ハチとか毛虫に刺されたら痛いのかな…?
どんな虫に気をつけたら良いんだろう?
こんな疑問にお答えします。
森や山などでハイキングやキャンプをしたり、自然豊かな場所で過ごすのはとっても気持ち良いですよね!
そういった自然の多い場所には、たくさんの多様な生き物たちがいるのも魅力です。
でも一方で、ハチや毛虫など、毒を持つ虫・人を刺す虫もいます。
お子さんをお持ちの方は、アウトドアの際には「危険な虫がいないか」という点は気になるのではないでしょうか?
それらの危険から身を守るには、
・どういう時に刺すのか
といった情報を知っていることがとっても大事。
それらの情報を持っておくことで、毒のある虫がいても冷静に対処でき、刺される確率を大きく下げることができるのです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、毒のある虫、人を刺す虫たちと刺されないための対処法を紹介します。
毒を持つ虫や人を刺す虫【毒毛虫に刺されるとどうなる?】
冒頭でお伝えした通り、自然がある場所にはたくさんの生き物が暮らしており、その中には毒を持つ虫や人を刺す虫もいます。
そんな彼らに刺されると痛い思いをしたり、場合によっては大ケガに繋がることもあります。
僕は子供の頃は皮膚が弱く、毛虫の毛が残った場所の近くを通っただけでじんましんのような発疹が出ていました。(そんなことにも懲りずに木に登ったりして遊び続けていましたが)
大人になってからは子供の頃のように頻繁にかぶれることはなくなったのですが、昔以上に自然の中に入っていくようになったため、たまに植物や虫たちの毒にやられることがあります笑
例えば、以下は毛虫(おそらくイラガかドクガ)の毒針毛にやられた時の様子↓
あまり激しい腫れではないので分かりづらいですが、手の甲が赤くかぶれたようになっています。
これは沖縄で虫を見つけて写真を撮ろうと思って、木の枝を手の甲で払った時に刺されてしまいました。(木の枝に毛虫の毒針毛があったようです)
刺された時の様子は以下のような感じでした↓
↓
少し時間を置いてジンジン・ビリビリする痛みが強まる
↓
ジンジン・ビリビリが30分ほど続く
↓
その後痛みは弱まるが、手の甲が赤くなってきた
↓
次の日、先ほど掲載した写真のような赤い跡が出現して2,3日残った
ちなみに僕の場合は直接ガッツリ毛虫を触ったわけではなく、少し触れた程度なので大した症状にはならなかったのだと思います。
体質によって症状が重くなることもありますし、痛みが引かなかったり、大胆に刺されてしまった場合は、自己判断せずに病院に行くなどして専門家に対処してもらいましょう。
毒を持つ虫や人を刺す虫の種類【刺されないための対処法も紹介】
・刺されないようにするのに気をつけるべきこと
を紹介します。
なお、全ては紹介できないので、身近な場所で遭遇する可能性の高い虫たちを紹介しています。
スズメバチ
スズメバチはメスが持つ産卵管を「毒針」という武器に変化させたハチです。
その毒の強さは多くの人に知られている通りで、場合によっては人の命を奪うこともある程に強力です。
彼らによる事故がなぜ多いかというと、スズメバチは社会性を持つ昆虫であり、いわゆる働きバチと呼ばれるハチは巣を守る役割を持っているからです。
多くの動物たちは自分の命を守ることを優先するので、自分よりも強い敵・大きな敵を見るとほとんどの場合は逃げるか隠れます。
しかし巣を守る役割を担うスズメバチは、自分の命よりも巣(群れ)の方が優先度が高いんですね。
だから、巣に危険が近付いた時は命をかけて敵と戦うのです。
その証拠に、巣に危険が及んだり、こちらから脅かすようなことをしない限り、向こうから積極的に人を刺すようなことはしません。
もし彼らが積極的に人を刺す習性を持っていたら、里山公園などは立ち入り禁止になってしまうでしょう。
■ 対処法
彼らから身を守るには、巣に近づかないことが一番大事です。
特に秋(8〜10月頃)の時期は注意。
この時期は公園などでも、スズメバチの巣が見つかると立ち入り禁止になったりしますよね。
秋は巣に近付くだけでも危険なのです。
というのはスズメバチは春〜夏にかけて巣作りをしますが、秋は巣が完成し、巣の中で女王蜂が生まれる時期。
人間でもお腹の大きくなった妊婦さんや小さな子供がいると、周りの大人たちが気を遣うのと同様に、ハチたちも子供に危険が及ばないようにハラハラしているのです。
また、ハチは種類によって巣をつくるのに好む場所が異なります。
例えばオオスズメバチは山林内の土の中や木の根元、キイロスズメバチは民家の屋根裏や床下、樹洞など。
以下のサイトで、代表的なスズメバチが巣を作る場所を掲載してくれています。
蜂の種類によって、巣をつくるのに好む場所があります。
秋の時期に上記のような場所に近付く時は、近くを多数のハチが飛んでいないかに気を付けましょう。
毛虫(ケムシ)
毛虫というと、毒を持つものが多いイメージがありますが、実は毒を持たないものもたくさんいます。
