ネイチャーエンジニア いきものブログ

虫・鳥などの動植物の魅力や知識など、自然観察をもっと楽しむための情報を発信します。

水面採餌ガモと潜水採餌ガモ|カモが水面からおしりを出す理由

本ブログには広告が含まれます。

> カモ目 > カモ科 > 水面採餌ガモと潜水採餌ガモ

オナガガモ おしり

あ、カモがおしりを出してる!

なんでこんなに可愛い行動をしているんだろう?

こんな疑問にお答えします。


川や公園の池などで、カモが水面からおしりを出している姿、見ますよね。


とってもかわいらしい姿ですが、これは一体何をしているのでしょうか?


結論を言うと、これは"水中の餌を採っている"のですが、実はすべてのカモがこの行動を取るわけではありません。


カモは採餌の仕方によって「水面採餌ガモ」「潜水採餌ガモ」と大別されています。


これはカモの体の構造の違いによるものなのですが、両者には採餌だけでなく”様々な行動の違い”があって、とても面白いのです!


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。


そんな鳥好きの僕が、水面採餌ガモと潜水採餌ガモの特徴と魅力を紹介します。




 

水面採餌ガモと潜水採餌ガモとは

鴨(カモ)は「カモ目カモ科」というグループに属する鳥です。


このカモたちは採餌の仕方によって、「水面採餌ガモ」「潜水採餌ガモ」の2つのタイプに分けられます。

水面採餌ガモ

ハシビロガモ

水面採餌ガモは、"水面で餌をとるタイプのカモ"です。


くちばしを水面につけて水面に浮いた種子などを食べるほか、逆立ちして、首の届く範囲で水中の餌を食べたりします。

潜水採餌ガモ

キンクロハジロ オス

潜水採餌ガモは、"主に潜水して水中で餌をとるタイプのカモ"です。


海藻類や貝類のほか、魚や甲殻類を狩って食べることもでき、水面採餌ガモと比べて食べられる餌の種類が多いです。

水面採餌ガモと潜水採餌ガモの行動の違い

水面採餌ガモと潜水採餌ガモには様々な行動の違いがありますが、それは「体の構造の違い」から発生しています。


採餌の仕方も構造の差から生まれた違いの1つであり、その特徴的な行動の違いについて、いくつか紹介します。

餌の採り方

先ほど紹介した通り、水面採餌ガモと潜水採餌ガモでは「餌の採り方」に違いがあります。


以下のように「水面からおしりを出した姿」は水面採餌ガモらしい、かわいい姿ですよね。


水面からおしりを出すオナガガモ
オナガガモ おしり


ちなみに同じくカモ科であるハクチョウも水面採餌タイプなので、同じくおしりを出して採餌する様子を見ることができます。


水面からおしりを出すハクチョウ
コブハクチョウ 採餌


それに対して潜水採餌ガモが採餌する時は、チャポンと水中に潜って獲物を狩りに行きます。


潜水採餌ガモは日中寝ていることも多いのですが、活動しているときは頻繁に潜水を繰り返し、かなりアクティブな印象。


潜水採餌ガモは、ハンタータイプのカモなのですね。


ちなみに、写真撮影の際には、アクティブな彼らにタイミングを合わせるのはなかなか難しい、という側面もあります笑


▼僕が愛用しているカメラはこちら▼


歩行

水面採餌ガモと潜水採餌ガモでは、「歩行のしやすさ」に違いがあります。


まず水面採餌ガモの場合、脚が体の中央にあり、地上でバランスを取りやすくなっています


そのため、「陸上で歩行しながら餌を採る」様子を見かけることも少なくありません。


陸上を歩行するヒドリガモ
ヒドリガモ メス


一方で潜水採餌ガモは脚が体の後方にあることから体が立ち気味になってしまい、歩行しにくい体勢になっています。


脚が体の後ろにあるスズガモ
スズガモ オス


そのため、潜水採餌ガモが歩く姿を見かけることはほとんどないのです。

飛び立ち

飛び立ち」は潜水採餌ガモよりも水面採餌ガモの方が得意です。


なぜ水面採餌ガモが潜水できないかというと、”浮力が大きいため”。


彼らが潜水を捨てた代わりに得られたメリットもあります。


それは浮力が大きいということは体が水面から出やすくなり、助走なしで水面から直接飛び立つことができるということ。


そのため水面採餌ガモは危険を察知すると、素早く飛び立って遠くに移動してしまいます。


すぐに飛翔して逃げてしまうコガモ
コガモ オス


このように、水面採餌ガモは「逃げ」を重視したカモたちなのですね。


これに対して潜水採餌ガモは浮力が小さく、飛び立ちには助走が必要になります


なので彼らが警戒した時は、飛び立つよりも「潜水しながら徐々に遠ざかる」という逃げ方をすることが多いです。


ちなみに生き物界では何事にも例外はあるもので、潜水採餌ガモの中でも助走なしで飛び立つことができるものもいます。


例えば、以下のミコアイサがそうです。


ミコアイサ
ミコアイサ


助走なしで飛び立つことのできるミコアイサは、潜水採餌ガモにも関わらず、警戒するとすぐに飛翔して逃げてしまうのです。




水面採餌ガモと潜水採餌ガモと同じ分類に属する鳥たち

カルガモ

水面採餌ガモと潜水採餌ガモはカモ目カモ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。


[カモ目]
カモ目の野鳥まとめ|水上生活に適応した美しい水鳥たち

[カモ科]
鴨(カモ)の種類と魅力|カモは地味な野鳥ではない!実は個性的で面白い姿を持つ


おわりに:カモを観察してみよう!

一般的には「カモ」とひとくくりにされがちですが、実はカモには様々な種がいて、種ごとに多様な魅力を持つ鳥たちです。


今回紹介した「水面採餌ガモ」「潜水採餌ガモ」という切り口でも多くの違いが見えてきて面白いもの。


特に冬の季節には多くのカモたちに出会えるので、お近くの川や公園などで、ぜひカモたちをじっくりと観察してみてください!


野鳥撮影を体験できるゲームアプリも配信中!こちらもぜひ、遊んでみてください↓


■ 鳥マスター!

かわいい鳥たちが登場する、野鳥撮影が体験できるゲーム。

鳥マスター!

f:id:kkamedev:20180714123115p:plain f:id:kkamedev:20180714123127p:plain


他の鳥の紹介、鳥ゲーム・アプリ、野鳥観察、用語解説などに関する記事はこちらから↓

鳥に関連する記事まとめへ