ネイチャーエンジニア いきものブログ

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西方寺ミツマタ群生地は大分県国東市のおすすめ観光スポット!西方寺ミツマタ保存会の糸永清貴さんに取材しました

西方寺ミツマタ群生地

大分って温泉のイメージ。

他にはどんな見どころがあるの?

こんな疑問にお答えします。


大分県というと、何をイメージしますか?


大分は温泉源泉総数/湧出量が全国1位の県であるため、別府・湯布院などにある「温泉」を思い浮かべた方が多いのではないでしょうか。


しかし実は大分には、温泉以外にもたくさんの魅力があります


その中から僕がおすすめしたいのは、「ミツマタ」という植物。


大分にはこのミツマタが密集して生息する、「群生地」があるのです。


というわけで僕は大分県に足を運び、国東市国見町西方寺という場所でミツマタの保存活動をしている方にお話を伺ってきました。


お話を伺ったのは、西方寺ミツマタ保存会会長糸永清貴さん

西方寺ミツマタ保存会 会長 糸永清貴さん


実際に大分を訪れた結果、ミツマタ自身の魅力はもちろん、ミツマタ群生地で活動する方々や、地域の魅力をたくさん知ることができました。


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な動植物に出会ってきました。


今回は、大分県の西方寺ミツマタ群生地の魅力を紹介します。




 

西方寺のミツマタ群生地とは【大分県国東市のおすすめ観光スポット】

ミツマタってどんな植物?

ミツマタは、初春頃に丸い黄色の花をつけるかわいらしい植物。


黄色いボンボンのような姿の花がかわいらしいミツマタ
ミツマタ


中国原産の植物であり、古くに日本に移入されたと言われています。


ちなみに変わった「ミツマタ」という名前の由来は、枝が3つに分かれること


枝が3つに分かれるミツマタ

ミツマタ 枝


ミツマタは日本人の生活にも深く関係している植物で、ミツマタの皮は和紙の原料となります。


またミツマタは紙幣を作るのにも利用されていますが、生産地の過疎化などによりミツマタの生産量が激減


現在では、紙幣の原料の9割が中国やネパールからの輸入によるものだそうです。


このように、ミツマタは鑑賞も楽しめる植物なだけでなく、人の文化や生活に古くから関わってきた植物でもあるのです。

西方寺ミツマタ群生地の始まり

西方寺ミツマタ群生地は、先述したミツマタが群生するスポット。


春のシーズンには、たくさんの黄色い花々が咲き乱れる景色が鑑賞できる、おすすめ観光スポットです。


春の西方寺ミツマタ群生地
西方寺ミツマタ群生地


ところがこの西方寺ミツマタ群生地、実はもともとは今のように群生していたわけではなかったのです。


この群生地について、僕は西方寺を訪れて、糸永さんにミツマタ群生地の取材をしてきました。


最初はこのミツマタ群生地はなかったということですが、今の群生地と保存活動が始まった経緯は何だったのですか?

約12年程前(2007年くらい)に林道開設をしたら、ミツマタが増え始めたんです。

ミツマタは半日陰、半日向のような環境が好きなんです。

木が伐採されて光が地表に届くようになり、ミツマタの生育環境に適合したのだと思います。

長い間土の中で種が眠っていたんでしょうね。

ミツマタを発見したのは、偶然の産物だったのですね。

林道で見つかったミツマタを見て「こんな綺麗な花があったんだね」ということで、地区住民10名程で鑑賞・保存を始めたのが、今の活動のきっかけです。


その偶然のミツマタとの出会いから10年以上経ち、保存活動の繋がりは大きく広がりました。


今や会員は30名ほどになり、自治体や各種団体からも支援されるようにもなっているとのこと。


このようにして、今では西方寺のミツマタ群生地は国東市の観光スポットの1つとなっています。


なお、ミツマタのシーズンは3月。特に3月中旬頃が見頃だそうです。


西方寺ミツマタ群生地の情報は、以下の「VISIT KUNISAKI」のサイトで掲載されるようなので、シーズンは要チェックです!


