シャクトリムシ見つけた!
でもシャクトリムシって幼虫なんでしょ?
大人になったらどんな虫になるの?
こんな疑問にお答えします。
シャクトリムシ(尺取虫)というと、体を折り曲げながら、ヒョコヒョコと歩く姿が特徴的な虫です。
このシャクトリムシは、実はシャクガ科というグループのガ(蛾)の幼虫。
このシャクガ科というグループは巨大で、とっても種類が多い!
その上に幼虫の頃の姿は似ているものが多く、見分けも難しいです。
ところが、幼虫の姿は見分けが付きづらくても、大人(成虫)になると全然違う姿だったりします。
このように、シャクガは多様性があって、様々な姿が見られるのが面白い虫たちなのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、シャクガの種類と魅力を紹介します。
- シャクガの特徴と魅力
- シャクガの種類
- シャクトリムシ(尺取虫)をもっと知る方法【イモムシ・ケムシの図鑑】
- シャクガに関連する虫たち
- シャクガと同じ分類に属する虫たち
- おわりに:多様なシャクガを楽しもう!
シャクガの特徴と魅力
シャクガ科は、チョウ目というグループに含まれる科。
僕が考える、シャクガの魅力は大きく2つ。
2. 種類が多く、姿も多様である
1. シャクトリムシ(尺取虫)と呼ばれる幼虫たち
シャクガの幼虫は、体の中央部分を折り曲げて、ヒョコヒョコと前に進みます。
体の中央部分を折り曲げる動きとは、このような感じです。
ニトベエダシャク幼虫
枝のような姿で「うんしょ、うんしょ」と動く姿は、とっても可愛らしく見えます。
この動きが人が親指と人差し指で長さを測る(尺を取る)ように見えることから、「シャクトリムシ(尺取虫)」と呼ばれます。
※シャクトリムシの歩く姿はこちら▼
シャクトリムシにも色々な姿のものがいて、頭部に「耳」のように見える形をしたものもいます。
トビモンオオエダシャク幼虫
とっても可愛らしい姿のシャクトリムシですよね!
ちなみに、これらのシャクガの幼虫はいわゆるイモムシと呼ばれますが、イモムシの仲間は皆このような動きをするわけではありません。
その理由は「腹脚(ふくきゃく)」と呼ばれる、脚”のような”器官の数が関係しています。
イモムシには体の前方に3対の本物の脚がありますが、それとは別に腹脚がついているのです。
シャクガの幼虫は腹脚が少なく、「2対」しかありません。
そのため、歩幅が大きくなるような歩き方になるのです。
この歩き方が輪っかを作るようであることから、シャクガの幼虫は「輪を作るもの」という意味である「ルーパー(looper)」とも呼ばれます。
このように、シャクガの幼虫はその面白くて可愛らしい「歩き方」に注目です!
2. 種類が多く、姿も多様である
シャクガの仲間は、非常に種類が多いグループでもあります。
日本でのシャクガ科の種数は、800種(※)ほど。
※ シャクガ科 Geometridae - 日本産生物種数調査 - 日本分類学会連合
種数が多いことも相まって、シャクガの仲間はとても姿が多様です。
例えば、先ほど紹介したニトベエダシャクの幼虫が大人(成虫)になると、こんな姿になります。
ニトベエダシャク成虫
一方、全然異なる姿のものもいて、以下のようなものもシャクガの仲間です。
他にも、
・緑色のはねを持つもの
・はねが透けているもの
・複雑で美しい模様を持つもの
など、色々な姿のものがいるのです。
このような多様な姿は、シャクガの大きな魅力であると思います!
シャクガの種類
擬態の得意なシャクガ
ここで紹介するものは一般的な蛾のイメージに近い姿だと思います。
その地味に見える姿は、実は枯葉や木の幹などに似た姿(擬態)しているからであり、その擬態のわざは見事なものが多いのです!
オオバナミガタエダシャク
木の幹にそっくり!
モミジツマキリエダシャク
枯葉に紛れています!
エダシャクの仲間
幼虫も見事に枝に擬態!
このように、シャクガの仲間は擬態名人が多いのです!
