あ、強そうな虫がいる!
この虫は、どんな虫?
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、シオヤアブ。
「ムシヒキアブ科」というグループに属する、肉食性のアブです。
シオヤアブは大型のムシヒキアブで、"昆虫界最強クラスの戦闘力を誇る"とも言われる虫。
なんと、時にはスズメバチを捕食することもあるほどなのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、シオヤアブの特徴と魅力を紹介します。
シオヤアブは大型のムシヒキアブ
シオヤアブは「ハエ目ムシヒキアブ科」というグループに属する昆虫です。
シオヤアブは、ムシヒキアブの中でも大型の種です。
大型のムシヒキアブ、シオヤアブ
僕の愛用する図鑑「日本の昆虫1400」によると、その体長は22〜30mm。
例えば、セグロアシナガバチはアシナガバチの中では最大級ですが、その大きさは16〜22mm。
セグロアシナガバチ
なので、シオヤアブは1.5倍くらいの大きさがあるのですね。
実際シオヤアブに出会うと、その強そうな姿も相まってかなり存在感があります。
シオヤアブのオスとメス
シオヤアブのオスには、とってもユニークな特徴があります。
それは、腹の先に「白いボンボン」のようなものをつけていること。
白いボンボンをつけるシオヤアブのオス
もともとのいかつい姿とはギャップのある、かわいらしい特徴ですよね!
メスにはこの白いボンボンはないので、オスとメスの見分けもしやすいのです。
ちなみに、オスとメスでは体格差もあり、メスの方が大きめです。
写真のカップルの場合では、メスの方がかなり大きいですね。
シオヤアブはメスの方が大きい
このように、シオヤアブはオスとメスが見分けやすいので、その姿の比較をしてみるのも面白いのです。
真夏になるとオオイシアブと入れ替わる
シオヤアブは林縁で出会えるムシヒキアブで、出会える季節は「真夏」です。
ちなみに林縁で出会える大型のムシヒキアブというと、オオイシアブという別種のものがいます。
オオイシアブ
シオヤアブがスマートでのっぽな感じなのに対し、オオイシアブは太くてゴツいイメージ。
生息場所や生活スタイル、食物連鎖の位置付けなど、重なる面が多いと思われる両者ですが、発生時期がずれています。
オオイシアブは5〜6月頃に多く見られるのですが、6月後半以降になるとシオヤアブに入れ替わる感じになります。
両者は発生時期をずらすことで、「棲み分け」をしているのではないかと想像しています。
このような、異なる種との関係性に注目して観察するのも、生き物観察の面白いところですね!
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シオヤアブは最強クラスの戦闘力を持つ昆虫
捕食方法と戦闘力
シオヤアブを含むムシヒキアブの仲間は「肉食性」であり、他の昆虫類を食べます。
その鋭い「口吻(こうふん)」を獲物の体に差し込み、体液を吸うのです。
ではどうやって獲物を捕らえるかというと、ムシヒキアブの仲間の戦術は「奇襲」です。
まずは植物の葉の上や杭の上などで、獲物を待ち伏せ。
ターゲットを決めたら、相手に向かって高速飛翔し、その鋭い口吻で背後からプスっと刺すのです。
獲物を仕留めたシオヤアブ
そのため、ムシヒキアブが捕食中の場面に出会うと、どの獲物も写真のように後ろ側から刺されています。
また、はねを開いていることが多いので、飛翔中に狙われたであろうことが分かります。
なお、ムシヒキアブの中でも、シオヤアブは昆虫界最強クラスの戦闘力を誇るとも言われます。
いかほどのものかというと、なんと時にはスズメバチを捕食することもあるほどなのです!
人は刺すのか?
アブというと、人を刺すイメージがある虫かもしれません。
確かにアブの仲間には、確かに人を刺す吸血性のものもいます。
吸血性のアカウシアブ
しかし実はそのような習性を持つアブは決して多くはなく、刺さないアブの方が圧倒的に多いのです。
ネットを調べてみると、「稀に人を刺す」のようなことが書かれていることがありますが、それは捕まえたり触れたりした時のようなケースなのではないかと思います。
というのも、ムシヒキアブは吸血性のアブではないので、向こうからあえて人を刺す理由はないためです。
またムシヒキアブは近付くと基本的に逃げ、人の後をずっとついてくるウシアブなどとは動きが全然違います。
もしあちらから刺してくるのであれば、近くで止まって写真を撮影している僕など、格好の獲物のはずです笑
そういうわけで、基本的に向こうから刺してくることはなく、わざわざ駆除したり、むやみに心配する必要はないと思います。
シオヤアブと同じ分類に属する虫たち
シオヤアブはハエ目ムシヒキアブ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[ハエ目]
双翅目(ハエ目)の昆虫まとめ|2枚のはねが退化した虫たち
▼
[ムシヒキアブ科]
ムシヒキアブの種類と魅力|暗殺昆虫と呼ばれる肉食性のアブたち
おわりに:シオヤアブを観察してみよう!
シオヤアブは林縁で出会うことのできる昆虫です。
7〜8月の真夏であれば見られやすいと思うので、出会えたらぜひその行動を観察してみてください!
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