冬鳥のシロハラとアカハラって、どんな鳥?
こんな疑問にお答えします。
シロハラとアカハラ。
彼らは、関東には晩秋の11月あたりから飛来してくる冬鳥たちです。
名前に付く「シロ」と「アカ」は体の「紅白」が由来です。
彼らは冬によく出会える定番の鳥たちで、地面でガサゴソとえさを探す姿がチャーミングな鳥たちなのです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、シロハラとアカハラの特徴と魅力を紹介します。
大型ツグミ類とは
シロハラとアカハラは「大型ツグミ類」と呼ばれることがあります。
大型ツグミ類とは、かつての分類において使われていた言葉です。(今はヒタキ科に含まれます)
かつての分類では、「ツグミ科」というのがあり、その中でさらに以下のグループに別れていたようです。
・大型ツグミ類: ツグミ、シロハラなど
・イソヒヨドリ類: イソヒヨドリなど
小型ツグミ類:ジョウビタキ
大型ツグミ類:ツグミ
イソヒヨドリ類: イソヒヨドリ
しかし、最新の分類ではツグミ科はなくなり、「ヒタキ科」に統合されています。
シロハラとアカハラの特徴と違い
シロハラとアカハラの名前の由来は「お腹の色」。
それが2種を見分けるポイントになります。
シロハラの特徴
シロハラの名前の由来である、白いお腹。
写真を見ると、ほら、こんなに真っ白!
…というほどではありません。
シロハラの名前としてしっくりはこないかもしれませんが、シロハラとアカハラを見分けにおいては、十分な識別可能な違いです。
シロハラは11〜12月頃、海外のシベリアなどから飛来してきます。
飛来した直後は、
・警戒心が強い鳥である
という理由から、あまりじっくり観察させてもらえません。
しかし、季節が進んで木の実が地面に落ちると、低い位置に降りてえさを探します。
暗い林などでガサガサと木の葉をめくっている鳥がいたら、シロハラであることが多いです。
また、シロハラはその鳴き声も特徴的。
冬なのでさえずりではなく「地鳴き」ですが、まるで「ポポポポッ」と泡が破裂したような声で鳴くのです。
もしシロハラに出会ったら、この不思議な鳴き声にも注目してみてください!
アカハラの特徴
アカハラの名前の由来である、お腹の色。
こちらは明らかに赤いお腹をしていますね。
行動や習性はシロハラとよく似ていて、よく林でガサガサしています。
ただ、「見られる季節」については両者に違いがあります。
シロハラは基本的に冬にしか見られませんが、アカハラの場合は冬以外でも日本で観察することができるのです。
では冬以外はどこで出会えるのかというと、「山地」や「北海道」。
僕は北海道の平地で、アカハラを観察したことがあります。
野鳥は夏に繁殖のため「さえずり」をします。
僕も夏の北海道でそのさえずりを聞くことができましたが、そのさえずりはとても美しかったです。
「キョロン、キョロン、チー」と非常に透き通った声で鳴きます。
もし北海道で森などに行った際は、このような美しい鳴き声が聞こえないか、耳を澄ませてみてください!
見分け方まとめ
シロハラ
アカハラ
大型ツグミの仲間には似た姿のものもいますが、出会う頻度は圧倒的に上記の2種が多いです。
名前の通りですが、両者は以下で見分けることができます。
・お腹が赤い → アカハラ
同じ林で同時に見られることもあるので、ぜひその姿の違いを比較してみてください!
シロハラとアカハラではどちらの方が多いのか?
僕が関東で普段探索する地域では、もちろん場所にもよりますがアカハラの方が出会う頻度が少ない印象があります。
そのため、僕はしばらく「アカハラは出会うのが難しい野鳥なのかな?」と思っていました。
しかし、探索中に出会ったバードウォッチャーの方から「昔はアカハラがもっといたが、最近はシロハラの方が多くなった」と言う話を聞いたので、ちょっと調べてみました。
そこで調べてみたら、アカハラとシロハラの分布に関する報告書が見つかりました。
この報告書によると、
自然教育園において,かつてアカハラは,シロハラと同等以上の出現率や生息数であったものが(千羽,1969;千羽,1978),その後,シロハラの半分程度(武藤,2001)となり,2003 ~ 2008 年の調査では,センサス数や捕獲数が,シロハラの 3 分の 1 以下となっている(濱尾,2011)。
自然教育園でこのような傾向を示す理由のひとつとしては,1965 年の当時に存在していた開けた場所や林縁が,その後の遷移によって樹林化し(福嶋・萩原,2013),全体的にアカハラの好む環境からシロハラの好む環境へ変化したことが考えられる。
また、最終的には以下のように言っています。
ただ,いずれにせよ,アカハラやシロハラの個体数の増減については,現段階で十分に検討がなされているわけではなく,今後明らかにすべき課題と言える。
このように、似た姿や習性を持つ鳥でも、好む環境には結構違いがあるのですね。
日本人の生活はここ数十年で大きく変わり、それに合わせて環境も大きく変化しました。
高度経済成長で排水を川に流していた頃は、水質汚染で魚がいなくなり、カワセミやカワウの個体数が著しく減少してしまったこともあったようです。
しかし僕たちの生活変化は、野鳥たちに何かしらの影響を及ぼしていることは間違いありません。
「日常から彼らの観察することで変化に気付けるようになること」も、野鳥観察の大事な役割かなと思います。
シロハラとアカハラと同じ分類に属する鳥たち
シロハラとアカハラはスズメ目ヒタキ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。
[スズメ目]
スズメ目の野鳥まとめ|美しい声を持つ鳥類最大のグループ
▼
[ヒタキ科]
ヒタキ科の野鳥の種類と魅力|綺麗な鳴き声!華やかな羽!季節を彩る鳥たち
おわりに:冬はシロハラとアカハラを観察してみよう!
シロハラとアカハラは身近な冬鳥ですが、街の目立つ場所にはおらず、自然が残された林内などでないと出会えない鳥たちです。
そのため、僕も野鳥観察を始めるまでは名前も聞いたことのない鳥でした。
でもその存在を知ると、彼らは冬に出会える定番の鳥であり、毎年冬に彼らが日本に飛来するのがとても楽しみになります。
このように季節の訪れを楽しみにさせてくれることも、野鳥たちの魅力。
そしてそういう鳥たちは、他にもまだまだたくさんいます。
あなたも、魅力的な彼らの観察をしてみませんか?
以下では、野鳥観察の始め方を観察に役立つ知識や道具とともに紹介していますので、ぜひご覧ください!
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