うわー、なんか毒々しい毛虫!
この虫って、やっぱり危険な虫なのかな?
こんな疑問に答えます。
大きくて、派手な色をして、毛が生えている…
何だかとっても毒々しい姿の毛虫です。
この毛虫は、フクラスズメというガ(蛾)の幼虫。
いかにも危険そうな姿をしていますが、実はまったく怖くない虫です。
それどころか、むしろその真の姿を知るとちょっと可愛らしく思えてしまいますよ!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、フクラスズメの特徴と魅力を紹介します。
※動画版はこちら▼
フクラスズメ - 毒々しいけど怖くないイモムシ(YouTube)
フクラスズメの幼虫はド派手で大型のイモムシ
毒のありそうなインパクトのある外見
以下の写真の通り、フクラスズメの幼虫はその大きさ・色・外見において、とてもインパクトの強い姿をしています。
インパクトの強いフクラスズメの幼虫
その赤・黒・黄のド派手な模様は、"毒虫"を連想させられます。
サイズも7〜8cmほどと大型で、大人の手のひらほどの巨大さ。
フクラスズメの食草はラミーカミキリと同様、カラムシ。
探索していると、カラムシの葉をムシャムシャと食べているところをよく見つけます。
カラムシ
フクラスズメは多数の個体が近くで生活していることが多く、カラムシで1匹フクラスズメを見つけると、隣の葉にも、またその隣の葉にも…とたくさん見つかることも。
このカラムシにたくさんついているフクラスズメたちを僕が初めて見た時は、間違えて触らないように恐る恐る距離を取って撮影したのを覚えています。
実は怖くない虫
非常に毒々しい姿のフクラスズメですが、その姿とは裏腹に、実はフクラスズメに毒はありません。
なので、触っても刺されたりするような心配はない虫なのです。
そんな彼らは、いざ自らの身に危険が及ぶと”ある必殺技”を繰り出します。
それが「首振り威嚇」。
例えばフクラスズメに手を近づけたりすると、えび反りになって尋常でない速さで首を降って威嚇するのです。
フクラスズメの威嚇
それはまるで、壊れたメトロノームのように…(ちなみに壊れたメトロノーム見たことないです)
僕がフクラスズメが無毒だと知らない時にこれを見た時には、「毒を持っている上にこんなに接触して来ようとするのか」と恐怖を感じたものです。
しかしながら、フクラスズメのこの行為は、彼らにとっての負担も大きい。
この首振りをしばらく観察していたところ、食べていた葉を吐き出してしまいました。(緑や茶色の血を吐いているように見える)
首振り行動は激しい運動なだけあって、大きなエネルギーと負荷を伴うのでしょう。
そんな懸命な姿を見ていたら、むしろなんだか健気でかわいらしく思うようになってしまいました。
それからは、僕がフクラスズメを観察する時は、
・刺激を与える時間を極力短くするように
と意識しています。
このように、フクラスズメは強い武器を持たないために、外見や威嚇行動で「そもそも攻撃がされないようにする戦略」を取っている虫。
決して「怖い虫」「危険な虫」ではないのです。
フクラスズメは成虫の姿も魅力的
フクラスズメの名前の由来
フクラスズメは、名前にもなんだか変わっていますよね。
”〇〇スズメ”というと、基本的に「チョウ目スズメガ科」のグループに含まれる種の名前なのですが、フクラスズメが属するのは「チョウ目ヤガ科」というグループ。
つまり、フクラスズメの名前は分類グループから来たのではない、ということ。
その由来は、"成虫の外見が鳥のスズメに似ていることから"だそうです。
Wikipediaでは以下のように記載がありました。
スズメが羽毛を逆立てて冬の寒さに耐える様を「ふくらすずめ」と呼び、丸っこくて毛に覆われた様子をこのガに当てはめたものである。
その「ふくらすずめ」のような成虫の姿がこちら。
フクラスズメの成虫
残念ながら、個人的にはこの姿からスズメの姿は連想できず。。
ただスズメには見えづらいものの、このフクラスズメの成虫の姿もとっても魅力的。
ダークブラウンの地に黒い波線と夏空の星のようなブルーの点があしらわれた、とっても美しいはねを持っているのです。
しかしながら成虫は夜行性であり、昼の探索メインだと出会える機会は少ないです。
たまに昼間でも木の幹などで見つかることがあるので、もし出会えたらその美しいはね模様を観察してみてください!
フクラスズメに関連する虫たち
イモムシ・ケムシ(チョウ・ガの幼虫)
チョウたちの幼虫は、他にも面白い姿のものがたくさん!
そんな幼虫たちは以下で紹介しています↓
フクラスズメと同じ分類に属する虫たち
フクラスズメはチョウ目ヤガ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち
▼
[ヤガ科]
おわりに:虫の情報を得ることで日常はもっと楽しくなる!
フクラスズメの幼虫は毒々しい外見で恐れられがちですが、無害であることを知ると、むしろかわいらしく見えてくる虫です。
こんなふうに、ちょっとした情報や知識を得ることで、日常はどんどんと明るく楽しいものになります。
その一歩として「本」や「ゲーム」など、"楽しいコンテンツ"から知識を得るのもおすすめです。
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