西方寺ミツマタ群生地ならではの魅力

西方寺ミツマタ群生地

僕が考える西方寺ミツマタ群生地ならではの魅力は以下。

1. 美しい里山の中にある【アクセスと景観のバランスが絶妙】
2. 国東市は泊まりがけで楽しめる【海、歴史、グルメ】
3. 西方寺のミツマタを見守る人たちの想い


1. 美しい里山の中にある【アクセスと景観のバランスが絶妙】

実は西方寺以外にも、ミツマタ群生地と呼ばれるところはあります。


しかしその中でも、西方寺のミツマタ群生地は絶妙なバランスの群生地です。


野花・野草が好きな方は、やはり「自然風景の中で鑑賞をしたい」と思うはず。


例えば公園や植物園などはアクセスも良いし、たくさんの種類の植物を見ることができますが、「野生の自然らしい風景」を求める方にとっては物足りなさを感じるのではないでしょうか。


一方で山奥の野草などは自然らしさはより強く感じられるものの、特に子連れや足腰の弱い方と一緒に行きたいとなると、辿り着くまでの道のりが問題になったりします。


西方寺ミツマタ群生地はその点が実に絶妙で、決してアクセスの良い場所ではないものの、林道をゆっくり鑑賞しながら歩けるようなコースになっています。


自由に行くには車が必須ですが、「西方寺ミツマタ祭」に参加すれば無料送迎バスが運行しています。


※ 西方寺ミツマタ祭:約6キロになるミツマタ群生地をウォーキングするイベント

>> 過去(2019年)の西方寺ミツマタ祭の情報


ちなみに西方寺には第1〜5までの5箇所の群生地があり、斜面に並ぶミツマタ、車道を挟んで両面に並ぶミツマタなど、群生地ごとにそれぞれ異なる見所があります。


ちなみに僕が取材に行ったのは9月でしたが、緑の葉に包まれる林道も黄色い花が咲き乱れる姿とは異なる美しさがあります。


ミツマタの葉の緑色が美しい林道
西方寺ミツマタ群生地


また群生地周辺は、田んぼや雑木林など里山の美しい風景が感じられる場所です。


群生地のみならず、行くまでの景色でも心癒されること間違いなしです!




2. 国東市は泊まりがけで楽しめる【海、歴史、グルメ】

ミツマタ群生地は素晴らしいスポットですが、正直言うと、ここだけで1日丸ごと過ごすのは難しいかもしれません。


特に遠くから訪れる場合は、「せっかくだから泊まりがけでいろいろ楽しめたら良いな」と思うはず。


ところが西方寺のミツマタ群生地では、それも心配無用です。


実は国東市には、他にも面白いスポットがたくさんあるのです。


というのも、糸永さんにミツマタ群生地の案内をしていただいた際に、国東市のスポットを色々と案内していただいたのでした。

■ 国東半島は鬼が仏になった里【六郷満山、宇佐神宮】

国東半島は「神仏習合の地」と呼ばれ、神と仏が融合調和する文化のある地。


また、鬼というと一般的には「鬼は外、福は内」のように縁起の悪いものとして扱われますよね。


しかし、国東では鬼に対して祈るなど仏のような扱いであり、「鬼が仏になった里」とも呼ばれる面白い文化のある土地です。


さらに国東半島の両子山(ふたごさん)を中心に6つの郷があることから、この半島一帯の寺院群は「六郷満山」と呼ばれているほか、4万の社がある八幡神社の総本山である宇佐神宮があります。


この六郷満山の礎を築いた、宇佐の神様が姿を変えたとされる仁聞菩薩(にんもんぼさつ)にゆかりのある地を巡ることもできます。


五辻不動尊から眺める景色


他にも国東半島には神・仏にまつわるスポットがたくさんあり、神社好き・歴史好きにはたまらない場所になっています。

■ しいたけのメッカ【農林水産省の大臣賞を受賞したしいたけもある】

大分はしいたけの生産量日本一であり、国東半島宇佐地域は世界農業遺産として認定されています。


大分県のしいたけがどれだけすごいかと言うと、日本椎茸農業協同組合連合会主催の「全国乾椎茸品評会」で、20年以上連続で団体優勝しているほど。


そして僕は、第66回全国乾椎茸品評会で農林水産大臣賞を受賞した、尾方正記さんが作ったしいたけを食べさせていただきました。


すると僕の今まで食べてきたしいたけよりも、断然肉厚・ジューシーで、風味が濃い。そして口の中に入れると、しいたけの上品な香りが。


僕が今まで食べて来たしいたけの中で一番美味しかったです!


この時食べたしいたけの味が忘れられず、大分滞在中にこの他に2回もしいたけを食べてしまいました


こんなに美味しい大分のしいたけは、以下のサイトで購入できますので、ぜひご覧ください↓


僕はミツマタ群生地付近を案内していただいた時にも、しいたけのほだ木をたくさん見ましたが、そんな光景が見られるのも、大分県が国内No.1のしいたけ生産地であるからこそ


このような大分ならではの景色を見るのも、非常に貴重な体験かと思います。


ちなみに尾方さんも西方寺ミツマタ保存会の会員なのですが、地元の小学生にしいたけの駒打ち体験、もぎ取り体験といった、尾方さん&ミツマタ保存会のコラボ企画も立ち上げてらっしゃいます。


しいたけのもぎ取り体験の様子(写真中央が尾方さん)
しいたけのもぎ取り体験


■ 海も楽しめる【サイクリングロードも整備】

国東半島ではサイクリングロードが整備されており、自転車は道の駅でレンタルすることもできます。


半島なので島の外側は海であり、非常に良い景色なのですが、この海の魅力は景色だけではありません。


なんと、ウミガメが産卵に訪れたり、カブトガニが生息する湾などもある素晴らしい海なのです。


ちなみに、僕も干潟で大きなカブトガニを見ました。(残念ながら僕が見たのは死骸でしたが、生息していることは確認できました!)