その他の色々な擬態については、以下の記事で詳しく紹介しています↓
オシャレなシャクガ
シャクガの仲間には、ユニークでオシャレな姿のものもたくさんいます。
スカシエダシャク
はねが半分透けているエダシャク。
トラフツバメエダシャク
トラ柄のかっこいいはねを持つエダシャク。
ツマジロエダシャク
天使の羽衣のような姿のはねを持つエダシャク。
セスジナミシャク
複雑で繊細なはね模様が美しいナミシャク。
このように、シャクガはオシャレさんの多い蛾のグループでもあります。
綺麗な波模様を多く持つナミシャクについては、以下の記事で紹介しています。
また、綺麗なはね模様を持つガたちについては、以下の記事でも紹介しています。
チョウのような姿のシャクガ
ガといえば夜行性のイメージが強いと思いますが、昼行性の蛾もいます。
見た目もチョウに近い感じのものもいるのです。
シロオビクロナミシャク
アオシャク
アオシャクの仲間は緑色のはねを持つものが多く、シャクガの仲間たちの中でも目立つ存在です。
コヨツメアオシャク
エメラルドグリーンのような地に4つの赤い斑紋があって美しくも可愛らしい感じ。
アトヘリアオシャク
コヨツメアオシャクよりも緑味が強いアオシャク。茶色の柄が渋い。
ヒメシャク
小型でチビなイメージのものが多いヒメシャクのグループ。
でも、小型ながら個性的な姿を持つものも多いです。
ベニスジヒメシャクの仲間
ベニスジヒメシャクの仲間は似たものが多く、識別が難しい仲間の1つです。
ホソスジキヒメシャク
複数ある黄色の筋が個性的なヒメシャク。
ヒトツメオオシロヒメシャク
こんな目玉模様のある、存在感のあるヒメシャクもいます。
フユシャク
「冬に活動する」という、珍しい習性を持つガたちです。
また、もう一つ面白い特徴が、オスとメスで姿が全然違うこと。
フユシャクのオスとメス
見ての通り、メスは羽が退化しており、蛾とは思えない姿をしているのです。
フユシャクは、雌雄間の姿の違いについても注目です!
シャクトリムシ(尺取虫)をもっと知る方法【イモムシ・ケムシの図鑑】
シャクガの仲間はとっても種類の多いグループの虫。
それはつまり、シャクトリムシ(尺取虫)の種類も多いということ。
それだけ姿も生態も多様で、実に面白い虫なのです!
そんなシャクトリムシたちを知るのにおすすめなのが、以下の「イモムシ ハンドブック」シリーズ。
この本は数少ないイモムシの図鑑。
僕もイモムシの情報が知りたくて色々図鑑を探したのですが、成虫であるチョウの図鑑と比べて、幼虫の図鑑ははるかに少ないのです。
しかもこの図鑑は先頭ページがイモムシの一覧ページとなっており、調べたいイモムシが探しやすくなっています。
さすがに全てのイモムシは載っていませんが、シリーズ3冊を揃えると600種類以上のイモムシたちを見ることができるんですよ!
イモムシ好きな方には、ぜひオススメの本です!
その他の幼虫図鑑は以下で紹介しています↓
シャクガに関連する虫たち
綺麗な蛾
蛾というと地味な虫というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実は蛾はとても多様な昆虫。
今回紹介したような、美しい種がたくさんいるんですよ!
そんな綺麗な蛾たちは以下で紹介しています↓
イモムシ・ケムシ(チョウ・ガの幼虫)
チョウたちの幼虫は、他にも面白い姿のものがたくさん!
そんな幼虫たちは以下で紹介しています↓
おわりに:多様なシャクガを楽しもう!
シャクガ科は、実に多くの種類のガが含まれるグループです。
それだけに、昆虫図鑑にも掲載されていない種もたくさんいます。
逆に考えると、身近な場所でもワクワクするような虫探しが楽しめる、そんな魅力もある蛾たちなのです。
あなたも、そんな多様なシャクガたちの観察をしてみませんか?
以下の記事では昆虫観察の始め方や、観察に役立つ道具を紹介していますので、ぜひご覧ください!
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