あ、冬なのにバッタがいるよ!
このバッタは、どんな虫なの?
こんな疑問にお答えします。
写真の虫は、ツチイナゴ。
ツチイナゴは複眼の下にある「涙」のような模様が特徴的な大型のバッタです。
またツチイナゴは他の多くのバッタとは生活サイクルが異なるため、”冬でも見ることができる”という特徴のある種なのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、ツチイナゴの特徴と魅力を紹介します。
ツチイナゴは涙を流す大型のバッタ
ツチイナゴは「バッタ目バッタ科」というグループに属する昆虫です。
50〜70mmほどもある大型のバッタです。
大型のバッタ、ツチイナゴ
その大きさは、あのトノサマバッタを凌駕するほどで、非常に存在感があります。
実は姿もトノサマバッタの褐色タイプに似ていますが、トノサマバッタが全身茶色っぽいのに対し、ツチイナゴは目立つ白黒のラインがあり、コントラストが強い印象です。
そして何よりも「複眼の下にある黒い線」が特徴的。
複眼の下にある「涙」のような黒い線
この線はよく「涙を流しているように見える」と表現されますが、実際とてもユニークですよね。
余談ですが、”涙を流す x バッタ”と言えば、仮面ライダーブラック&RX世代の僕は、仮面ライダーRXが変身した姿「ロボライダー」を思い出してしまいます。
ツチイナゴの幼虫は緑色
ツチイナゴの成虫は褐色(茶色)をしていますが、幼虫の姿はうってかわって「鮮やかな緑色」をしています。
ツチイナゴの幼虫
このライムグリーンがあまりにも目に付くので、見つけるとついつい写真を撮ってしまいます。
このように成虫と幼虫の体色が大きく異なるのには、「成長段階による生活環境の違い」があると思われます。
詳しくは後述しますが、ツチイナゴの成虫は主に冬に活動します。
一方、幼虫は主に夏に活動するので、背景に合わせて自身の色を変化させた方が生存上有利なのだと思います。
ツチイナゴは成虫と幼虫の姿の違いにも注目です!
ツチイナゴは冬も見られるバッタ【成虫越冬】
ツチイナゴは冬も見ることのできる、数少ないバッタです。
冬でも見られるツチイナゴ
というのも、ツチイナゴは”成虫越冬”。
多くのバッタは卵の姿で土の中で冬を越すのですが、ツチイナゴは成虫の姿で冬を過ごすのです。
秋に成虫になったツチイナゴは枯れ草の下などでじっと冬の寒さをやり過ごし、春になると活動を再開します。
そのため、"12月などでも彼らを見られるチャンスがある"のです。
逆に多くのバッタが見られる夏の季節には、ツチイナゴの成虫はあまり見られなかったりします。(幼虫はよく見られます)
このように他のバッタとは生活サイクルが異なるのが、ツチイナゴの大きな魅力の1つです。
ちなみにツチイナゴの主な食草は「クズ」。
クズ
ツチイナゴは、このクズが多くある草原や林縁などの環境でよく見られます。
このような環境では冬でも彼らを見られるチャンスがあるので、ツチイナゴがいないか、ぜひ探してみてください!
ツチイナゴと同じ分類に属する虫たち
ツチイナゴはバッタ目バッタ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[バッタ目]
直翅目(バッタ目)の昆虫まとめ|脚(あし)が強く発達した虫たち
▼
[バッタ科]
おわりに:ツチイナゴを観察してみよう!
ツチイナゴは冬の季節も見られる、数少ないバッタの仲間です。
よく似た姿のトノサマバッタは高いジャンプ力で遠くに飛んでいってしまいますが、ツチイナゴはあまり大きなジャンプはせず、動きがにぶめ(笑)なのでとても観察しやすいです。
彼らを見つけたら、ぜひその姿をじっくりと観察してみてください!
むし探しを体験できるゲームアプリも配信中!こちらもぜひ、遊んでみてください↓
■ 虫探しロールプレイングゲーム「むしマスター!3」
他の虫の紹介、虫ゲーム・アプリ、虫観察、用語解説などに関する記事はこちらから↓