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