というか、むしろ毒を持たないものの方が多いんですよ。
そんな中でも代表的な毒を持つ毛虫は、以下。
ドクガ類(以下はチャドクガ)
イラガ類(以下はヒロヘリアオイラガ)
カレハガ類(以下はタケカレハ)
マダラガ類(以下はホタルガ)
毛虫たちの毒性は種によって様々。
僕が刺された時のように数十分でおさまるものもいれば、火傷のようになってしまったり、高熱を伴うような毒を持つものもいます。
■ 対処法
毛虫たちは素早い動きを持っているわけではないし、向こうからこちらを攻撃してくることはありません。
ではどういう時に刺されるかというと、こちらが間違えて毒のある毛虫を触ってしまった時に事故が発生します。
毛虫の場合は無毒のものに似ているけどもう一方には毒があるといったことがあり、事故的に刺されることも多いかと思います。
特に子供は目に留まった虫を思わず触ってしまうことがあると思いますので、むやみに触らないよう大人が注意を促すことが大事です。
一方で虫好きな僕としては、毛虫を嫌うばかりではなく、安全に毛虫たちの魅力を楽しんでもらいたいという思いもあります。
見た目は強烈だけど無毒なヒトリガの幼虫
そこで重要になるのが毛虫の識別。
毛虫の種類や毒の有無について知るには、以下の「イモムシハンドブック」がおすすめです。
この図鑑は、他のイモムシ図鑑にはあまり載っていない「毒の有無」の情報が掲載されている、貴重な図鑑なのです。
毒の有無を知る目的以外にも、多様なイモムシ・ケムシたちを知れる、とっても楽しい本ですよ!
サシガメ
サシガメの中でも、刺される可能性が最も高いのは写真のヨコヅナサシガメでしょう。
というのも、彼らは街路樹や身近な公園にある、サクラやエノキなどの木にいるため、接触しやすいからです。
ちなみにサシガメはカメムシの仲間ですが、多くのカメムシと違って肉食性。
他の虫を刺し、体液を吸う食性を持つのです。
サシガメは毒性は高くはありませんが、鋭い口吻を持ちます。
ヨコヅナサシガメの鋭い口吻
そのため、刺されるとかなり痛い(らしい)です。(僕は刺されたことありません)
■ 対処法
他の多くの刺す虫と同様に、サシガメも向こうから襲ってくることはありません。
なぜなら彼らのターゲットに人間は含まれていないからです。
そのため、サシガメに刺されないために必要なのは「むやみに触らないこと」。
カナブンや他のカメムシと同じ感覚で掴んだり捕まえたりしてしまうと、びっくりして刺してくる可能性があるのでやめましょう。
アブ
上の記事でも紹介していますが、全てのアブが人を刺すわけではなく、一部のアブだけなのです。(※写真は人を刺すタイプのアカウシアブ)
とはいえ、今回紹介する虫の中でもアブはかなり厄介な部類の虫です。
なぜなら、アブは向こうから近付いて刺してくるからです。
アブが人を刺す動機はカと同じで、人の血を吸うため。
カがしつこくまとわりついてくるのと同様に、アブもしつこいのです。
ちなみに、アブは僕も刺されたことがあります。
ハチのように大ケガをするような危険度は低いのですが、普通に注射で刺されたように痛いです。
周りをしつこくアブが飛んでいると、いつこちらを刺しにくるのか、とストレスを感じてしまいます。
■ 対処法
人を刺すアブは自然の少ない場所にはいません。
むしろ水の綺麗な場所で暮らす虫であるため、登山時などによく出会います。
その際、虫よけ対策が有効といわれますが、僕は虫よけの効果を強く実感したことはありません。
というのも、僕も登山時などはカやブヨに効く程度の虫よけスプレーはしますが、それで目に見える効果が出たことはないのです。
もちろん、もっと強力なスプレーなどを使えば効果があるかもしれません。
しかし僕がオススメする対策は、長袖・長ズボンを着て露出を少なくすることです。
肌を露出した面積が多いということは、アブにとって刺せる場所が多いということ。
彼らが刺すスキをできる限り減らしましょう。
体液に毒を持つ虫
毒針や刺すとかではなく、体液に毒を持つ虫たちがいます。
アオバアリガタハネカクシ
カブトムシやクワガタも含まれる甲虫目の虫で、田んぼや畑、水辺などに生息する虫たちです。
彼らは体液にペデリンという毒を持ち、肌につくと火傷のような水ぶくれが発生することから、やけど虫と呼ばれています。
モモブトカミキリモドキ
こちらも甲虫目の虫。
花の蜜を吸い、春にはタンポポの花などでよく見られます。
この虫は体液にカンタリジンという毒を持ち、肌に付着すると炎症を起こします。
■ 対処法
体液に毒を持つタイプの虫は、甲虫であることが多いです。
甲虫と言うとカブトムシやクワガタなど、子供にも人気の虫が多い。
かっこいい虫を見ると、つい手に取りたくなってしまうもの。
しかしそこはグッとガマンをして、見知らぬ甲虫は素手で触らないことが大事です。
ちなみに彼らは自ら毒を持って攻撃することはありません。
むしろ驚かしたり潰したりする方が危険。
見つけても攻撃したりせずに、ゆっくり・じっくりとその美しい姿を観察してみましょう!
