ネイチャーエンジニア いきものブログ

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ナミアゲハ(アゲハチョウ)は最もメジャーな揚羽蝶。イモムシ幼虫もかわいい

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> チョウ目 > アゲハチョウ科 > ナミアゲハ

ナミアゲハ

街でアゲハチョウ見たよ!
アゲハチョウの特徴が知りたい!

こんな要望に応えます。


ナミアゲハ(アゲハチョウ、アゲハとも言います)は、最もポピュラーなアゲハチョウ


街中の生活に適応していて観察しやすい、大型で美しいチョウです。


もちろん僕も大好きなチョウで、このブログ内でも何度も登場してもらいました。


そんな身近な彼らは、成虫の姿だけでなく、幼虫の姿も面白い虫なんですよ!


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。


そんな虫好きの僕が、ナミアゲハの特徴と魅力を紹介します。


※動画版はこちら▼
ナミアゲハ - 幼虫も成虫も面白い!最もメジャーなアゲハチョウ(YouTube)




 

ナミアゲハ(アゲハチョウ)は最もメジャーな揚羽蝶

ナミアゲハは、「最もメジャーなアゲハチョウ」と言える昆虫です。


実際アゲハチョウと言うと、以下のような姿を想像する方が多いのではないでしょうか。


ほとんどの人がイメージするであろうアゲハチョウ
ナミアゲハ


ナミアゲハの呼ばれ方はいくつかあって、ナミアゲハを含めて

・ナミアゲハ
・アゲハ
・アゲハチョウ

などがあります。


なお、ナミアゲハの「ナミ」は、「最も一般的な・標準的な」といった意味。


ナミアゲハという名前は、"最もポピュラーなアゲハチョウ"を意味する言葉なのですね。


ちなみに、アゲハは漢字で「揚羽」と書きます。


その由来は「花の蜜を吸う時に、羽を震わせている姿から」。


そのことを頭に入れて花の蜜を吸う姿を観察してみると、確かに羽を震わせる姿が確認できるはずです。

ナミアゲハが街中で見られる理由

ナミアゲハは、街中でもよく見られるチョウです。


チョウの仲間は幼虫時代に植物の葉(「食草・植樹」と言います)を食べて育つものが多いですが、街中には植物の種類が少なかったりして、生息できる種は限られています


そんな環境の中でナミアゲハがよくみられるのは、街中にナミアゲハが食べられる食草があるため。


それは、「ミカン科の植物」の葉です。


街には、ゆずを育てている家があったり、庭木としてミカン科の木が植えられていたりして、幼虫が育つ環境が意外にあるのです。


逆に、自然度の高い森の中などでは別のアゲハチョウの方が多い印象で、特に山など標高の高い場所に行くと、キアゲハカラスアゲハなどの方が多いです。


ナミアゲハは"街中にある樹種と生息環境がマッチしていた"ため、よく見られるのですね!




ナミアゲハは春と夏で姿が変化する【春型と夏型】

ナミアゲハは、春と夏で姿が変化します。


ナミアゲハ 春型

ナミアゲハ 春型

ナミアゲハ 夏型

ナミアゲハ 夏型


夏型の方が全体的に黒っぽく、サイズも大きくなります。


これを季節型と言って、発生する時期によって違う姿になるチョウもいるのです。


大きくなる理由は、幼虫時代に食べるえさの量などが影響しているようです。


チョウの季節ごとの姿の違いについては、以下の記事で解説しています↓


アゲハチョウの変態

完全変態の各段階

ほとんどの昆虫は、成虫になるまでの過程で大きく姿を変化させます。


このように成長に合わせて姿を大きく変化をすることを「変態」と言い、その中でもナミアゲハを含むチョウの仲間は「完全変態」をするタイプの昆虫です。


完全変態とは、

卵 → 幼虫 → さなぎ → 成虫

4段階に変化するタイプの変態のこと。


ナミアゲハの変態の各段階は、以下のようになります。



ナミアゲハ 卵

若齢幼虫
ナミアゲハ 若齢幼虫

終齢幼虫
ナミアゲハ 終齢幼虫

さなぎ
ナミアゲハ さなぎ

成虫
ナミアゲハ 成虫


このように、アゲハチョウは成長に合わせて何度も姿や生活を変化させていくのですね。

幼虫の中でも姿が大きく変わる

先ほどの変態の流れの中で、幼虫は「若齢幼虫」と「終齢幼虫」の2つに分かれていました。


この2つは、生活スタイルは大きく変化していないので、変態の段階としては同じ「幼虫」です。


姿は大きく変わっても、"木の枝などを移動し葉を食べる"という生活スタイルは同じなのです。


しかし、大きく外見が変わっているのには理由があります。


それは、若齢・終齢それぞれの段階で「擬態」の対象を変えているということ。

・若齢幼虫 → 鳥の糞に擬態
・終齢幼虫 → ヘビに擬態


若齢幼虫時代は、糞に擬態してかなりひっそりと暮らします。


終齢幼虫時代になると、カラーリングが緑色になった上に目のような模様も入り、そこからは積極的にえさを食べるようになります。


「イモムシの教科書」という本の中でこの特徴についての研究が紹介されており、

小さな若齢サイズでは緑色型よりも糞色型の方が鳥の攻撃を受けず、終齢ほどの大きなサイズでは糞色型よりも緑色型の方が攻撃を受けないという。

引用: 安田守「イモムシの教科書」(文一総合出版)

と記載されていました。


体が大きくなると、鳥の糞に擬態しきれなくなるのかもしれません。


このように、環境や成長ステージに合わせて自らを変化させていく知恵や適応能力には、本当に感心させられるのです!

ナミアゲハ(アゲハチョウ)に関連する虫たち

イモムシ・ケムシ(チョウ・ガの幼虫)

ナミアゲハ 終齢幼虫

チョウたちの幼虫は、他にも面白い姿のものがたくさん!


そんな幼虫たちは以下で紹介しています↓


ナミアゲハ(アゲハチョウ)と同じ分類に属する虫たち

カラスアゲハ

ナミアゲハ(アゲハチョウ)はチョウ目アゲハチョウ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。


[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち

[アゲハチョウ科]
アゲハチョウ(揚羽蝶)の種類と魅力|優雅で飛翔姿が美しい蝶たち


おわりに:ナミアゲハの変態をもっと楽しもう!

変態は成長と共に姿や行動が変わる、昆虫の魅力的な特徴の1つ。


ナミアゲハは、昆虫ならではの4段階の変態をする虫ですので、ぜひ各成長段階を探して観察してみてください!


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むしマスター!3

 


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