変わったくちばしのカモがいる!
これってどんなカモ?
こんな疑問にお答えします。
写真の鳥は、ハシビロガモ。
スコップのような平べったいくちばしが特徴的なカモです。
また、個性的なのはそのくちばしだけでなく、泡をブクブクさせたり、ぐるぐるするなど、行動も個性的。
ハシビロガモは、とっても観察しがいのあるカモなのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、ハシビロガモの特徴と魅力を紹介します。
- ハシビロガモのスコップのような面白いくちばし
- ハシビロガモの生殖羽と非生殖羽(エクリプス)
- ハシビロガモのぐるぐる行動の謎
- ハシビロガモは冬鳥
- ハシビロガモと同じ分類に属する鳥たち
- ハシビロガモに関連する鳥たち
- おわりに:ハシビロガモの行動を観察してみよう!
ハシビロガモのスコップのような面白いくちばし
スコップのような平べったいくちばし【嘴広鴨】
ハシビロガモの最大の特徴は、スコップのような平べったいくちばし。
名前もそのくちばしが由来で、漢字で書くと「ハシビロガモ=嘴広鴨=嘴(くちばし)の広い鴨」となります。
スコップのようなくちばしのハシビロガモ
写真の奥にいるのがメス、手前がオスです。
オスの姿は特に個性的で、インパクトの強い、ちょっといかつい姿です笑
僕は初めてハシビロガモと出会ったのは、東京の新宿御苑。
池に濃ゆいキャラクターのカモがすいーっと泳いでいって、「何だあの変なカモは!?」と驚きました。
その後も見ていたら、後ほど紹介する変わった行動もたくさんしていて、強烈な印象が残っているカモです。
個性の強い野鳥って、意外に身近な場所で普通に暮らしているものです。
ハシビロガモの水面採餌
ハシビロガモは餌の食べ方が面白いです。
カモはえさのとり方によって、2つのグループに大別されます。
・潜水採餌ガモ…潜水をして、水中でえさをとる
ハシビロガモは「水面採餌ガモ」であり、以下の写真のように、くちばしを水面につけてブクブクさせながら泳ぎます。
ブクブクしているハシビロガモのオス
※ハシビロガモの採餌の動画はこちら▼
初めて見た時は「何でブクブクしてるんだろう?」なんて思って見ていました。
家に帰ってから調べてみると、どうやらこれはハシビロガモがえさを取る時にする行動。
ハシビロガモのくちばしの内部には、ブラシのように細かい歯があります。
くちばしを水面につけながら進む時、このブラシ状の歯を使って、えさ(=水中のプランクトンなど)だけをろ過して食べていたのですね。
くちばしをブクブクしながら泳ぐ行動は、まさにハシビロガモならではの採餌行動(水面採餌と言います)だったのです!
ハシビロガモの生殖羽と非生殖羽(エクリプス)
カモは繁殖期とそれ以外の時期で姿が大きく変わるものが多く、ハシビロガモもそれに当てはまります。
繁殖期に近付くと、オスは「生殖羽(繁殖羽)」に生え変わり鮮やかな姿になります。
一方の非生殖羽を「エクリプス」と言います。
ハシビロガモの生殖羽とエクリプスは以下のような姿になります。
ハシビロガモの生殖羽
ハシビロガモのエクリプス(換羽中だが、非生殖羽が強い)
ちなみにくちばしの話で紹介した以下のオスの写真は、エクリプス → 生殖羽に生え変わっている途中であり、中間的な姿をしていたのですね。
生殖羽に換羽中のオス
エクリプスについて詳しくは、以下の記事で詳しく紹介しています↓
ハシビロガモのぐるぐる行動の謎
集団ぐるぐる行動【渦巻き採食】
また、ハシビロガモに見られる不思議な行動がもう1つあります。
それは、複数のハシビロガモがぐるぐる回っている行動。
ぐるぐる回るハシビロガモたち
※ハシビロガモのぐるぐる行動はこちら▼
こちらもまた、変な行動ですよね。
実際見てるとずっとぐるぐる回っていて、かなり不思議な光景です。
実は、こちらもハシビロガモの採餌行動に関係しています。
彼らがぐるぐる回る理由は、「より効率的にプランクトンを食べるため」です。
↓
渦ができる
↓
水中のプランクトンたちが渦に巻き込まれる
↓
渦の中心にプランクトンたちが集まってくる
↓
集まってきたプランクトンたちを食べる
なんと水中では、上のようなことが起きていたのです。
謎の集団ぐるぐる行動は、みんなで協力し合って効率的にえさを食べるための行動なのです。(「渦巻き採食」と言います)
これもプランクトンを食べるハシビロガモならではの習性。
野生動物たちの遊んでいるように見える行動にも、ちゃんと理由があるのですね。
ペアでぐるぐる行動【求愛行動】
集団ではなく、オスとメス2羽だけでぐるぐる回っているのを見ることがあります。
ぐるぐるは求愛行動のために行うことも。
オス・メスの2羽でぐるぐるしている時は熱烈アピール中ということ。
このように、同じように見えるぐるぐる行動にも様々な理由があって面白いですよね。
ハシビロガモは冬鳥
カモの多くは、北海道以外ではほとんどが冬に見られる冬鳥です。
冬は葉が茂っていないので見つけやすいことと、地面など見える位置で生活するので、野鳥観察のしやすい季節。
木の上にいる鳥も冬は観察しやすい(以下は冬鳥のツグミ)
冬は野鳥観察を始めるのに最適な季節ですよ!
ハシビロガモと同じ分類に属する鳥たち
ハシビロガモはカモ目カモ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。
[カモ目]
カモ目の野鳥まとめ|水上生活に適応した美しい水鳥たち
▼
[カモ科]
鴨(カモ)の種類と魅力|カモは地味な野鳥ではない!実は個性的で面白い姿を持つ
ハシビロガモに関連する鳥たち
おわりに:ハシビロガモの行動を観察してみよう!
ハシビロガモは姿も面白いですが、くちばしを活かした行動や習性も面白い!
公園の池など意外と身近な場所にいるので、ぜひその行動を観察してみてください!
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