虫って色々なものに擬態しているよね!
どんな面白い擬態があるか、見てみたい!
こんな要望にお答えします。
動物は、自分の姿を何かに似せる「擬態」という技を使います。
擬態を使うことで、天敵から身を守ったり、逆に獲物に気付かれずに近付いたりするのですね。
特に虫たちの擬態はバリエーションが多く、感心させられるものも多い。
「今回はそうきたか!」と驚くような擬態もたくさんあるんですよ!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な生き物に出会ってきました。
そんな生き物好きの僕が、擬態するおもしろい動物たちを紹介します。
※動画版はこちら▼
虫の擬態が面白い!
「擬態」とは、"自分を何かに似せる"という意味の言葉。
動物たちの中には、自分の体を何かに擬態させることを"生存戦略"として取り入れるものがいます。
動物たちは擬態を使うことで、天敵から身を守ったり、逆に獲物に気付かれずに近付いたりするのですね。
擬態には様々なパターンがありますが、特に「虫たちの擬態」はバリエーションが多いです。
虫たちは体の小さなものが多く、鳥など「より大きな動物のえさ」になります。
天敵である動物と正面から戦っても勝てないので、生息環境に合わせて擬態をした方が生き残りやすいものが多かったのかもしれません。
というわけで、今回はこの「多様な虫たちの擬態」を紹介していきます!
動物たちのいろんな擬態の例
動物たちの様々な擬態の例を紹介します。
なお、擬態は様々な動物が使いますが、虫のものがインパクトの強いものが多く、今回の例は虫のみになっております。
木の枝に擬態【ナナフシ】
「擬態名人」として大きな認知を獲得している、「ナナフシ」です。
ナナフシモドキ
名前に"モドキ"とついていますが、れっきとした「ナナフシ科」に属する昆虫です。
枝そっくりな姿に擬態して、敵から身を隠します。
写真のような場所で、じっとされると見つけづらいです。
しかしながら、体が大きい(10cmほど)のと割と歩いている場面に出会うことが多いため、意外にも見つかりやすい。
警戒すると前脚を伸ばしてピタッと止まるという仕草を持つ、臆病で愛らしい昆虫です。
木の枝に擬態【シャクガ幼虫】
もう1つ、"木の枝への擬態名人"がいます。
それが、「シャクガ」という蛾の幼虫。
シャクガの幼虫
シャクガの幼虫は「木の枝」に擬態しており、茶色い色といい細長い体といい、本当に枝にそっくりです。
また、シャクガの幼虫には「土瓶落とし」という別名があります。
土瓶を木の枝に引っ掛けようとしたら、それが実はエダシャクの擬態している姿で、土瓶が地面に落ちてしまった、という話が由来とのこと。
シャクガの幼虫が木の枝に紛れて静止していると、見つけるのは困難です。
「土瓶落とし」と呼ばれていたのにも、納得ですね。
樹皮に擬態【オオバナミガタエダシャク】
シャクガの仲間は、成虫も擬態上手。
例えば、オオバナミガタエダシャクが「木の幹」にくっついている時の擬態は、見事なものです。
オオバナミガタエダシャク
写真を撮った後でも、見分けが難しいほどに幹と同化しています。
オオバナミガタエダシャク以外でも、森や林に生息する蛾たちは、木の幹に擬態しているものが非常に多いです。
地面の落ち葉に擬態【ツマキリエダシャク】
もう一度シャクガを登場させてしまいますが、「地面の落ち葉」に擬態しているパターンもあります。
ツマキリエダシャクが以下のように地面でじっとしていると、まあ気付けません。
ツマキリエダシャクの仲間
ちなみにこの写真は、飛翔していたものが着地した瞬間を見たので撮影することができました。
ゴミに擬態【クサカゲロウ幼虫】
クサカゲロウの幼虫の中には、「ゴミ」に擬態するものがいます。
クサカゲロウ幼虫
最初にこれを見た時は、ゴミが動き出して驚きました。
幼虫はゴミを体に背負い、運びながら移動することで、ゴミを「隠れみの」にしているんですね。
しかしこれが擬態であることを知ってしまうと、不自然な位置や動きをするゴミに割と気付いてしまいます笑
鳥の糞に擬態【ナミアゲハ幼虫】
虫の中には「鳥の糞」に擬態するものがいます。
以下はナミアゲハの中齢幼虫で、鳥の糞になりきることで"天敵から存在が無視されるようにしている"のです。
ナミアゲハ 中齢幼虫
ちなみに、もっと成長して終齢幼虫になると「アオムシ型」の姿に変化。
ナミアゲハ 終齢幼虫
体が大きくなっても鳥の糞の姿だと、天敵から狙われやすくなるようなのです。
終齢幼虫では、今度は「ヘビの頭」のような姿に擬態しています。
このように、自分の成長段階と状況を見極めて自らを変化させていくというのも、面白いですよね。
スズメバチに擬態【トラフカミキリ】
毒を持つような「強者」に擬態するタイプの虫もいます。
トラフカミキリは毒は持っていないのですが、その姿は「スズメバチ」にそっくりです。
トラフカミキリ
このような擬態を「ベイツ型擬態」といいます。
トラフカミキリは姿だけでなく動きもスズメバチっぽく、なんだか忙しない動きをするカミキリムシです。
枯れ葉に擬態【ムラサキシャチホコ】
落ち葉に擬態したものはすでに紹介しましたが、単体で見ても「枯れ葉」にしか見えないものもいます。
それが、ムラサキシャチホコ。
ムラサキシャチホコ
これ、どう見ても「本物の落ち葉」にしか見えないですよね?
僕は本物を間近で見ても、落ち葉にしか見えませんでした。
しかし、上から見てみることで、ようやくそれが落ち葉でないことに気付くことができます。
上から見たムラサキシャチホコ
この擬態は、もはやトリックアートの世界。
このような、見ても理解できないほどの擬態をするものもいるのです。
人の顔に擬態!?【ビジョオニグモ】
さらに、中には「人の顔」にまで擬態するものもいます。
なんとビジョオニグモは、"ヒゲおじさん"に!
ビジョオニグモ
…すみません、これはネタです。
でもこんな風に、虫たちが擬態しているつもりはなくても、見方によって「面白い模様」に見えてくるものもいます。
このような模様を探してみるのも、楽しいですよ!
おわりに:様々な擬態を観察してみよう!
今回紹介したような、面白い擬態をする虫たちはたくさんいます。
身近な場所にも色々な擬態をするものがいるので、ぜひ探して観察してみてください!
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