あ、赤くてかっこいいチョウ!
このチョウって、どんな虫?
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、ヒオドシチョウ。
赤い地に黒い紋の入った、かっこいいはねを持つタテハチョウの仲間です。
ヒオドシチョウはその姿から名前に「緋縅(ひおどし)」という言葉を冠するチョウで、姿だけでなく名前の由来もかっこいいチョウなのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、ヒオドシチョウの特徴と魅力を紹介します。
- ヒオドシチョウは緋縅の名を冠するタテハチョウ
- ヒオドシチョウは春によく見られる
- ヒオドシチョウの幼虫は毛虫のような姿
- ヒオドシチョウと同じ分類に属する虫たち
- おわりに:ヒオドシチョウを観察してみよう!
ヒオドシチョウは緋縅の名を冠するタテハチョウ
赤い地に黒い紋の入ったかっこいいはね
ヒオドシチョウは「チョウ目タテハチョウ科」というグループに属する昆虫です。
タテハチョウの仲間というと、裏ばね(はねを閉じている時に見える面)が地味なものが多いです。
他のタテハチョウと同じく、ヒオドシチョウの裏ばねも地味。
これは生活環境の背景に擬態して身を守る効果があると思われますが、実際に樹皮や枯れ葉の中に紛れると見つけるのは困難です。
ヒオドシチョウの裏ばね
しかし一方で、タテハチョウははねを開くと大きく印象が変わるものが多いのも特徴的。
ヒオドシチョウも同様に、はねを開くと裏ばねとは印象の異なる姿が見られます。
そのヒオドシチョウのはねを開いた姿が、こちら。
ヒオドシチョウの表ばね
赤い地に黒い紋の入った、かっこいい姿です!
よく見ると、はねのふち部分の黒い部分の上には"青い紋"も散りばめられています。
これが良いアクセントになっていて、かっこいいんですよね!
名前の由来は緋縅の鎧
ヒオドシチョウの「ヒオドシ」とは、赤い表ばねの姿が由来です。
ヒオドシとは「緋縅(ひおどし)の鎧」のこと。
縅とは日本の甲冑の製造様式のことで、鎧の札(さね)を革や糸を上下に結び合わせて作られる。
※縅については、以下のページで詳しく説明されています。
このように、ヒオドシチョウの表ばねがこの「赤い鎧」を連想させたのですね。
名前の由来となった表ばね
鎧の名を冠すると聞くと、なんとも少年心をくすぐられてしまいます。
ヒオドシチョウを見たら、そのかっこいい表ばねに注目です!
ヒオドシチョウは春によく見られる
ヒオドシチョウの1年の生活サイクルは、以下のような感じです。
・4〜5月頃:幼虫〜蛹
・5〜6月頃:羽化して成虫に
・以降翌春まで:成虫で過ごす(成虫越冬)
このサイクルを見ると「1年中見られるチョウ」に思いますよね。
しかし実は、ヒオドシチョウは春以外の季節はほとんど見ることができません。
6月頃に成虫になった後に少し活動した後、ひっそりとどこかに隠れながらどこかで翌春まで過ごすようなのです。
実際、僕もヒオドシチョウには春〜初夏の時期にしか出会ったことがありません。
春に出会ったヒオドシチョウ
秋に成虫になり、翌春まで姿を消すチョウは多いのですが、ヒオドシチョウはなんと夏から姿を消してしまうんですね。
「姿を見られない時期は、一体どんな場所で過ごしているのだろう?」と、いつも思うものです。
ヒオドシチョウの幼虫は毛虫のような姿
タテハチョウの幼虫は、たくさんの「トゲトゲ」を持った姿のものが多い。
ヒオドシチョウも例に漏れず、以下のように一見毛虫にも見えるような姿をしています。
ヒオドシチョウの幼虫
しかしこのトゲトゲは毛ではなく突起であり、毒もありません。
ちなみに幼虫の食草はエノキやケヤキなど。
エノキと言えば、ヤマトタマムシやゴマダラチョウ、テングチョウなど多くの昆虫が好む人気の樹木。
エノキ
エノキは里山的な環境によくある樹木で、ヒオドシチョウも山のほか里山的な環境で見られることも多いです。
ヒオドシチョウと同じ分類に属する虫たち
ヒオドシチョウはチョウ目タテハチョウ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち
▼
[タテハチョウ科]
タテハチョウの種類と魅力|表ばねと裏ばねのギャップが面白い蝶たち
おわりに:ヒオドシチョウを観察してみよう!
ヒオドシチョウは、鎧の名を冠するかっこいいはねを持つチョウ。
春〜初夏にかけて見られるチャンスのあるチョウなので、出会えたらぜひ優しく観察してみてください!
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