ネイチャーエンジニア いきものブログ

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擬態(ぎたい)の意味と種類を解説【擬態は生物たちの強力な生存戦略】

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擬態の意味と種類

擬態ってどういう意味?
何のためにするの?

こんな疑問に答えます。

 

擬態(ぎたい)」という言葉は日常でもよく登場するので、言葉自体は聞いたことがあると思います。

 

擬態とは一言で言うと、「何かに似せる」という意味です。

 

何だかざっくりした言い方だなー

 

確かに「擬態」という言葉の定義自体は単純。

 

しかし、擬態には実は様々な種類があって、生物にとって強力な生存戦略の1つです。

 

僕はネイチャーエンジニアの亀田です。

 

年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な生き物たちに出会ってきました。 

 

そんな生き物好きの僕が、生き物たちの擬態を紹介します。

 

 

擬態とは?【擬態の意味と目的】

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冒頭でお伝えした通り、擬態は「何かに似せる」という意味。

 

生物はこの「擬態」をすることで自らの身を守るなどの、生存戦略に活用しています

 

しかし実は擬態は1つの方法だけではなく、

  • 「何を」似せるのか?
  • 「何に」似せるのか?
  • 「何のために」似せるのか?

 などにより、いくつかのパターンがあります。

 

つまり、擬態には種類があり、それぞれ目的や手法が異なります

 

擬態は単純に何かに姿を似せるだけでなく、とても奥が深くて面白い技術

 

そのことを具体例を交えながら紹介していきます。

 

擬態の種類

代表的な擬態の種類は以下。

  • ペッカム型擬態
  • 隠蔽型擬態
  • ミュラー型擬態
  • ベイツ型擬態
  • 化学擬態

 

ペッカム型擬態

別名「攻撃型擬態」とも言います。

 

これは、「主に肉食動物が、獲物に気付かれないように化ける」擬態です。

 

目的は、「獲物を仕留めること」。

 

多くの擬態は、身を守る目的で行うことが多いのですが、この擬態は獲物捕獲が目的であるゆえに「攻撃型」の名前がついています。

 

この擬態を使う生き物の例は、カマキリです。

 

カマキリ

オオカマキリ

 

この草に似た姿は、身を守るためではなく、獲物に気付かれないようにするためのものなんですね。

 

※攻撃型として紹介していますが、実際は身を守るのにも役立っていると思います

 

だからカマキリの戦術は、基本的に「待ち伏せ」です。

 

獲物が自分に気付かず、近くを通ったところを一気に襲って仕留めます。

 

隠蔽型擬態 

こちらは最もポピュラーな擬態。

 

自分の姿を、生活環境や背景に似せる」擬態です。

 

目的は、「天敵に自分の存在を知らせないようにして、身を守ること」。

 

この擬態を使う生き物は非常にたくさんいます。

 

例えば、ショウリョウバッタ

 

ショウリョウバッタ 

ショウリョウバッタ オス

 

自分の生息する草に擬態して、敵に見つからりづらくしています。

 

緑色の姿のものと、茶色い姿の者がいますが、それも生息環境に応じた擬態の方法ですね。

 

ショウリョウバッタは国内最大級の大きさのバッタですが、草むらの中に潜り込むと意外と見つかりません

 

ミュラー型擬態

毒を持つなど、相手にとって危険な能力を持つ者同士が姿を似せる」擬態です。

 

目的は、「天敵に自分が危険だということを知らせて、身を守ること」。

 

警告色」というのはこの種類の擬態を使った特性です。

 

この擬態を使う生き物は、スズメバチ

 

オオスズメバチ

オオスズメバチ

 

以下は別種のコガタスズメバチ。

 

コガタスズメバチ

コガタスズメバチ

 

こんな感じに、スズメバチってみんな黒とオレンジの色をしています。

 

これは、「この色の組み合わせは危険だから、近づくと危ないぞ!」と敵に言っているわけです。

 

スズメバチって攻撃力も高いし、すごく獰猛に見えますが、実際攻撃する前には警戒音というのを鳴らすし、結構慎重派な気がします。

 

ベイツ型擬態

自分の姿を、毒を持つような強い生き物に似せる」擬態です。

 

目的は、「天敵に自分が危険だということを知らせて、身を守ること」。

 

ミュラー型擬態との違いは、「自分自身は強くないこと」 。

 

要はハッタリをかましている、ということです。

 

この擬態を使う生き物には、ある制限がかかります。

 

それは、自分たちの個体数を増やせない、ということ。

 

毒を持っていない生き物の方が増えてしまうと、天敵が「この配色の生き物は安全だ」とポジティブな学習をしてしまい、擬態の効果がなくなってしまうからです。

 

この擬態を使う生き物の例は、キスジトラカミキリ

 

キスジトラカミキリ 

キスジトラカミキリ

 

こいつは何に姿を似せているかというと、「毒を持つハチ」です。 

 

もちろん、このカミキリには毒はありません。

 

さっきのスズメバチではなく、「ドロバチ」など別種のハチに似せていると思われます。

 

もう1種例を挙げます。

 

マツムラナガハナアブ

マツムラナガハナアブ

 

このアブも、「毒を持つハチ」に姿を似せていますね。 

 

このアブにも毒はありません。

 

ちなみに正確には、ハナアブはアブではなくハエの仲間であり、区別については以下で紹介しています↓

 

個体数を増やせないという制限がある通り、あまり数は見かけないアブなので、見つけられたらラッキーです。

 

化学擬態 

こちらは「姿以外」で擬態するもの。

 

においなどの化学物質を分泌して、他の生き物に似せる」擬態です。

実はこれは定義が広いもので、攻撃する目的のものもあれば、身を守る目的のものもあります。

 

なぜ姿以外の擬態が存在するかというと、それは「視覚以外」に頼っている生き物がいるからです。

 

アリの場合は、視覚よりも「嗅覚=におい」を頼りに生活しています。

 

例えば、サムライアリという、他のアリの巣を襲って住み着くアリがいます。

 

クロヤマアリの巣が狙われたとします。

 

巣が奪われた後、なぜかクロヤマアリは奴隷のようにサムライアリにえさを運んで奉仕を続けます。

 

それは、サムライアリがクロヤマアリの分泌する「におい」を真似て、仲間だと思わせているのです。

 

クロヤマアリは無理やりこき使われているというよりは、仲間だと思ってえさを運んでいるのです

 

虫たちの面白い擬態の例

身近な場所にも、これらの擬態を使った面白い虫たちがいます。

 

例えば、以下は隠蔽型の擬態で木の枝になりきるナナフシモドキ

 

木の枝に擬態するナナフシモドキ

ナナフシモドキ

 

上のように木の枝が多くある場所に紛れ込むと、見つけるのは至難の業です。

 

このように実に巧みで面白い擬態を使った虫たちがたくさんいるのです。

 

そのほかの色々な擬態については、以下の記事で紹介しています↓

 

おわりに:擬態している生き物を観察してみよう!

身の回りには、何らかの擬態を使っている生き物がたくさんいます。

 

このように、虫たちの姿だけでなく、行動や習性を観察するのも昆虫観察の魅力です。

 

あなたもまずは身近な場所で、魅力的な虫たちの観察をしてみませんか?

 

以下の記事では昆虫観察の始め方や、観察に役立つ道具を紹介していますので、ぜひご覧ください!

 

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