あ、なんか茶色い虫がいる!
この虫って、どんな虫?
こんな疑問に答えます。
写真の虫の名前は、サビキコリ。
「コメツキムシ」と呼ばれる甲虫の仲間です。
その姿は他のコメツキムシよりもずんぐりした体型。
名前も変わっていて"きこり"という言葉が入りますが、山でなければ会えないわけではなく、実はとっても身近な昆虫。
虫観察初心者におすすめの昆虫でもあるのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、サビキコリの特徴と魅力を紹介します。
※動画版はこちら▼
サビキコリは錆色のコメツキムシ
サビキコリは「コウチュウ目コメツキムシ科」というグループに属する昆虫です。
名前に「サビ」とつく通り、「鉄が錆びたような姿」を持ちます。
鉄が錆びたような姿のサビキコリ
サビキコリは体が太めで、丸みのある体型をしています。
他のコメツキムシの仲間は細長く尖ったものが多いので、他のコメツキたちよりもずんぐりした印象。
また他の昆虫たちと比べると動きも緩慢で、カメラを近付けて撮影しても素早く逃げるようなことはほぼありません。
しかし、だからこそ「他の虫たちと比べて観察しやすい」という嬉しい面もあります。
僕が観察初めの頃は、今ほど虫が見つけられない上に、小さな虫の写真もブレてうまく撮影できませんでした。
しかしこのサビキコリは、そんな頃でもじっくりと観察と撮影をさせてくれたものでした。
そのため、僕は個人的にサビキコリにはかなり思い入れがある昆虫なのです。
コメツキジャンプも習得済み
コメツキムシの仲間は、"ある得意技"を持っています。
それは「コメツキジャンプ(※僕の造語です)」。
コメツキムシの仲間は、体を裏返しにひっくり返されると「パチン」という音とともにジャンプして、体の向きを正すという技を持っているのです。
種類によってそのジャンプ力は違うのですが、びっくりするほどに高くジャンプする奴もいます。(体の大きなものは高くジャンプできない傾向あり)
全体的に動きが緩慢なコメツキムシたちですが、ひっくり返された時は、普段からは想像できないほど早い反応速度を見せることも。
もちろんサビキコリも、このコメツキジャンプを習得済み。
普段大きな動きをしないイメージのサビキコリですが、このギャップのある特技にも注目です!
サビキコリは身近な場所で見られるきこり昆虫
サビキコリの名前には「樵(きこり)」という言葉が入っています。
実際の由来は不明のようなのですが、その言葉からは、”森の奥に住んでいる”というイメージを持たないでしょうか。
ちなみにWikipediaでは、きこりは以下のように説明されています。
樵(きこり、木樵)とは、森林の樹木を斧などにより伐採すること、もしくはそれによって生計を立てている者を指す。樵夫(しょうふ)や杣夫(そまふ)ともいう。
引用: 樵 - Wikipedia
しかしながら実際には、サビキコリは森林の奥よりも「林縁(森や林の周縁部)」で出会えることの方が多いです。
例えば以下のように、背丈の低い草花の上で見つかることもよくあります。
葉の上にいたサビキコリ
サビキコリの成虫は、樹液のほか、花粉や花の蜜を食べるとのこと。
僕の経験上では樹上で見かけるよりも、草や花の上で見つけることが多いです。(樹上ではほかに目立つ昆虫がいたり、隠蔽擬態(いんぺいぎたい)の効果で見つけにくいのかもしれません)
ちなみに、僕の手持ちの図鑑「日本の昆虫 1400」では、”コメツキムシの中で最も普通種”とも書かれていました。
このようにサビキコリは、見た目や名前の印象とは異なり、森の奥まで入らなくても見られる「とても身近な昆虫」なのです。
こんなに面白い特徴を持つ虫が身近に見られるなんて、とても嬉しいことですね!
さらに、サビキコリが見られる季節は「春〜秋」と、長い期間観察可能。
姿や生態の面白さだけでなく「観察しやすさ」という面でも、虫観察初心者におすすめの昆虫なのです!
サビキコリと同じ分類に属する虫たち
サビキコリはコウチュウ目コメツキムシ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[コウチュウ目]
甲虫目(コウチュウ目)の昆虫まとめ|頑丈なはねを持つ昆虫最大のグループ
▼
[コメツキムシ科]
コメツキムシは甲虫の弱点を解決した昆虫!名前の由来にもなった
おわりに:サビキコリをじっくりと観察してみよう!
サビキコリはコメツキムシの中でも特にユニークな姿をしている上に、とっても観察しやすい虫です。
ちょっとした林があるような公園があれば見られるはずなので、ぜひ探して観察してみてください!
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