昆虫の王様、カブトムシ。
夏の時期のみ出会える、とってもかっこいい虫役ですよね。
僕も子供の頃、毎年夏が来るとカブトムシ探しに夢中になりました。
ただ最近はカブトムシのすみかが減り、特に都市部では昔と比べるとカブトムシを見つけるのが難しくなっています。
ですが、必要なポイントを押さえておくことで、東京23区内でも見つけることができます。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、カブトムシを見つけるコツを紹介します。
カブトムシの見つかる時期・時間帯
カブトムシに限らず、生き物を見つけるには、「いつ」探しにいくかが重要です。
これを外すとどこを探しても出会えません。
ということで、探しに行くべき時期・時間帯をお伝えします。
時期・季節
虫は1年のうちに発生する時期が決まっています。
カブトムシにも見られる時期が決まっており、ベストな時期は7月〜8月。
さらにその期間の中で、カブトムシは以下の順に行動をとります。
- 7月の頭にまずオスがあらわれて、えさ場探しを始める。
えさ場が見つかったら、その場所を確保。
良いえさ場は、体の大きいカブトムシが優先的に確保できる。
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オスがえさ場を確保した頃、メスがあらわれる。
メスはオスが確保しているえさ場を探し出してやって来る。
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えさ場で出会ったオス・メスは愛を育む。
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夏のシーズンが終わる前、メスは次の年に子孫を残すための産卵という大仕事をする。
以上から、7月前半はオスが多く見つかる傾向があり、8月後半はメスが多く見つかる傾向があります。
時間帯
カブトムシは夜行性ですので、昼は木の上などで休み、夜に本格的に活動をします。
時間帯は20時〜翌朝の4時の日が沈んでいる時間帯です。
20時〜22時くらいまでは積極的に飛び回ってえさ場を探し、その後はえさ場で朝まで過ごします。
さらに、雨が降った日の翌日など、ジメジメと湿度が高くて暑い日はより活動的になります。
カブトムシの見つかる場所
カブトムシを探す上で、次に大事なのがどこを探すか?です。
そのためには、カブトムシが生活している環境(「すみか」と「えさ」)を知る事が重要です。
カブトムシが生活するのに必要なものは、大きく3つ。
- 腐葉土(森の葉が腐ることでできた土)
カブトムシは幼虫時代、腐葉土の中で過ごします。
腐葉土は幼虫のえさにもなります。
また、成虫になっても昼間など腐葉土で休んだりします。 - 朽木
カブトムシの幼虫は朽木を食べて大きくなります。 - 樹液
カブトムシは成虫になると、木から出る樹液をえさにします。
樹液は森で暮らす別の虫が木を傷付けるなどして出るので、別の虫が豊かに暮らしていることも必要です。
これらから分かるのは、腐葉土が堆積するような自然豊かな森です。
こういう森でカブトムシを探すと見つけやすいでしょう。
逆に考えると、整備された都市の公園でカブトムシが見つからない理由は、カブトムシが生活するのに必要な、腐葉土や樹木などの「すみか」と「えさ」が減ってしまっているからなのですね。
自然豊かな森の中といえども、森は広大です。
では、どこを探しべきか?
それは、カブトムシのえさである樹液をヒントに探すことです。
樹液が出ている木ではカブトムシが見つかる可能性が高まります。
カブトムシが樹液に吸い付いている様子がこちらです。
カブトムシが好む樹液には、上の写真のようにカブトムシが集まります。
ということで、カブトムシが集まる木を知りましょう。
よく見られる、押さえるべき定番の2種の木を紹介します。
クヌギ
クヌギはカブトムシが集まる最も定番の木です。
木を見つけても、樹液が出ていないことも多いのですが、クヌギは比較的樹液を出していることが多いです。
樹液も甘酸っぱい強い匂いがするので、樹液を出していることを見つけやすいです
外見での見分け方は、幹が激しく隆起していること。
隆起の間は筋のように見られますが、その筋の色はオレンジ色です。
コナラ
コナラは公園などでも見られます。
なので、木の数はとても多いです。
樹液を出ている率はクヌギと比べると少ないですが、良いポイントを見つけた場合は大量に樹液を出しているのを見ることがあります。
外見での見分けポイントは、幹に隆起がありますが、その隆起が平らになっていることです。
カブトムシ採集時に気をつけること
地元住人とのトラブル
近場でカブトムシが見つけづらくなってしまったため、カブトムシがいる場所に集中して人が訪れることが多くなっています。
カブトムシがいる場所は豊かな森であり、そこは静かな住宅街であることも多いです。
そういったポイントを訪れる時は、迷惑をかけないよう心掛けましょう。
カブトムシが夜行性であることもあり、夜に車で採集に訪れることも多いと思います。
「週に1度だけなら…」と思うかもしれませんが、その場所の住民にとっては毎日深夜に見知らぬ人が代わる代わる訪れているのです。
そんな住民のことを配慮し、採集に行くときはできるだけ静かに、そしてできれば深夜に採集に行くのは控えましょう。
そうしないと、住民のクレームによってカブトムシのいる木が伐採されるなど、採集を楽しむ人にとってもカブトムシにとっても悲しい結末になってしまいます。
カブトムシのすみかを壊さない
カブトムシを探す方法として、カブトムシが休んでいる場所を探すこともできます。
幼虫が住む朽木、腐葉土が積み重なった木の根元などです。
カブトムシ採集に夢中になるあまり、カブトムシが暮らす朽木を割ったり、木の根元を掘り返したり、すみかを破壊することはやめましょう。
すみかを壊してしまうと、翌年のカブトムシ採集に悪い影響を与えてしまいます。
将来の自分の楽しみも減らしてしまうことになってしまいますよ。
また、採集するワザとして、採集トラップがありますが、トラップを仕掛けた場合は必ず回収をしましょう。
こちらもカブトムシの暮らしに悪影響を与えてしまう可能性があります。
毒のある生き物には注意
カブトムシ採集をしていると、刺されたり、かまれると危険な生き物にも遭遇します。
特に気を付けるのは、スズメバチとヘビ。
・スズメバチ
スズメバチはカブトムシと同じように樹液を好みます。
スズメバチが積極的に攻撃して来ることはないですが、危険を感じたりハチが警戒しているようだったら無理に近づくのはやめましょう。
・ヘビ
ヘビも積極的に攻撃してくることはありません。
怖いのは気付かずうっかり踏んでしまう場合です。
雨上がりなど、湿気が高いと出てきやすいですし、夜は足元が見えづらいので十分に注意して採集してください。
おわりに
カブトムシを採集するには、
- 探す時期
- 探す場所
が大事だとお伝えしました。
よく考えて工夫して、ようやくカブトムシを見つけられた時の感動はずっと思い出に残るものです。
ぜひ、最高の感動を体験してくださいね!
また、カブトムシを家で育ててたくさんの子供が生まれたら、採集した場所に返してあげるのも良い体験だと思います。
※採集した場所以外に返すと、それはその生き物が「外来種」になってしまいます。
外来種については、以下の記事で詳しく解説しています↓
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