ムカデ
ムカデは刺すタイプではなく、噛む虫です。
この虫も毒を持っていて、噛まれた時の痛みだけでなく、かゆみや腫れを引き起こします。
また、スズメバチのようにアナフィラキシーショックというアレルギー症状を起こすこともあるようです。
ちなみにムカデに似たヤスデという虫がいますが、こちらは人間に直接害のある毒は持ちません。
毒を持たないヤスデ
代わりに危険を感じると臭い液を出す能力を持ちます。
ただ、カメムシと同様に普段から臭いわけではありません。(実際に平常時のヤスデのにおいを嗅いでみましたが、全く臭くありませんでした)
以上から、ヤスデについてむやみに嫌う必要はないですね。
■ 対処法
ムカデの他の虫との違いとしては、野外だけでなく屋内環境も好むことで、家の中にも侵入してきます。
ムカデは暗くて狭い場所が好きなのです。
これらの条件って、屋内に出る虫として有名な「ゴキブリ」とよく似ていますよね。
というのも、実はムカデはゴキブリを食べるのです。
そのため、ゴキブリがいる=ムカデもいる可能性がある、となります。
ゴキブリもムカデも、玄関を開けっ放しにしたり家のどこかに穴が空いていたりすると、そこから侵入してきます。
なので彼らを家に侵入させないためには、家に入るための隙間を作らないことが一番。
ムカデの侵入を防ぐことは、ゴキブリ対策にも繋がるのですね。
マダニ
マダニは主に山や草むらにいる虫。
彼らは吸血性の虫であり、草むらなどで待ち伏せし、近くを動物が通ると飛び付いて血を吸います。
ところが、マダニは今回紹介している虫の中でも特に小型の虫で、噛まれても痛くありません。
それどころか噛まれたことに気付かず、山から帰ってきてしばらくしてマダニが取り付いていることに気付く、なんてこともある程です。
ではなぜ噛まれても痛くもないような小さな虫を紹介するのか?
それは、マダニが怖いのは噛まれた時の痛みではなく、彼らが運ぶ病原菌や感染症なのです。
痛くなく気付かないだけに、むしろ噛まれたことに気付かず病状が進行してしまうことが怖いのです。
感染する病気によっては、時には命を奪われてしまうこともある程。
ちなみにマダニは家にいるイエダニとは別種で、イエダニよりも大きいです。(それでも数mm程度の大きさ)
■ 対処法
・長袖・長ズボンを着る
マダニは他の多くの虫と違って、彼らから寄ってきます。
特に鹿などの動物が多くいる場所には要注意です。
ただ彼らは小さい分、肌が露出していないと人を刺すことはできません。
そのため、肌を露出しない長袖・長ズボンを着ることがとっても有効です。
また、服や体にマダニがついていないか、定期的にチェックすることも大事です。
マダニの好む生息場所や対策などは以下の記事に詳しく書かれているので、ぜひ一度ご覧ください↓
おわりに:森や山に住む虫を知れば刺される可能性は減り、森や山をもっと楽しめる!
毒を持つ虫や人を刺す虫を紹介してきましたが、記事で紹介した通り、ほとんどの虫は向こうから刺してくることはありません。
彼らに刺されるのは、大抵の場合は誤って彼らのことを知らずに触れた時や驚かしてしまった時。
彼らに刺されるのを防ぐには、彼らの生態や刺す理由を知ることが一番なのです。
信号や標識の意味を知らずに道路に出ると事故に遭う確率が上がるのと同様に、森や山に入るにはそこにいる生き物たちのことを知るのが大切なのですね。
ぜひ彼らのことをよく知って、安全に豊かな自然を楽しんでください!
以下の記事では昆虫観察の始め方や、観察に役立つ道具を紹介していますので、ぜひご覧ください!
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