そんな魅力たっぷりの海を見ながら、爽やかにサイクリングを楽しむことができますよ!

3. 西方寺のミツマタを見守る人たちの想い

西方寺ミツマタ保存会のみなさん
西方寺ミツマタ保存会

シーズンにはミツマタを鑑賞する人たちで賑わうこの群生地。


実は僕らが楽しく鑑賞できる環境は、自然に作られるものではありません


ミツマタには太陽の光が必要です。


群生地を放置していると、草が生い茂ったり、木が伸びてきて陽の光を遮ってしまいますが、そうなるとミツマタはうまく育ちません


僕も現地を見て確認しましたが、林縁にはミツマタが群生していますが、常に日陰になるような林の中にはほとんどミツマタが見られませんでした。


それに加えて林道やミツマタ周辺が雑草で生い茂ってしまうと、草でミツマタが隠れてしまい、鑑賞しづらくなってしまいます。


ではなぜ、毎年綺麗なミツマタたちを見ることができるのか?


それは西方寺ミツマタ保存会の方々をはじめとする、様々な方々の想いと努力のおかげなのです。


年に3回くらい、30名くらいの会員で林道全体の草刈りをします。

私は年末くらいからミツマタ鑑賞の時期までは、休みの日には草刈り作業をしています

これだけ広い範囲を、斜面とかもあるのに全面草刈りするのは大変ですね…

でもこうやって草刈りをしてあげた方が、(見に来てくれた方が)よくミツマタが見えるでしょ?


また草刈りだけでなく、保存会の方々や小学生が行事でミツマタの植樹も行なっていて、群生地の広い範囲でミツマタが見られるようにされています。


できるだけミツマタが途切れずに見えるように植えているんですよ。

その方が、ミツマタを見にきてくれる方たちが飽きずに済むでしょう。


このように、西方寺ミツマタ群生地は、西方寺ミツマタ保存会会員はもちろん、一般ボランティアの方々、自治体の方々、地域の小学生たち、周りに住む方々の努力によって守られているのです。


また、群生地を案内していただく中で、僕は糸永さんのミツマタへの愛を様々な場面で感じました。


ここは最初にミツマタを植樹した場所で、看板を立てたんです。

でも今ではミツマタの姿で看板が見えなくなるほどに大きくなってしまいました。


もともとこんな感じに見えていた看板が…
ミツマタ 植樹 看板


今ではこんなに大きな姿に!(看板は隠れてしまいました)
ミツマタ 植樹 看板


ミツマタは寿命が短い。数年すると枯れてしまうんです。

でも、世代交代も早いんですよ。枯れた木の下には小さなミツマタがこんなにたくさん生まれているんです。

ほら、もうこんなにたくさん子供ができてる。


命をつなぐミツマタ
ミツマタ


このように、ミツマタの話をするときは、いつも嬉しそうに語ってくれたのが印象的でした。


ちなみに、第2、第5群生地には、100円の寄付で大きな松ぼっくりをもらえる場所があります。


寄付金は保存活動に使われますので、これによりミツマタ保存会の活動を応援することができますよ!


松ぼっくりコーナー
松ぼっくりコーナー


また、糸永さん以外の、ミツマタ群生地に関わる方々ともお話しさせていただきましたが、どの方も皆、ミツマタについて聞くと愛おしく語っているのが印象的で、ミツマタへの愛を感じられました。


西方寺ミツマタ群生地は、ここに関わる方々の愛や努力があってこそ。


群生地を訪れる時には、運営をされている方々の想いにも注目してみてください!

おわりに:大分県国東市のミツマタを見にいこう!

実は僕自身、大分県は温泉のイメージが強かったのですが、今回訪れて大分の魅力にたくさん触れることができました。


ミツマタ群生地は他の場所にもありますが、群生地の管理や運営に関わる人たちによって、その姿も体験も大きく変わります


西方寺ミツマタ群生地は、そこに関わる方々も含めて間違いなく良い場所だと断言できるので、ぜひ一度訪れてみてください。


僕もミツマタの花が咲いているところはまだ見ていないので、シーズンに見に行きたいと思います!(行ったら記事にします)


記事内で紹介しましたが、ミツマタ群生地の情報は以下のページから見られますので、ぜひご覧ください!


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